マイノリティへの差別発言をした荒井首相秘書官が更迭された。
その発言は、同性婚カップルについて「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と発言。同性婚の合法化についても、「認めたら、日本を捨てる人も出てくる」というもの。
あまりにも酷すぎる古臭い人権感覚にあきれた。
このニュースをネットで知って、ふと頭をよぎったのは国会での岸田総理の答弁のシーンだ。同性婚をめぐる野党の質問に対して「家族観、価値観、社会が変わってしまう」 と岸田総理は答弁していた。
首相秘書官の差別発言はこの総理答弁から2日後のこと。荒井秘書官は岸田総理の答弁や会見のスピーチライターだったというから、なるほどあの答弁はこの秘書官の作文だったのかと勘ぐってしまった。
その後、官房長官は「その答弁は法務省のもの」と火消しに必死のようだ。
答弁原稿を誰が書いたのかが問題じゃない。同性婚を法制化すれば「社会が変わってしまう」という認識のズレが大問題。LGBTQに対する感覚は社会の方がはるかに先を行き、とっくに変わっている。変わってないのは法と、それを変えようとしないでサボってる政治だけ。
若い世代は勿論のこと多様性を認める寛容な社会を望んでいる。それを邪魔しているのが政治。そのボロさが岸田総理が一番頼りにしていた秘書官の差別発言でバレてしまった。
岸田総理はスピーディに差別発言をとがめ更迭した。そこには海外に報道されたことでサミットへの飛び火を恐れた判断があったからだろう。
サミット前に岸田首相の最側近の差別発言はさすがに不味すぎる。世界では同性婚は33の国で認められている。サミット参加7か国のアメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツの5か国は同性婚を認めている。イタリアは登録パートナーシップを認めているから、日本だけが同性婚について何もしていないのだ。
「社会が変わってしまう」などと言い訳してる岸田総理も、広島サミットの議長国としてのメンツを察すれば更迭しかない。ダラダラと判断を伸ばしていて、もしも広島サミットへの「不参加」を表明する首相が出たら、と考えれば素早い更迭しかなかった。
人権赤字国と国連の場で揶揄される日本。図らずも首相秘書官によって広島サミット前にG7国に人権赤字国ぶりをさらす破目になった。
即決の更迭は政治姿勢をハッキリさせるうえではよかった。だが、それが総理としての任命責任をとることじゃない。
先ずは、聞く力を発揮し社会がすでに変わっていることをちゃんと認識し直すこと。そして、少数者が生きずらい社会から「生きやすい社会」に変えるため、総理大臣として法整備をすることが本当の責任の取り方だ。