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片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

シャープ再建はなるか ③部品メーカーに徹しろ

2013-05-20 17:31:03 | デジタル・インターネット

前回は、シャープに残された期間はあと2年と、
厳しいことを書きました。つまり、余命2年です。
その間に根本的な治療を行わなければ、生きながらえることはできません。

近年の家電のデジタル化は、電機メーカーの競争のルールを変えました。
結果、サムスン電子やLGエレクトロニクスの
韓国メーカーが台頭しました。
よく指摘されることですが、
アナログ時代には、テレビの生産には、高い技術力が必要でした。
しかし、デジタル時代に入り、コモディティ化が進んだ結果、
部品を集めて組み立てれば、誰でもテレビをつくれるようになりました。
それに伴って、レイバーコストの低い中国や台湾など、
新興国メーカーも、低価格商品を大量に生産、販売して、
急速に力をつけ、グローバル市場に台頭してきました。

ソニーやパナソニックは、3Dや4Kといった、
高度な技術を搭載したテレビを開発して対抗しましたが、
これらの技術は、消費者の支持を集めているとはいえません。
だとすれば、シャープをはじめ、日本の家電メーカーは、
今後、どうやって生き残っていけばいいのでしょうか。
シャープに限らず、ソニー、パナソニックにも突きつけられています。

私は、日本の総合電機メーカーは、
従来のビジネスモデルに固執している限り、
もはや生き残る道はないと思います。
白モノ、黒モノを開発し、最先端のデジタル家電を揃え……
と、何にでも手を出している余裕はないのです。
得意分野に特化し、道を究める方にチェンジすべきです。

パナソニックは、テレビなどの単品ビジネスから、
システムやソリューションを売るビジネスへ転換を図ろうとしています。
ことシャープに関していえば、複写機や白モノなどの事業ももっていますが、
部品メーカー、すなわち液晶パネルに特化する道を選ぶべきではないでしょうか。
部品としての液晶パネルは、
近年、韓国や台湾メーカーが台頭していますが、
シャープは、IGZOという最新のパネルを、世界で唯一量産しています。
したがって、いまのところ、技術優位性は確保できるのです。

シャープは、現在、三重県の亀山第1工場で小型液晶パネル、
IGZOの生産設備を備える同第2工場で中・小型液晶パネル、
大阪府の堺ディスプレイプロダクト(旧堺工場)で、
第10世代のマザーガラスから、大型液晶パネルを生産しています。

堺ディスプレイプロダクトの稼働率は、3割にまで落ちこんでいましたが、
鴻海の出資を受け入れて子会社化して以来、
ソニーやビジオなどからの発注で、9割に回復しているといいます。
亀山工場の稼働率も、サムスンからの発注などで回復しつつあり、
今後も回復が見込まれるようです。
これらは、部品メーカーとしての実績としていっていいでしょう。

部品メーカーは、供給先のメーカーに振り回されます。
事実、シャープは、アップルやサムスンなど大型顧客からの受注次第で、
工場の稼働率が大きく左右されます。
さらに、液晶パネルに特化するとなれば、相当な痛みを伴う改革が求められます。
苦しい道ではありますが、それでも、
生き残るためには、それ以外の選択肢はないのではないでしょうか。

部品メーカーというと、何か一段と低いイメージを持たれがちですが、
そんなことはありません。
まず、総合電機メーカーの夢を捨て去ることです。
そして、世界一の液晶パネルメーカーを目指せば、
十分に生きていけるハズです。
シャープには、体面にこだわっている余裕などありません。<o:p></o:p>

 


家電は、「黒」から「白」へ?

