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片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

日産のEV商用車、いよいよ本命!?

2014-06-09 18:35:19 | 日産

日産は、EVの商用車「e-NV200」を発表しました。
スペインで生産し、欧州では6月、国内では10月に発売予定です。
EV
といえば、「日産リーフ」が有名ですが、本来、EVは商用車向きです。
ようやく商用車が出たか、という印象を受けましたね。

なぜ、EVが商用車向きなのか。
副社長の片桐隆夫さんは、今日の発表会の席上、
「走行距離を含め、車の使い方が、ある程度限定される商用車こそ、
EV
が得意とする分野だ」と、強調しました。
「商用車での電気自動車のポテンシャルは、十分に高い」というのです。

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※説明に立つ副社長の片桐隆夫さん

例えばホンダは、10年12月、
商用車として、電動二輪「EV-neo」を発表しました。
郵便や新聞、ピザなどの配達の用途を見込んだものです。
EV
は、航続距離が限られます。
その点、配送などに使う商用車は、同じコースを回ったり、
移動範囲が限られるため、航続距離が短くても、大きな問題はありません。

これは、四輪も同じです。
日産は、「e-NV200」の用途として、荷物の集荷配送車や、
ネットスーパーの配送車、小売店回りの営業車、
文書配送車などを見込んでいます。
一度充電すれば、185~190km走行できますから、
配送に関する用途は、ほかにもいろいろ見込めますよね。
商用車は、使用時間も、だいたい決まっていますから、
基地に充電器を設置すれば、計画的に充電することも可能です。
ほかにも、揺れない、静か、排ガスが出ないなどのEVのメリットをいかし、
ペットのトリミングサロンの送迎などの用途も考えているといいます。

Dsc06981

※充電ポートに接続された「e-NV200」

日産の電気自動車、「日産リーフ」は、
当初予定されたほど、売れていません。
いまだに、世界販売台数は11万5000台ほどです。
ハイブリッド車に比べると、普及率は、圧倒的に低い。
日産社長のカルロス・ゴーンさんは、昨年1月、
EV
の販売不振について「失望している」と語ったほどです。
航続距離が短いうえ、充電インフラが整っていなかったこと、
価格が高いことなどが、大きな原因と考えられます。

しかし、商用車なら、決まった場所で充電すればいいわけですから、
航続距離とインフラの問題は解消します。
価格から見ても、トータルコストを考えれば、
ユーザーにメリットをもたらすことができるといいます。

国内で、EVが巻き返すチャンスがあるとするならば、
商用車市場からではないでしょうかね。

 


日産のカルロス・ゴーンの壮大な“賭け”?

2014-03-19 15:43:24 | 日産

これは、ゴーンさんの“賭け”ではないでしょうか。
それにしても、壮大な“賭け”です。

ルノー・日産アライアンスは、
研究・開発、生産技術・物流、購買、人事の4機能について、
4月1日から、統合深化を進めると発表しました。
これは、日産とルノーのCEOを兼務する、
カルロス・ゴーンさんの決断です。
私は、リスクを賭けた大実験だと思いますね。

ルノー・日産アライアンスは、99年に締結してから、
今年15年目を迎えました。
両社を合わせた世界販売台数は、昨年800万台を超えていますから、
そのアライアンスによるシナジー効果の可能性は、
計り知れないものがあります。
ただ、実際のところ、08年秋にリーマン・ショックが発生するまで、
シナジー効果は、ほとんど発揮されてこなかったといいます。
ルノーおよび日産は、それぞれ個別に研究、開発、生産をしていました。

ところが、リーマン・ショックによって、
世界の自動車市場は一気に冷え込みました。
ご多聞にもれず、ルノー、日産も経営的にピンチに陥りました。

リーマン・ショックを境に、両社は危機感を共有しました。
部品の共同購買や、プラットフォームの共有、
工場の“一体運営”などを進めました。
これまでの提携によるコスト削減効果は、
年間約27億ユーロ(約3800億円)と見込んでいます。

それ以上のシナジー効果を発揮するには、“一体運営”などといわずに、
一層のこと、ルノーと日産は経営統合したほうが効果があるハズです。
しかし、日本企業の日産と、仏企業のルノーは、
生い立ちが違いますし、企業文化もまったく違う。
経営統合に踏み込むには、あまりにリスクが大きい。
両社は、シナジー効果を最大限に発揮するための方法を
模索し続けてきたわけです。

今回の「4機能統合」は、ゴーンさんがたどりついた、
一つの答えといえるでしょう。
統合する各分野のトップを見てみると、
研究・開発、生産技術・物流分野は日産から、
購買、人事分野はルノーから、
それぞれアライアンス副社長に就任します。
それぞれの得意分野について、バランス感覚をもった配分になっている。

