照る日曇る日 第2065回
たまには俳句の本でもと思って、パラパラめくってみる。
私が好きなのは、映画だと、映画を超えた映画、小説だと、小説を超えた小説、音楽だと、音楽を超えた音楽、詩だと、詩を超えた詩が好きなのだが、この人には「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」のように時々俳句を超えた、あるいは超えかけた純乎たる時空があるので、注目に値するのである。
或者曰く。超えてからどこへ行く? んなこと分かるわけないじゃん。でも、もしかするとあの世かも。しかし超えないより超えた方がいいに決まってる。
それでは慣例に従っていくつか作品をあげておこう。
明けましてあぁ唇が荒れている
ひめむかしよもぎと言ってみてしあわせ
花ふぶき知らぬ同士のわーっと言う
心よりと書いてしまって春深し
春寒き街を焼くとは人を焼く
8.15.正午PCシャットダウン
アイライン入れたら泣くな敗戦日
伸べし手をウフッとよけたでしょ揚羽
カラスただしくアーッアーッと夕桜
神様は何処にどうして梅は蘂
藤圭子の歌なら大好きなんだけど娘の歌は珍紛漢紛 蝶人