ジーンズの価格破壊が進んでいます。
口火を切ったのは、今年3月、ファーストリテイリング(FR)が展開する、
「ユニクロ」の姉妹店、「ジー・ユー」の「¥990ジーンズ」でした。
「まあまあの商品を最低価格で」販売する「ジー・ユー」にとって、
「¥990ジーンズ」は、ある意味、ブランド力です。
3ケタでジーンズが買える!という衝撃は大きく、
普段着としては十分な品質とともに、消費者から圧倒的な支持を集めて
大ヒットになりました。
これに追随したのが、今年5月のセブン&アイホールデイングスの
「ザ・プライス」で発売された880円のジーンズです。
さらに、8月にはイオン、
9月にはダイエーが880円のジーンズを発売。
10月には西友が850円、
ドン・キホーテが690円のジーンズを売り出しました。
「ジー・ユー」のように、ブランド力につながったかは別として、
各社とも、格安ジーンズの売上は好調なようです。
どうして、これほどまでにジーンズを安くつくれるかといえば、
生産地の問題があります。
当初、中国で生産していたジーンズを、
より賃金の安いカンボジアへうつしたり、
さらに安いバングラディシュでつくることにより、コストを下げています。
また、日本人向けに、あらかじめ、また下を短くつくっておけば、
生地が少なくて済み、原材料費も抑えられるなど、
ジーンズは、値下げ幅が大きいという理由もあるようです。
ジーンズは、季節にとらわれずに通年売れて、
若者から中高年まで、幅広い年齢層が購入します。
業績不振の大手デパートなどにとって、
集客用の目玉商品にもってこいです。
各社は、客足が離れることを懸念し、集客用のツールとして、
競って、より安いジーンズを発売しているのです。
ジーンズ目的に集まった消費者に、
ほかの商品を買ってもらいたいわけです。
しかし、集客用にジーンズを安くするならば、
いったいどこまで安くなるのでしょうか。
まさか、ポケットティッシュのように、
ジーンズが道端で、
無料配布される日がやってくることはないでしょうが、
そんなことさえ考えてしまうほど、ジーンズは安くなりました。
いくら客寄せとはいえ、これ以上ジーンズを安くしても、
もう消費者は驚かないのではないでしょうか。ムダです。
「安物買いの銭失い」という格言がありますが、
これ以上の安売りは、デフレの連鎖を招くだけですね。