2013-04-03 18:08:47 | デジタル・インターネット

家電の主役は、再び「白物」に戻ったのでしょうか。
テレビなど「黒物」の凋落は目を覆うばかりです。

4月2日付けの日本経済新聞夕刊に、
「10年ぶりに家電『白黒』逆転」という記事が掲載されていました。
「洗濯機や冷蔵庫など白物家電の出荷額は前年比0.4%減の
2兆1943億円だったのに対し、薄型テレビなどデジタル家電は
同43.0%減の1兆6054億円と大幅に落ち込んだ」と書かれています。

実際、事務所の近くの電器屋さんにいったところ、
店頭に36万円の値札がついた全自動洗濯機が陳列されていました。
驚きました。購入する人がいるということですからね。
つまり、省エネ機能など、高機能を高めた新商品を出せば、
白物家電は、高価格でも買い替えてもらえるということです。
実際、家電量販店のなかには、白物家電の売り場面積を増やしている
ところもあると聞きます。

そうはいっても、「白物」だけに頼るわけにはいきません。
テレビを例にしていえば、家電メーカーの多くは、
テレビ事業が売上高の多くを占めます。
となれば、簡単に切り捨てることはできません。

「お客さまにほんとうに喜んでいただけるのは、
どういうテレビなのかの議論を重ねて、
それを市場に出します」
2012年11月にインタビューしたとき、
ソニー社長の平井一夫さんはそう語っていました。
実際、ソニーは、2011年にシェアから収益へと方針を転換し、
中型以下の機種をしぼりこみ、大型を中心に販売することで
テレビ事業の14年度3月期の黒字化を目指しています。

一部には、テレビの復活に「4K」テレビがあげられています。
現に、ソニー、東芝、シャープはいま、フルハイビジョンの
4倍の解像度をもつ「4K」テレビに力を入れています。
ただし、ソニーの84型が160万円を超え、
シャープの60型が262万円を高えるなど、高価格です。
もっと値段が下がらなければいけない。
それには、少し時間がかかるでしょうね。

だいいち、フルHDの番組を4Kテレビに映しても、
4Kの画質を楽しむことはできません。
現在、「4K」のコンテンツがないのですから。

総務省は、ブラジルで開かれるサッカー・ワールドカップの
決勝トーナメントに合わせて、14年7月に4Kに対応した
放送を始める方針ですが、そのタイミングで4Kテレビへの
買い替えが進むかどうか。
いまのままでは、3Dテレビと一緒で、不発に終わるでしょうな。

私は、それよりも、当面、期待できそうなのは、
スマートテレビではないかと見ています。
スマートテレビは、パソコンやスマートフォン、
タブレットデバイスと連携したり、インターネットに接続することで
さまざまなデジタルコンテンツやクラウドサービスを楽しむことができます。
スマートテレビの普及の壁は、使い勝手だといわれます。
また、テレビでインターネット接続を利用したことのある人の数も
少数にとどまっています。

家電メーカーにとって、普及のカギはここにあるといえそうです。

パナソニックは、4月2日、ネットワーク機能を強化した
薄型テレビ「スマートビエラ」の新製品を今月下旬に
発売すると発表しました。
顔認識でお気に入り画面を表示する機能、
音声で検索できる機能などがついています。

とはいえ、日本の家電メーカーがテレビで食べていく時代は
終わったと見ています。
「プラズマテレビ事業からの撤退はしないが、ゼロではない。
どこまで頑張れるか。頑張れる限り、頑張る」

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いみじくも、パナソニック社長の津賀一宏さんは、
3月28日に開かれた「2013年度事業方針説明会」の席上、
そう語りましたが、実際、プラズマに限らず、テレビ事業は、
ギリギリのところにきているのは確かですからね。


車もすごいが、鉄道はもっとすごい、ICTの活用

2013-03-25 18:53:57 | デジタル・インターネット

自動車産業はいま、ICT(情報通信技術)を活用した
走行実験を行うなど、実用化に向けた取り組みを進めています。
でも、ICTの活用は、鉄道でも進められていることを
ご存知でしょうか。

まずは、自動車について見てみましょう。
ホンダは、2012年9月から2013年2月にかけて、
インドネシアで渋滞抑制技術に関する公道実験を実施しました。
実験車両に専用アプリをダウンロードしたスマホを搭載し、
ジャカルタの高速道路を走らせたそうです。
スマホの画面が緑色ならば、加減速が穏やかな状態、
青色だと渋滞につながる急激な加減速がある状態を示し、
できる限り、緑色を保って運転すれば、
車速のばらつきがなく、渋滞を抑制できるとしています。
早い話が、すべての車が同じ速度で走行すれば、
渋滞の発生を抑制できるというわけです。
実験の結果、渋滞発生を遅らせる効果と
燃費を20%以上向上させる効果が確認されたといいます。

