片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

次期社長は、東芝史上初の調達出身

2013-02-26 21:51:47 | 社会・経済

東芝の次期社長に就任予定の田中久雄氏が今日、
東芝本社で記者会見を行いました。
“スピードの人”という印象を受けましたね。

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佐々木則夫社長のあとを引き継ぐことになった、
田中氏は、1973年に東芝に入社し、
イギリス、アメリカ、フィリピンなど、
海外経験は、延べ14年にのぼるといいます。
赤字の英国のテレビ工場を1年で黒字化しろという命を受け、
なんと10ヶ月で黒字化した、実績もあります。

また、96年からの3年8か月におよぶ、
東芝情報機器フィリピンでの経験は、
海外のインフラ輸出事業に力を入れる東芝にとって、
大きなアドバンテージとなるでしょう。
「社会インフラが整備されていないなかでのビジネス体験は、
貴重なものだったと思います」
会長の西田厚聡氏は、記者会見場でいっていました。

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田中氏は、調達、ロジスティックス、生産統括を担当する副社長です。
調達の担当者が社長に就任するのは、
東芝始まって以来のことだといいます。
私は、その経歴を聞いて時代を感じましたね。
現代は、サプライチェーンの時代ですよ。

調達は、コスト競争力を大きく左右するなど、
モノづくりのカギを握るといえます。
東芝は、年間3兆円を調達しているということですから、
調達力があるかないかは、極めて大きな問題といえるでしょう。
10年ほど前でしたか、ソニーの調達が1兆円と聞いたことがありますが、
3兆円という数字がいかに大きいかがわかります。

以前、東芝の調達の話を聞いたとき、
とにかく、その徹底ぶりに驚かされた記憶があります。
バラバラに仕入れていた部品を一括購入する「統合調達」をはじめ、
部位品の原料や素材を共同仕入れする「協調調達」や、
入札などを活用した「競合調達」にまで踏み込んでいるのです。
09年3月期の決算で、ソニーやパナソニック、シャープなどの
テレビ事業が軒並み赤字を計上したのに対して、
東芝だけが、日本のメーカーで唯一黒字でした。
それは、東芝の調達改革を抜きにしては考えられません。

その調達出身の田中氏が、次期社長に就くことにより、
自ずと今後の東芝の経営路線が見えてくるように思います。
「グローバル事業の拡大と収益体質の強化が使命です」
田中氏は、今日の会見でそう語りました。
その意味で、海外駐在14年、そして調達担当責任者の田中氏は、
うってつけの新社長といえるわけですな。



日本女性よ、もっと世界にはばたけ

2013-02-25 21:09:25 | 国際・政治

韓国で初の女性大統領が誕生しました。
朴槿恵(パク・クネ)新大統領です。

日本に女性の総理大臣が誕生するのは、
いつのことでしょうかね。

世界に目を向けると、最近、とみに
女性の活躍が目立つように思いますが、いかがでしょうか。
昨年10月、東京で開かれたIMF(国際通貨基金)・
世界銀行年次総会では、IMF専務理事の
クリスティーヌ・ラガルドさんが基調講演を行い、
「世界の最優先課題は、現下の危機を克服し、
何百万もの失業者に雇用を創出するために、
十分な成長を回復することだ」と
リーマン・ショック後の世界経済の道筋を示しました。

純白のスーツに身をつつんだ、ラガルドさんの姿は、
新聞紙上でも大きく扱われ、女性の活躍を印象づけました。

引退した、第67代国務長官のヒラリー・クリントンさんも
その活躍ぶりが目を引きます。
2011年12月、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チーさんを
軟禁されていたヤンゴンの湖畔の自宅に訪ねたことは、
女性リーダーの活躍をうかがわせるニュースでした。
二人が肩を抱き合う写真は、世界中に配信されましたよね。

