米グーグルは、27日に、「自動運転車」の試作車を発表しました。
従来、自動運転車の開発には、トヨタ車を改造して使っていましたが、
今回は、自社設計したクルマです。
丸っこい、ユーモラスな外見の写真を目にした人も多いと思います。
報道によれば、ハンドルも、アクセルも、ブレーキもないそうですね。
自動運転の開始ボタンと終了ボタンしかない。
グーグルは、今後2年間で100台を生産し、走行試験を行うといいます。
順調なら、2年以内にカリフォルニア州で小規模な試験運用を始め、
2020年ごろの実用化を目指す方針です。
自動運転技術の開発の目的は、温室効果ガスを削減したり、
渋滞をなくして効率的な交通を実現する、
高齢者の外出手段としての高齢化対策など、さまざまです。
しかし、もっとも大きな目的は、交通事故を減らすことでしょう。
交通事故は、90%以上が人間のミスによる事故といわれます。
優れた自動運転技術が完成すれば、これをゼロにできるかもしれない。
ちなみに、グーグルの自動運転車は、
これまでに、112万キロ以上を走っていますが、無事故です。
思えば、かつての自動車業界では、「“安全”は食えない」といわれました。
消費者がクルマに求める“安全”のレベルは、それほど高くなかったのです。
クルマを手に入れることが重要で、それがいかに安全かは、二の次でした。
しかし、例えば日本では、1970年に、
交通事故死者数が過去最悪の1万6765人となりました。
自動車メーカーは、“走る凶器”をつくっているわけにはいかないと、
対策に乗り出しました。
自動車メーカーが、交通安全教室などを主催することも増えました。
同時に、消費者の“安全”へのニーズも高まり、
いまや、クルマは“安全”性能をウリにする時代です。
日本の交通事故死者数は、09年以降、5000人を切っています。
米国でも、交通事故は課題の一つです。
90年代には5万人以上が交通事故で亡くなっていました。
近年は減少傾向にありますが、いまだに年間3万人を超えます。
人口は日本の3倍に満たないのに、死者数は6倍以上です。
おそらく、米国は、日本以上に、
交通事故対策に切迫感をもっているはずです。
自動運転車が普及するには、まだまだ課題がたくさんあります。
しかし、確実に開発は進み、技術は進歩しています。
交通事故死者がゼロになる日は、夢物語ではないと思いますね。