「4機能統合」というのは、少しわかりづらいかと思いますが、
手っ取り早くいうならば、ルノーと日産は、
グローバル展開にあたって、4分野のオペレーションを
“一体”で行うということです。
つまり、4分野を統合することではありません。
例えば、人事でいえば、給与などの制度を一緒にするわけではない。
両社は、世界中に生産拠点、研究・開発拠点、調達拠点などがありますが、
各拠点のベストな人事配置を行うということです。

いま以上の効率化やスケールメリットが期待できるのは、確実でしょう。
16年までに、少なくとも43億ユーロ(約6070億円)の
シナジー効果を出す目標です。
ゴーンさんは、「今後も統合できる領域の拡大を検討したい」
と話していますから、将来的に、さらなる統合深化も考えられる。
ただ、それは、今回の「4機能統合」の結果と効果を見極めてからでしょうね。

ルノー・日産の将来を占う“実験結果”は、大いに注目されます。
いくらグローバル時代とはいえ、世界でこんな壮大な実験をするのは、
ルノー・日産アライアンスが初めてですから。

 


日産は独自性を維持できるのか

2014-03-06 18:01:18 | 日産

日産とルノーが、一体運営化を進めています。
今日の日経新聞電子版には、
両社が、研究開発部門を一部統合するとありました。
日産はどうも、本部のルノーを、
「おんぶにだっこ」させられている印象がなくもありませんよね。
日産に比べて、ルノーの業績はよくないですからね。

日産とルノーは、1月末、研究開発、生産・物流、購買、人事について、
統合強化策を検討すると発表していました。
生産では、両社工場の一体運営などを進め、
人事面では、幹部の人事交流を進めるといいます。
前述の記事には、両社の研究開発部門の2万人を対象に、
エンジン開発や、次世代エコカーの技術などを融合するとあります。
グループ全体の競争力を高める狙いがあります。

両社の世界販売台数は、合計すると800万台を超えます。
したがって、一体運営を進めることによる効率化は、
大きな効果があることは、容易に想像できます。
ただ、問題は、日産副社長の西川広人さんがいうように、
「それぞれの独自性を維持しながら、
あたかも一つの会社で運営しているような効率性を達成する」
ことが、本当に、できるのかどうかということでしょうね。

「独自性を維持」という言葉で思い出すのは、
部品の共用化を進める、モジュール化の取り組みです。
以前、このブログでも書きました。
ルノー・日産も、「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」で、
モジュール化に取り組んでいますが、
部品の共用化を進めてコスト削減しつつ、
それぞれの車の独自性を維持し、競争力をつけるために、
さまざまな努力が行われました。

フランスのルノーと、日本の日産は、企業文化や風土がまったく違う。
そのなかで、CMFによって、設計思想を統一するだけでも、
想像を絶する苦労があったのです。
今度は、生産や人事などを一体運営し、
かつ、独自性を維持するというのですから、
CMF
以上に、とても一筋縄にはいかない、
さまざまな苦労が待ち受けているでしょう。

この取り組みを推し進めることは、日産にとって、
いいことなのか、悪いことなのか。
いまのところ、その答えはわかりません。
ただ、グローバル競争が加速するなかで、
厳しい局面にあるルノーと日産が、
生き残りをかけた大きな挑戦に出たことに、間違いはありませんね。


日産社員に危機意識は十分か

2013-12-18 17:14:28 | 日産

日産の業績が、2年連続で悪い。
昨年は、日本国内の販売台数ランキングで、
トヨタ、ホンダ、ダイハツ、スズキ続いて5位に甘んじたばかりか、
13年3月期の業績は、自動車大手7社で、唯一の営業減益となりました。

今年もまた、国内自動車業界で、日産の一人負けがいわれています。
今年度の中間決算は、各社、北米市場の好調と円安効果によって、
好決算が相次ぎました。
スズキ、富士重、マツダ、三菱自の営業利益は、過去最高でした。
トヨタは、前年同期比81%増。ホンダも増益です。

日産だけは、北米市場で伸び悩み、
中国など新興国市場も苦戦して、営業利益は前年同期比-2.6%。
14年3月期の業績見通しを、4200億円から3550億円に、
650億円、下方修正しました。

日産CEOのカルロス・ゴーンさんは、
急遽、経営体制を見直しました。
その一環として、ゴーンさんの“女房役”を務めてきた
志賀俊之さんは、COOから退任しました。
志賀さんについては、日産とルノーの間のパイプ役であり、
国内事業を立て直してきた人物として、内外から評価が高い。
業績悪化の責任をとらされたという見方がもっぱらです。