ひるがえって、日本の女性リーダーはどうでしょうか。
1991年、国連難民高等弁務官に就任した、
緒方貞子さんがいます。
アーティストとなると、意外と頑張っているのではないでしょうか。
水玉の作品で知られる、草間彌生さんは、
強烈な個性と斬新な発想で、世界から高い評価を受けています。
今日、発表されたアカデミー賞では、残念ながら受賞を逃しましたが、
「白雪姫と鏡の女王」で衣装デザイン賞の候補になっていた、
デザイナーの故・石岡瑛子さんも、世界を舞台に活躍しました。
2人の共通項ともいえるのは、若い時に、日本を脱出して、
ニューヨークに渡ったことですよ。
日本にいたら、あの強烈な個性はつぶされたのではないでしょうか。

大きな成功を手に入れたいと考えるなら、
日本の女性は、外へ出るべきなのかもしれません。
世界には、日本国内では考えも及ばない、大きな活躍の場があります。
それから、男尊女卑とはいいませんが、
日本にはまだ、女性の成功を素直に評価する空気はありませんよね。

日本の政財界はどうでしょうか。
名前はあげませんが、いまの日本で、
その活躍がとりあげられている女性政治家や財界人は、
男性の視線を少なからず意識しているように思います。
なぜなら、男性の領域を侵さずに、
そこそこの活躍をすることが、大切だからです。
つまり、男性にどう映っているかを
つねに意識せざるを得ないのです。
残念ながら、実力者にすり寄るとか、長老にとりいるとか、
まだまだ、女性として自立していないように思われます。
まあ、女性の責任というよりは、政界も財界も古いんでしょうな。
これは、男も同じですかね。

その壁を突破するためには、日本が大きく変わらなければいけない。
日本の女性自身もまた、仕事に対する意識を高くもたなければいけない。
そう思いませんか。


コンピュータが人間を超えるのは本当か?

2013-02-22 20:59:50 | デジタル・インターネット

将棋の現役棋士VSコンピュータ。
今回は、どちらが勝つのか。
「プログラムはいまや、プロ並みの強さに達し、
『人間苦戦』も予想される。現役プロが負ければ史上初」
2月18日付けの朝日新聞に、興味深い記事がありました。

将棋プログラムは、なぜ、プロを脅かすほど強くなっているのか。
CPU(計算処理能力)の向上のほか、
マシン・ラーニング(自動学習)などがあげられるそうです。
こういう局面では、こう指すと自動的に学習して
判断するということですね。
ただ、「枝分かれが多い局面になると、コンピュータは
深く読めなくなる」と、朝日新聞紙上で
東京農工大大学院教授の小谷善行さんはいっています。
いかに、答えを出しにくい展開に、人間がもちこめるか。
勝負のカギは、ここにあるといえそうです。

コンピュータといえば、運転手なしで走る
「自動運転車」も公開されています。
車の位置、歩行者の有無、信号の色などの情報を
車載コンピュータが分析し、電子制御で速度調整などを行います。
07年にグーグルが研究を始め、これまで48万キロ以上を
無事故で走行。5年以内に一般の人が利用できるようになる
という見通しを発表しています。

「自動運転車」については、トヨタもすでに実験を行っていますし、
アウディ、GM、フォードも開発を進めています。

人が運転するのと、コンピュータが運転するのとでは、
どちらが安全なのか。
かりにもコンピュータの運転の方が安全となれば、
車を取り巻く環境はもとより、人の移動のあり方も
大きく変わってくるでしょうな。
なんでも、グーグルの自動運転に、人間の運転する車が
追突したといいますからね。

これらコンピュータの働きは、すべて
「AI」すなわち人工知能の成せるワザです。
人工知能は、コンピュータによる知的な情報処理システム
そのものですよね。
今後、人工知能の研究によって、
人間の知能にどこまで迫れるか。
知能ロボットの進化がやまないSF的世界は、
まだまだ序の口だそうです。

まあ、スゴイですよね、の一言ですわ。

もう、運転免許を取得するために、自動車教習所に
通う必要はなくなるのか。
免許証の更新にいかなくてもすむのか。
また、バスやタクシーの運転手、
トラックの運転手が失業する日がくるのでしょうかね。