すべての車が同じ速度で滑らかに走行すれば、渋滞は抑制できる。
当たり前ですよね。
この当たり前のことが、じつは、鉄道分野では、
早い時期から取り入れられています。
わかりやすい例でいうと、東京の山手線は、ピーク時1時間に
外回りは2分20秒ヘッド、内回りは2分30分ヘッドで
運転されています。
前方の列車と一定の距離をとらなければ、
追突事故が起きかねません。
山手線が安全に運行できるのは、ICTを活用しているからです。

鉄道とICTには、長い積み重ねがあります。
私がかつて、上梓した「鉄道大革命」(交通新聞社刊)のなかで
取り上げた、新幹線運行管理システム「COMTRAC(コムトラック)」
が、それです。

新幹線のデータをリアルタイムで処理する「COMTRAC」は、
次世代運転制御システム「CARAT(カラット)」へと発展していきます。
「CARAT」は、これまで地上設備が行っていた
列車の位置検知を車両自身が行い、
無線によってセンターに伝達する仕組みです。
ちなみに、従来は列車の位置検知は、レール脇に設置された
地上設備によって行われてきました。

「CARAT」の列車制御技術を発展させたシステムが
2011年10月、仙石線に導入された、
無線による列車制御システム「ATACS(アタックス)」です。
列車に電磁的に情報を与える地上子とよばれる装置を地上に設置し、
地上子と速度計から算出した走行距離をもとに、
自らの列車の絶対位置を車上で検知。
そのうえで、車上とセンターの間で、一分おきに無線による
走行方向の情報通信を行います。
各車両が無線を使って、つねにセンターとやりとりしながら、
前方の列車と一定の距離を保って、安全な運行を実現する仕組みです。

専用無線ではなく、携帯電話モジュールを車上に組み込み、
汎用無線を使う列車制御システム「ATP閉塞システム」の
開発も行われています。
「ATP閉塞システム」が導入されれば、架線も必要なくなります。
そうなれば、鉄道の風景は変わるでしょうね。

自動車がICTの活用によって、
渋滞のない交通社会を目指しているのと同様、
鉄道もまた、ICTの活用を進めて、
品質向上と安全確保を目指しているのですね。
どちらも、世界最高レベルの技術力あってこそ、実現できます。
やや先走っていえば、いまや自動車も鉄道も、“自動運転”が
視野に入ってきたことを意味しています。


コンピュータが人間を超えるのは本当か?

2013-02-22 20:59:50 | デジタル・インターネット

将棋の現役棋士VSコンピュータ。
今回は、どちらが勝つのか。
「プログラムはいまや、プロ並みの強さに達し、
『人間苦戦』も予想される。現役プロが負ければ史上初」
2月18日付けの朝日新聞に、興味深い記事がありました。

将棋プログラムは、なぜ、プロを脅かすほど強くなっているのか。
CPU(計算処理能力)の向上のほか、
マシン・ラーニング(自動学習)などがあげられるそうです。
こういう局面では、こう指すと自動的に学習して
判断するということですね。
ただ、「枝分かれが多い局面になると、コンピュータは
深く読めなくなる」と、朝日新聞紙上で
東京農工大大学院教授の小谷善行さんはいっています。
いかに、答えを出しにくい展開に、人間がもちこめるか。
勝負のカギは、ここにあるといえそうです。

コンピュータといえば、運転手なしで走る
「自動運転車」も公開されています。
車の位置、歩行者の有無、信号の色などの情報を
車載コンピュータが分析し、電子制御で速度調整などを行います。
07年にグーグルが研究を始め、これまで48万キロ以上を
無事故で走行。5年以内に一般の人が利用できるようになる
という見通しを発表しています。

