片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

年の瀬のご挨拶

2011-12-27 19:43:53 | お知らせ

今年のブログは、本日で終了とさせていただきます。

2011を振り返れば、まれに見る災難の多い年でした。
あの
「3.11」以前と以降とでは、日本は不連続です。

大手企業の方との忘年会で、
「年明けに
お祓いにいく」という話を、複数耳にしました。
お祓いはしないまでも、
新年を迎えるということは、
2011
年の
災難の数々をリセットする、一つの節目でしょう。
確かに辛かった。しかし、それでも、
新しい時代に向けて、
前に進まなくてはいけないのです。

それでは、
みなさま、よい年をお越しください。
新年は、ブログは10日からです。


東京スカイツリー、やさしい光は共感を呼ぶか

2011-12-26 17:04:36 | 社会・経済

1223日、24日の2日間、
東京スカイツリーがクリスマスに合わせてライトアップされました。
現在、小学館
DIMEに、「六三四(むさし)に挑む」として、
スカイツリーの記事を連載中です。
取材かたがた、ライトアップを見にいってきました。

押上駅につくとすぐ、周囲にはたくさんの
“三脚オジサン”こと、
アマチュアカメラマンたちの姿がありました。
スカイツリーは、
写真愛好家たちにとって絶好の被写体です。
開業後は、
淡い水色の「粋」、江戸紫の「雅」の2色で、
一日ずつ交互にライトアップされることが決まっていますが、
今回は、
それらの照明器具の一部を使った、白いライティングでした。
それにしても、
開業前からものすごい人気です。

白い光でぼんやりと浮かびあがるスカイツリーは、
昼間に見るより、
スラリとスレンダーに感じられました。
港区の
東京タワーは、オレンジ色の光によって
タワー全体が煌々と照らしだされ、自己主張が強く、
誤解を恐れずにいえば、挑戦的、攻撃的です。
高度経済成長期の照明の有り方だと思います。
それと比較して、
スカイツリーのライティングは、
非常に
やさしい、落ち着いた印象を受けました。
低成長時代向きというか、静かであまり自己主張しない。

開業後の「粋」「雅」のライティングデザインを担当した、
ライティングデザイナーの戸恒浩人さんにお話を伺ったとき、
スカイツリーのライティングが、
社会から
どう評価されるかわからない
といっていました。
東京タワーのようにタワー全体を照らし出す明るい光と比較して、
淡い光によって、光と影を演出するスカイツリーのライティングは、
「暗い」「寂しい」という感想をもつ人もいると考えられるからです。

しかし、東日本大震災以降の
「節電」や「エコ意識」の高まりからして、
スカイツリーのライティングは、
時代に沿っているといえると思います。
戸恒さんの
デザインが決定したのは、東日本大震災より三年半も前の
2007年の夏のことですから、
戸恒さんはもとより、この
デザインを選んだほうも、
先見の明があったと思います。
開業後のライティングも、
人々に共感され、
心に届く光
になると思います。


家電量販店がスマートグリッドで生き残れるか

2011-12-22 17:16:48 | 社会・経済

去年のいまごろは、地上デジタル放送への移行による、
デジタルテレビの対応機種の販売増加や、
家電エコポイント制度の駆け込み需要など、
家電量販店をとりまくニュースは明るい話題に事欠きませんでした。
しかし、当時から
「需要の先食い」といわれたように、
いま、
家電量販店の多くは苦境に立たされています。

ただ、もともと
少子高齢化、国内人口の減少がいわれる日本において、
家電市場には
大きな伸びは期待できません。
大型の家電量販店が増え、地域にある「町の電機屋さん」は、
かなり
淘汰が進みました。都市型の量販店でも、
近年では「さくらや」が解散するなど、
競争が激化しています。
いずれにしろ、生き残りをかけて
業界全体ビジネスモデルを見直さなければいけません。

動きはすでにはじまっています。
12月3日の日本経済新聞によれば、
ヨドバシカメラは、家電量販店のビジネスモデルから、
大型専門店などを集めた
商業施設運営に経営のカジを切るといいます。
すでに2015年に、大阪市で
家電売り場のない大型商業施設を開業する予定です。
コジマは、今後の新規出店の半数が、
食品スーパーなどとの
共同出店や商業施設内になるといいます。

既存の家電量販店のビジネスモデルを破壊し、
新たなビジネスモデルをつくるという意味では、
業界最大手のヤマダ電機も、これまでに布石を打ってきました。
例えば、豊島区にある
LABI1 日本総本店」など一部店舗は、
家族一日滞在し、買い物を楽しんでもらうコンセプトです。
日用品や医薬品、おもちゃの販売のほか、
子どものための遊び場、レストラン街、フットサルコートまであります。

さらに、今年10月、
ヤマダ電機は中堅住宅メーカー
エス・バイ・エルを子会社化しました。
目的は、
スマートグリッドの推進です。
つまり、
省エネ住宅市場に切り込んだということです。
住宅から、家電までワンストップで顧客に提供するというのです。

依然にも触れたように、
スマートグリッドには、
住宅、家電、自動車、電力や水や熱などのインフラ、
IT
、医療
など、さまざまな業界が関わるため、いま、
各業界の猛者たちが、主導権を握ろうと必死になっています。

家電量販店業界においても、ヤマダ電機が、
スマートグリッドの市場を
リードしようと狙っているわけです。
本業は家電販売ですが、小売店は、
もっとも顧客に近いというメリットがあります。
果たしてヤマダ電機は、そのメリットを生かし、
他業種との競争を勝ち残り、スマートグリッドのビジネスを
膨らませることができるのか。

