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県地域医療対策協議会 重点配置の提言

2007-03-30 06:44:09 | 新聞記事
信濃毎日新聞 2007.03.29 掲載記事(朝刊1面・2面)
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産婦人科・小児科医 9-10病院に重点配置
県の検討会 医師不足で提言


 産科・小児科の医師不足対策を検討してきた県の産科・小児科医療対策検討会(会長・小西郁生信大教授)は28日、県内9-10の病院を「連携強化病院」とし、重点的に医師を配置する-との提言を、県庁で開いた県地域医療対策協議会で報告した。医師を集約し、各地の産婦人科、小児科の医療水準を維持することを目的にしている。

 提言は、連携強化病院以外の病院が独自に医師確保を図ることを妨げないとしたが、提言に沿って医師の集約化を進めると、他病院による医師確保はさらに困難になるとみられる。同協議会でも委員から「県民の理解をどう得ていくかが課題だ」との意見が相次いだ

 提言によると、連携強化病院はある程度の医師数を確保。地域の他の病院や診療所と協力し、24時間体制で入院を必要とする2次医療や救急搬送に対応する。

 10広域圏ごとに、長野赤十字(長野市)や飯田市立(飯田市)など、産婦人科9病院、小児科10病院を指定。産婦人科は上小、大北、木曽、小児科は大北、木曽の各広域圏では選定できず、隣接医療圏と協力して医療体制を構築していくとした。長野市民(長野市)、波田総合(東筑摩郡波田町)など産婦人科25病院、小児科37病院を「連携病院」とし、連携強化病院と連携して地域医療体制を構築する。

 県立こども(安曇野市)と信大医学部付属(松本市)は「中核病院」とし、連携強化病院の機能に加え、高度な第3次救急医療や人材育成の臨床研修などを担う。

 提言は、医師の集約化、重点化により、地域によっては受診する医療施設が「限定されてしまう可能性もある」と説明。「将来の大規模な医療崩壊を防ぐための緊急避難的な措置だ」とし、県民の理解を求めた。県側は、今後、10広域圏ごとに検討会を設け、地域の実情に即した対応策を検討する-と説明した。

 産科・小児科医療対策検討会は県が昨年11月に設置。産科、小児科の2分科会での検討のほか、2回の全体会を開いて提言をまとめた。


早急に医師確保策を  非選定地域に不安の声
産婦人科・小児科 重点配置


【解説】 県産科・小児科医療対策検討会が28日、医師不足対策で、10医療圏ごとに「連携強化病院」を選び、医師を重点配置すべきだとの提言をまとめた。「医療水準を維持するための緊急避難的な処置」とするが、一部広域圏には連携強化病院がなく、医師確保がさらに難しくなる。県や医療関係者は「県民の理解」を求めるだけでなく、安定的な医師確保策を早急に確立する責任を負った。

 「地域で医療体制を完結するエリアとして医療圏(広域圏)が設定されているのに...」。木曽とともに産婦人科、小児科両方の連携強化病院が選定されなかった大北地域。大町市の牛越徹市長は驚きを隠さなかった。

 大北では2004年に523人の新生児が誕生。中核病院である市立大町総合病院は産科医2人、小児科医2人がいずれも信大からの派遣。担当医師が少なく、夜間や休日の診察に対応できない-という悪循環が、地域から医師が消えかねない事態の背景にあり、提言通りに進めば、医師の欠員が生じても補充されない可能性がある。

 上小地域では、中核の国立病院機構長野(上田市)で常勤麻酔医が不足しているため、産科の連携強化病院が選定されなかった。上田市産院の閉院計画に反対した同市の桐島真希子さん(31)は5月に3人目を出産予定といい、「何かあったら心配」と話した。

 県内の「医師供給源」となっている信大の委員はこの日、「連携強化病院には優先的に若手医師を派遣し、分娩の場を確保する」と強調、全県的な「医療崩壊」を防ぐ役割を果たしていく考えを示した。

 ただ、地方では共通課題となっている医師不足で、抜本的な解決策は見えていない。「緊急避難」がいつまで続くのか、その先の展望があるのか、空白区となる可能性のある地域の不安は大きい。

 県は今後、シンポジウムなどを通じ、医師の重点配置の必要性を県民に説明するとしている。「住民と痛みを分かち合いながら厳しい状況を乗り越えたい」(渡辺庸子衛生部長)とするだけでなく、医師不足の原因を探り、国などへの働き掛けも含めて具体的な解決策を探る必要がある。【千野雅樹】


=====私見saito========
個人的な意見で書かせてください。
 県地域医療対策協議会での重点化の提言をもとに、各医療圏ごとの話し合いが進められていくと考えられます。
 現実的に一次医療が成り立つには、高次医療の後ろ盾が無いことには、「安全な医療環境」とは言えません。今現在、緊急の場合、佐久総合、篠ノ井総合、子供病院がカバーしてくださっているとお聞きしています。圏域搬送を快く受け入れてくださっている病院に大変感謝し、しばらくはまたお世話になることと思います。
 
 提言にある、=上小地域では、中核の国立病院機構長野(上田市)で常勤麻酔医が不足しているため、産科の連携強化病院が選定されなかった=今まで活動した1年間でいろいろと勉強させていただき、行き着くところは、「長野病院の麻酔医不足」に壁に当たりました。
 
 長野病院では、努力しているはずだと信じています。上田市も努力しているのだと信じています。
 
 上田地域には、幸いにも信大から上田市産院に2人ものすばらしい医師を派遣していただいています。この先生方の力を応援しながら、私達母ができる、「自己管理」の意識を高め、お産に向かえるプレママ達が溢れる地域になっていける動きをする。これしか私達には今できません。
 ◆あくまでも、saito個人の意見です。

最後に、いつもブログに最新情報をトラックバックしてくださっている
ある産科医のひとりごとさん、本当にありがとうございます。




 

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2 コメント

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Unknown (南信の産婦人科医)
2007-03-30 21:44:45
我々の地域でも、産科医療が崩壊寸前の危機的状況に陥り、行政、地域住民、医療機関が連携して危機を乗り越えていこうと、有効な緊急避難策をいろいろと模索しているところです。

それと同時に、若い熱意のあふれる産婦人科医、助産師、小児科医、麻酔科医などを増やしていくことが非常に重要と考えて、若手育成およびリクルート活動に、非常に熱心に取り組んでいます。



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Unknown (南信の産婦人科医)
2007-04-01 08:38:48
今回の提言書は、単に、県内の医療体制の現実の姿を改めて確認したものに過ぎません。

今回、連携強化病院に選定された病院の常勤医数が増員されることすらも全く明記されてませんので、これでは医療崩壊を抑止する効果があるのかどうかも不明です。

『連携強化病院に選定された病院の産科部門は地域の産科医療の最後の砦であり、そこが閉鎖に追い込まれるようではその地域での分娩は完全にできなくなってしまいますよ~』という現実の厳しい実態を一般の県民にも広く理解してもらい、危機感を持って頂きたい!という趣旨と理解しています。

また、『集約化』という語を使うと、場合によっては、反発が大きくなり過ぎて収拾がつかなくなってしまうことを恐れて、集約化というニュアンスの表現を一切使えなかったばかりでなく、医療崩壊阻止に向けた今後の具体的な対策にまで踏み込んだ文言さえも今回の提言書には一切盛り込めなかったというのが実情だと思います。

今回の提言を受けて、各地域でどのような具体的な医療崩壊対策を立案・実行していくのか?は、各医療圏の地域住民、行政、医療機関の判断に任されました。
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