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長野病院の全産科医派遣の昭和大、引き揚げ方針

2007-12-08 07:21:57 | お知らせ
上田の長野病院

長野病院の全産科医派遣の昭和大、引き揚げ方針

12月8日(土)信濃毎日新聞 朝刊一面

 国立病院機構長野病院(上田市)は7日、同病院の産科医4人全員を派遣している昭和大(東京都品川区)から医師を引き揚げる方針を通告され、3日から新規の出産受け付けを休止したことを明らかにした。大学側は来春から段階的に引き揚げるとしているが、期間は示していない。同病院は上田小県地域の中核病院で、今後地域に大きな影響が出そうだ。

 同病院の進藤政臣院長は記者会見で「産科医確保に最大限努める」と述べたが、見通しは立っておらず、産科廃止に至る可能性もある。同病院では2006年、同地域の出産2024件の23%、467件を扱っている上、他の病院から危険度の高い出産も受け入れている。

 同病院は、既に予約済みで、来年7月ごろまでに同病院で出産予定の97人の出産は扱うとしている。

 昭和大からの通告は11月中旬にあった。同大学医学部産婦人科の岡井崇教授は取材に、長野病院からの医師引き揚げは、昭和大近くの病院に派遣するため-と説明。別の大学がこの病院から派遣医を引き揚げたため、現在は出産の扱いを休止しているという。昭和大は東京・品川区と大田区の周産期医療の拠点病院で、同教授は「地域に責任を果たさなければならない」としている。

 上田地域広域連合長の母袋創一・上田市長は「派遣を継続するよう昭和大に要請したい」としている。

信濃毎日新聞 12月8日3面

上小の産科医療の危機

長野病院の医師引き揚げ


「地域のお産を支える土台が壊れる」-。国立病院機構長野病院(上田市)から産科医を引き揚げる昭

和大(東京)の方針が明らかになった7日、上田小県地域の母親の不安と戸惑いが広がった。上田市で

は市産院も院長が年内に辞職し、その後の医師確保にめどがたっていない。
「正直驚いている」と母袋創一市長。安心して子どもを産める医療態勢をどう再構築するのか、市や県
、医療関係者は緊急に取りくまなければならない。

他地域で出産・・・・不安

「ますます厳しい。不安でいっぱいです」。地域の産科医不足を受け、助産師を活用する院内所産院(バースセンター)の設置を市や県に求めているグループの世話人、直井恵さん(29)=上田市別所温泉=は重い口調で語った。
 自身も2月、市産院で長女を出産。危険度の高いケースを扱う長野病院は、バースセンター構想にとっても重要な存在だった。だが、同病院からの医師の引き揚げで、先行きは不透明感を増している。
 
 上田小県地域では、2006年度に600以上出産を扱った市産院の甲藤一男院長が「体力面」を理由に年内に退職する。後任は未定で、このほかの産科は市内の民間2病院だけだ。

 地域の出産件数を半数強を扱っていた公的2病院の出産の受け入れがこのまま狭まれば、地域に住み母親が、ほかの病院で産まなければならない状態さえ危惧(きぐ)される。

地域に大きな不安を与える医師引き揚げを、なぜ突然通告したのかー。

 昭和大の岡井崇・医学部産婦人科教授は「上田のことを思うと、長野病院に医師を派遣したい。だが、われわれは(大学がある都内の)こちらの地域に責任を負っている」と説明する。
 
 同大学は十年以上前から産科医を派遣してきた。だが、2004年の医師研修制度の変更後、研修医が一部の大学病院に偏り、大学病院の人材不足が表面化。その意一方、勤務が厳しく告訴リスクなどを抱える産科医は、都市部でも不足感が強まっているという。

 同大は長野病院から引き揚げた分を、大学近隣の病院へと派遣に回す方針だ。「われわれの大学病院自体が最低の人数で回している」。岡井教授はそう強調する。

 「緊急事態だ」。母袋市長は7日夕、市役所で記者会見をし、厳しい表情で話した。長野病院の進藤政臣病院長が市長を訪ね、昭和大の医師の引き揚げ方針を伝えたのは前日の6日。市にとっても「寝耳に水」だった。
 ただ、地域住民からは、医師確保をめぐる市の取り組みに不満の目を向けられている。

 市は、05年、信大が医師引き揚げの方針を示した市産院につてい、いったん廃院を検討する意向を表明。母親らの存続活動に押されて存続に転換した。だがその後も、老朽化している施設の更新を含め、どう維持、発展させるのか、明確な展望を示してこなかった。
 その上に降りかかった今回の問題。母袋市長は「近隣の首長とも話し、できる支援は最大限したい」と強調する一方で「行政には医師を動かす何の権限のない」と漏らしたが、市民の納得はどこまで得られるのか。

 県の対応も問われる。県は産科、小児科の医師不足対策として、十広域圏ごとに医師を集約する案を示してきた。だが、長野病院からの医師の引き揚げで「長野市や佐久市の病院に危険度の高い出産を頼らざる得なくなる可能性がある」と上田保健所。構想そのものが揺らぎ始めている。

 市産院の存続を求める署名活動に携わった斉藤加代美さん(42)=上田市上丸子=は「こんどこそ市にしっかりしたビジョンを示してほしい」と求める。市を中心に県や病院が本腰で連携しなければ、危機的な状況は打開できない。(祢津 学) 

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