では、ゴーンさんには責任がないのか。
トップとして、当然、あるでしょう。
ただし、99年にCOO、01年にCEOに就任して倒産寸前の日産を立て直し、
今日の日産を築いたのは、まぎれもなくゴーンさんです。
ゴーンさんなしに、いまの日産はない。それは確かですね。
日産の人たちと話をしていると、ルノーと一緒に仕事をするのは、
企業文化が違うので、大変だといいます。
その通りだろうと思います。
しかし、ここまで日産が頑張ってこられたのは、
異文化のルノーとの衝突があればこそではないでしょうか。
そして、当面、ゴーンさんにかわって日産を引っ張っていけるリーダーは、
見当たりません。

考えてみるに、今年、ゴーン体制は、14年目。
改革が色あせ、社員の危機意識は薄れたのではないか。
改革づかれもあるでしょう。

日産の立て直しにかかりきりだったころに比べ、
いまは、ゴーンさんが日本に月に1週間ほどしかいない。
日産の取締役会長兼社長兼CEO、
そしてルノーの会長兼CEO、
そしてルノー・日産アライアンスの会長を務めるなど、
ゴーンさんは超多忙です。
こわいトップが不在がちとなれば、組織にいつの間にか緊張感がなくなり、
“ゆるく”なるのは避けられませんよね。

ゴーンさんは、いま、日産の立て直しに向けて
再びネジを巻きなおしにかかった。
志賀さんがCOOをはずれたのは、結果として、
日産社内へのショック療法になるのではないか。

そうだとするならば、日産の再生は、ゴーンさんがどうのというよりは、
社員一人ひとりの意識の問題ではないか。
志賀さんの退任を無駄にしないためにも、
日産社員の踏ん張りが期待されますわね。


なぜ日産と三菱自動車のコラボは成功したか ③

2013-06-18 17:01:38 | 日産

ここまで触れてきたように、NMKVは、
日産と三菱自動車が50%ずつ共同出資して設立した、
軽自動車の企画開発に特化した会社です。
代表取締役社長CEOは、日産出身の遠藤淳一さん、
代表取締役副社長COOは、三菱自動車出身の栗原信一さんと、
両社から仲良く出ています。
全体で、社員は100人ほどという小さな組織で、
日産側からは約30人が常駐していいます。

日産と三菱とNMKVは、三社で協業して、
日産の「DAYS」と三菱自動車の「eKワゴン」をつくりました。
一つのプロジェクトのなかで、
異なるアイデンティティをもった二つの車をつくったわけです。
では、具体的に、NMKVはどんな役割を果たしたのでしょうか。

まず、企画です。市場調査をもとにターゲットを定め、
車の基本コンセプトをつくります。
そうえで、クルマの仕様にまで落とし込む作業を行います。
たとえば、NMKVが企画し、採用された仕様として、
上位グレード車に導入されている、
紫外線を気にする主婦層を狙った「スーパーUVカットガラス」のほか、
エアコンの操作画面が、まるでスマートフォンのような、
タッチパネル式などです。

これらを織り込んで、日産と三菱自動車とNMKVは、
一つのチームとなってデザイン設計を行います。
そして、3社合同デザイン決定会議を行ったうえで、
日産、三菱自動車がそれぞれの自社の車のデザインを決定しました。

次に、開発です。企画されたクルマについて、
技術やコストとの折り合いをつけながら、開発を進めます。
その際、日産は、軽自動車の開発を行ったことがありませんから、
中心になるのは三菱自動車の開発部隊です。

NMKV
は、QCT(品質、コスト、時間)目標をつくり、
三菱自動車の開発部署に提示すると同時に、
実務のマネジメントやサポートを行ったのです。
つまり、日産流の燃費技術や、購買、コスト低減などのノウハウを、
NMKV
が翻訳して、新型車に生かしたわけです。

実際の現場では、品質管理など、互いのやり方をオープンにしたうえで、
ベストの方法を探っていったといいます。
日産と三菱が直接やりとりしたのでは、さまざまな軋轢が生じて、
こうした協業はできなかったでしょう。

つまり、両社の間に、緩衝帯ともいうべき、NMKVをつくり、
そこへ、互いの強みを持ち寄る形とした。
これにより、余計な摩擦が起こらず、スピーディな開発が可能になった。
二つの機種を一つのプロジェクトでつくりあげることができたという次第です。
結論すれば、今回のコラボの成功は、
企画開発に特化した会社、NMKVを設置するという
「知恵」のおかげといえるでしょうね。<o:p></o:p>