片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

パナソニックは津賀体制で復活できるか!

2014-02-27 18:02:12 | 電機メーカー

昨日、パナソニックは、
4月1日付の取締役・役員の人事を発表しました。
一目見て、いよいよ、社長の津賀一宏さんの体制が
始動したのではないか、という印象を受けましたね。

津賀さんがパナソニック社長に就任したのは、
約2年前の2012年6月です。
しかし、日本企業では、多くの場合、
新社長が人事権を完全に掌握するのには、時間がかかります。
会長やらOBやらに振り回されて、苦労するものです。

パナソニックの場合、津賀さんが社長になったタイミングで、
08年以降、会長の座にあった中村邦夫さんが相談役になり、
それまで社長だった大坪文雄さんが、新会長の座につきました。
中村・大坪体制が、尾を引いていたと思います。
いや、後ろ盾がなければ、社長は務まらなかったともいえます。

13年6月に、事実上の引責の形で大坪氏が会長を退き、
会長の座には、パナソニック電工出身の長榮周作さんが就きました。
津賀さんは、その後、10月に異例の役員人事を行い、
徐々に津賀カラーを出していきましたが、
今回の役員人事で、それが明確になったと思います。
つまり、旧体制の一新ですね。

取締役・役員の一覧を眺めると、
電工出身の長榮さんが、引き続き会長を務めるほか、
専務に昇任した吉田民夫さんは電工出身です。
5人の新任役員のうち、北野亮さんは電工出身です。
パナソニック、電工のバランスに
配慮した人事といっていいのではないでしょうか。

津賀さんは、事業部制を復活させたり、
聖域だった本社にメスを入れたり、
B2CからB2Bへと、大きく経営戦略の舵を切るなど、
前向きな改革を次々と行っています。
本格的な津賀体制のもと、
2015年に営業利益3500億円以上という、
中期計画を達成できるのか。
まあ、ここからが正念場でしょうね。


”在宅勤務”は是か非か?

2014-02-26 19:13:56 | 社会・経済

自動車や電機などのメーカーをウォッチングしていて、
折に触れて感じるのは、メール、テレビ会議など、
ITツールがいくら発達しても、人間同士が直接、顔と顔を突き合わせ、
やりとりすることに勝るものはないということです。

コマツでは、開発部隊を、「車で30分」の距離だからと、
生産部隊とは別の敷地に移したところ、コミュニケーションが疎遠になり、
アクションが遅れるようになった。
そこで、急いで元に戻したという話を聞きました。
ホンダでも、二輪車や軽自動車の開発にあたり、
従来、別々の場所にいた開発部隊と生産部隊を、
同じ場所に置くことで、円滑なコミュニケーションができるようになり、
商品開発がスピードアップしたという例があります。

遠隔勤務や在宅勤務に、寛容というか、積極的なのが、
IT業界ですよね。シリコンバレーはその典型です。
以前、サムスンのある人事担当者からも、こんな話を聞きました。
「優秀な人材を、韓国に呼び寄せて囲い込もうとしても無理です。
必ずしも、韓国にきてもらう必要はない。自宅にいて構わない。
在宅勤務でいいんです。
必要なのは、その人の体ではなく、頭脳ですからね。
世界中どこにいても、ネットを介して仕事をしてもらうことができますから」

ところが、IT業界では、近年、この動きの反動があるようです。
コンピュータ言語の一種「XML」の第一人者として知られる、
ティム・ブレイさんは、在宅勤務ができないという理由で、
グーグルを退社するといいます。
米ヤフーは、昨年2月に、従業員の在宅勤務を廃止すると表明しました。
CEOのマリッサ・メイヤーさんは、
「一人でいるほうが生産性はあがるが、
集団でいるほうがイノベーティブになる」といっています。
在宅勤務も、一長一短ということでしょうか。

日本でも、パナソニックやソニーをはじめ、多くの企業が、
従業員の在宅勤務を認めています。
ただ、例えばパナソニックの場合、
自宅のIT環境や、セキュリティ問題などの条件をクリアしたうえで、
最大、一か月に、月の勤務日数の半分までという上限がついています。
つまり、ティム・ブレイさんのように、
カナダにいながら、カリフォルニアに本社があるグーグルに勤める、
というような勤務は、想定していません。

ありきたりの結論かもしれませんが、二者択一の問題ではありません。
在宅勤務も、顔を突き合わせた働き方も、
両立して、使い分けることができればいいのだと思います。
どちらにも、メリット、デメリットがありますからね。

大企業は、何万人もの従業員が、ベクトルを一つにして、
成果をあげる働きをすることが求められます。
そのためには、IT企業といえども、
頻繁に顔を突き合わせる必要があるのは、当然のことかもしれません。

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