家電販売も厳しい競争ですが、スマートグリッドの市場でも、
すでに過酷な競争が始まっている
のは間違いありません。


大人の“若者論”をどう見るか

2011-12-21 23:13:06 | インポート

今月17日の日本経済新聞の文化面に、
『今の若者はかわいそう』に異議 若き論客、多様な視点」
として、『絶望の国の幸福な若者たち』著者の
古市憲寿氏、
『「フクシマ」論』著者の
開沼博氏らが紹介されていました。
古市氏は最近では、14日の朝日新聞にも
「いまどきの20代は不遇? 幸せですけど」として、
オピニオン面に登場していました。

古市氏によれば、「内閣府の2010年の世論調査では、
20代の70%がいまの生活に満足していると答えている。
どの世代よりも高く、過去40年で最高。
未来を信じられない
からこそ、いまの幸福が際立つ」といいます。
確かに、そうかもしれません。
しかし、未来がよくならないから、いまが幸福だというのは、
いかにも
消極的幸福に聞こえます。
若者たちは、この先ずっと幸福でいられるのでしょうか。
70%の幸福な若者たちにとって、
幸福とは何か。
若者の時代の気分は如何なるものなのか。

例えば、現状に満足し、幸福だと考えているのか。
食べ物があって、家族や友達がいれば、幸せ」と思っているのか。
なかなか見えてきません。
多分
、若者の“幸福な気分”はそんな単純なものではないでしょう。
大人は、
必死に努力し、働かなければ幸福を維持できません。
日本は低成長時代に突入し、世界ではグローバル化が進んでいる。
うかうかしていると、
日本は世界から取り残されてしまう
ところが、
いまの若者には、いかにも活力がない。
働かなくても、親の世代がつくりあげた豊かさを享受して、
飢えることなく生きていけるから、ハングリー精神がないのか。

大人たちは、そんな風に思っているわけです。
この“
大人の論理”は、当然反発もあるハズです。
私はあってほしいと思っています。
現代の若者を
悲観しているわけではありません。
スポーツの世界を見れば、近頃の若いスポーツ選手たちの、
グローバルな活躍ぶりに目を見張ります。
サッカーしかり、野球しかり、フィギュアスケート、水泳、体操など
新しいタイプの、
世界で活躍するアスリートが次々と出てきています。
また、
IT業界で起業し、グローバル展開する若者もいます。
積極的に
ボランティアやNPOで活動する若者や、
「社会起業家」と呼ばれる若者たちもいます。

彼らはきっと、
苦しいでしょう。
しかし、
目標に向けて必死に努力している姿に、
説明するのは難しいのですが、これまでの若者にはない、
ある種のスガスガしさを感じます。
あるいは、なぜだかわかりませんが、
悲壮感がないところに、
これまでの若者と違う印象を受けます。

経済の世界にも、政治の世界にも、
そのように
元気な若者は、きっといるはずです。
将来も、スポーツ、政治、経済など、
あらゆる分野で、
活力ある日本を創ってほしい。
私は、若者に迎合するつもりはありませんが、
応援したいと思っています。


ビジネスは始まっている!東芝のスマートコミュニティ戦略

2011-12-20 21:45:37 | 社会・経済

私は、先週16日、東芝による
「スマートコミュニティが創る成長戦略」の発表会に出かけました。
会場の
帝国ホテルで、
東芝社長の
佐々木則夫氏が自ら登壇し、説明しました。
大変な力の入れようでした。実際、佐々木社長は
スマートコミュニティ・アライアンスという、
スマート・コミュニティに対する国際展開などを推進する
事業体の会長をしておりまして、
日本全体を含めて、
スマートコミュニティを推進していく立場
です」と、
旗振り役を自認しています。

2015の世界のスマートコミュニティ市場規模は、
推定
約163兆円にのぼるといいます。
東芝は、同年度の
ターゲット市場規模を8兆円とみています。
売上目標は、9000億円、うち、国内が37%、海外が63%。
海外は、先進国34%、新興国29%

商材別売り上げ目標は、
ICT・クラウドソリューション12%、
スマートグリッド、ランディスギア33%、
スマート交通2%、スマートファシリティ52%
という内訳です。

このように、
東芝が、明確な数値目標を示したことは、
東芝が
スマートグリッドに、
戦略的に取り組むことを宣言した
ということです。
もともと東芝は、電気をはじめ、熱、水、交通など、
社会インフラ事業に注力
してきました。
それらに
ICTを融合させ、さらに、工場、ビル、ホーム、医療、
コンテンツなどのソリューション
とも連携する、
地域エネルギーマネジメントを実現しようというのです。

世界では、再生エネルギーを含む
スマートグリッド型の案件が217件、
スマートコミュニティの再開発型の案件が195件
スマートコミュニティの
新規開発型の案件が73件
すでに、動き出しているといいます。
スマートコミュニティのビジネスは、すでに始まっているのです。

今回の発表は、
東芝が、スマートコミュニティで、
世界をリードしていく姿勢を見せた
といっていいでしょう。
以前からいっているように、スマートグリッドは、
高い社会インフラ技術とICTをもつ日本にとって、
大きな飛躍のチャンスです。
今後、
日本を支える一大産業に育つ可能性があると思います。
東芝は、すでにその第一歩を踏み出しているのです。