片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

オジサンは正義を振りかざすな!?

2011-10-20 20:44:14 | 社会・経済

今日は、自虐的オジサン批判論を述べたいと思います。

最近、私は
“オジサン”の意見に懐疑的になっています。
空洞化で雇用がなくなる」「アジアの新興国に抜き去られる
「このままでは
日本は沈没だ」と、口々にとんでもないことをいって、
危機意識をあおりまくっています。
そういう私も、昨日まで同じことを口走っていました。
しかし、そんな話ばかり聞いていると、
頭がおかしくなるのではないでしょうか。

そもそも、つい先日まで、
「内向きだ」「海外へ出ろ」
「グローバル化に遅れる」
といっていたのに、
最近、企業が海外へ出ようとすると、
「産業が空洞化する」「国内に残れないものか」といいます。
では、「空洞化」がそんなに怖いのか。危険なのか。
「空洞化」は、国内的には、つまるところ雇用の問題ですが、
米国が10%近い失業率なのに対し、
日本は、まだ5%にも届いていません

さらに、二言目には、
「日本はいまや、政治が最大のリスクだ」
したり顔でいいますが、政治家は、国民が生むものです。
オジサンたちは、まるで、自分は政治に関係ないような
無責任な顔をしていますが、
オジサンだって、国民の一人のはずです。
政治家批判は、
天につばするようなものなのです。

私は6年ほど前に、あるサムスンの社員とお酒を飲んでいるとき、
「韓国の最大のリスクは政治リスクだ」というセリフを聞きました。
いま、オジサンたちがいっているセリフとまったく同じです。
ところが、いまや、その韓国は、李明博大統領のもと、
立派な政治主導国家になっています。
日本だって、その可能性があるということです。

オジサンたちの、この強い危機意識はどこからくるのか。
つらつら愚考するに、おそらく、自分たちが
高度経済成長を支え、
築き上げてきた、「経済大国日本」の幻想
からきているのではないか。
いつまでも大国だと思っている、それにいまも酔っているから、
相対的に落ちていく日本を見るに、しのびないのではないでしょうか。
だから、
危機を叫ぶオジサンは、完全に危機中毒症です。

さらに、「
あの頃は、夢があった。若者よ夢をもて」といいますが、
一方で、「
日本はもうダメだ、若者は危機意識が足らん」といいます。
「夢をもて」と「日本はもうダメ」も、矛盾しています。
だいたい、オジサンたちのいうことは、断るまでもなく
無責任です。
未来をつくるのは、オジサンたちではない。若者たちです。
あまり、
正義をふりかざさない方がいいのではないか。

かくいう
私も、白状するまでもなく、立派なオジサンです。
あまり、正義をふりかざさない方がいいと、
自戒している今日この頃です。