片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

仙石線「ATACS」導入!復興に鉄道は不可欠!

2011-10-17 19:44:19 | 社会・経済

今回の未曾有の大震災によって、
東北地方の鉄道は、いまだ寸断されたままになっています。
そんななかで、
明るいニュースがあります。

10月10日
JR仙石線あおば通―東塩釜間で、
列車制御システム
ATACS(アタックス)」の仕様が開始されたのです。
もともと、今年3月下旬に使用開始予定だったのですが、
東日本大震災で予定変更を余儀なくあれ、台風15号の影響もあって、
10月に入って、やっと導入されたのです。
これは、
世界で初めて実用化された画期的な列車制御システムです。

列車制御システムとは、簡単にいうと、線路上を走る複数の列車が、
互いに
ぶつからないように制御するシステムのことです。
従来の列車制御システムは、列車の位置を、
線路に電気を流すことで検知して、信号に反映し、
前に列車がいるときには赤信号を出すというやり方で、制御していました。
この方法は、1872年に開発された、「軌道回路」を使う方法を、
140年近く、改良に改良を重ねて使って行ってきたものです。

ところが、
ATACSは、「軌道回路」とは異なる、
まったく新しいシステムです。
列車はつねに自分の位置を把握しており、
無線を使ってコンピュータに知らせます。
この情報を、後続の列車が受け取り、
後続の列車は、先行列車にぶつからないように制御します。
デジタル無線により、車上・地上間で双方向の情報通信を行い、
列車を制御するシステムです。
固定化された「閉そく」ではなく、「移動閉そく」なのです。
これまでの列車制御システムと違って、
信号機などの地上設備や、
それらの
メンテナンスが少なくてすみます。

じつは、先週、東北の被災地を訪ねました。
東北地方の、とくに
津波の被害を受けた沿岸部の鉄道は、
ほとんど運休しています。線路が流出し、
いたるところで寸断されていました。
鉄道の復旧は容易ではないと感じました。
ましてや、
町の復興計画がいまだ立てられない状況では、
復旧させようがないでしょう。

しかし、
復興に地域交通は欠かせません。
高齢化の進む住民の足
であると同時に、
地域同士がつながれば、
地域間を人やモノが移動し、
活力が生まれます。
今回の「ATACS」に限らず、
東北地方の
復興に鉄道が大きな役割を果たすのは、間違いないと思います。
それだけに
、一刻も早い町の復興計画が立てられることを、
望まざるを得ません。