「自動運転車」については、トヨタもすでに実験を行っていますし、
アウディ、GM、フォードも開発を進めています。

人が運転するのと、コンピュータが運転するのとでは、
どちらが安全なのか。
かりにもコンピュータの運転の方が安全となれば、
車を取り巻く環境はもとより、人の移動のあり方も
大きく変わってくるでしょうな。
なんでも、グーグルの自動運転に、人間の運転する車が
追突したといいますからね。

これらコンピュータの働きは、すべて
「AI」すなわち人工知能の成せるワザです。
人工知能は、コンピュータによる知的な情報処理システム
そのものですよね。
今後、人工知能の研究によって、
人間の知能にどこまで迫れるか。
知能ロボットの進化がやまないSF的世界は、
まだまだ序の口だそうです。

まあ、スゴイですよね、の一言ですわ。

もう、運転免許を取得するために、自動車教習所に
通う必要はなくなるのか。
免許証の更新にいかなくてもすむのか。
また、バスやタクシーの運転手、
トラックの運転手が失業する日がくるのでしょうかね。


コリン・パウエル氏と豊田章男氏がセッション② 失敗を恐れてはいけない

2012-12-11 19:28:22 | デジタル・インターネット

コリン・パウエル元国務長官と
豊田章男さんの特別セッションの続きです。


司会のマーク・ベニオフ氏は、1999年3月、

サンフランシスコでセールスフォース・ドットコム
を立ち上げた、クラウドコンピューティング界のリーダーです。
オラクルの社員から起業家になったベニオフ氏は、
自身のシリコンバレーでの起業経験を踏まえて、
「アントレプレナーシップを促進させるには、
何が大事か」という問いを2人に投げかけました。

豊田章男さんは、開口一番、
「大事なのは、ビジョン、目的、出発点です」と答えました。
そして、ビジョンをサポートする仕組みとして、
たとえば、資金の支援、信用の支援が大切だと
指摘するとともに、「失敗しても、やり直せる
仕組みも大切ではないかと思います」と語りました。

豊田章男さんのこの言葉を受けて、
コリン・パウエル氏は、こう語りました。
「失敗してもいいか……という問題ではない。
なぜなら、必ず失敗するからだ」
アメリカの外交、軍事に重要な役割を果たしてきた、
氏の生きざまを垣間見る思いがしました。

あらためて指摘するまでもなく、パウエル氏は、
ブッシュ政権時代に国務長官を務め、
イラク戦争に最後まで反対したことで知られます。
イラクの大量殺戮兵器については、
「誤報だった。人生最大の恥」と言い切りました。

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パウエル氏が語った“失敗学”のエッセンスは、
以下のようです。


「失敗にくよくよするな。学び、前進せよ」

私たちは、しばしば失敗を恐れるがために
チャレンジを踏みとどまってしまいます。
心の中の失敗したくないという気持ちが

チャレンジにブレーキをかけてしまうわけです。
しかし、安全領域にとどまっていては、
それ以上の成長がのぞめないのは、
指摘するまでもないでしょう。

パウエル氏が語った“失敗学”について、
私流にまとめると、次の7点になります。
①失敗を他人のせいにしない
②失敗をしっかり受け止める
③失敗の原因を分析する
④失敗から教訓を学ぶ
⑤教訓を受けて自分や組織を直す
⑥あとは、くよくよしない
⑦先に進む

パウエル氏は以前、日本の高校を訪問した時、
女子高校生から、こう質問されたそうです。
「私は、失敗が怖いんですが、
あなたは失敗が怖くありませんか」
パウエル氏は、次のように答えたといいます。
「もちろん、人間ですから、失敗はします。
学生だったら、試験の山かけに失敗したとか、
失敗はたくさんあるでしょう。
でも、失敗にこだわってはいけません。
多くの人が、失敗すると、そこにとどまってしまいますが、
先に進むことが大事です」


守りではなく、あくまでも攻めの姿勢ですね。
大きな仕事を成し遂げた人の自信でしょうか。
「トヨタの車を運転するときは、
リアミラーばかり見ていないで、
前を向いて運転しましょう」
パウエル氏は、そんな言葉で締めくくりました。
さすが大物は、ユーモアのセンスも抜群ですな。