片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

タイの洪水被害拡大、日本企業は正念場!

2011-10-18 19:48:42 | 社会・経済

神は、2度も試練を与えるのでしょうか。

連日報道されている通り、タイの洪水被害が拡大しています。
タイは、
世界の製造業のアジア生産拠点であり、
多数の工業団地があります。
よく知られるように、
日系企業も多く進出しています。
今日の各紙の報道では、被害を受けた日系企業は、
400社を超えました。
被害は長引く懸念が強まっています。
国内の経営環境悪化によって、企業の海外進出が加速していますが、
海外進出してもなお、別の
大きなリスクが潜んでいたのです。
1年に2度も、世界の製造業の生産拠点が大きな自然災害を受けるとは……。

東日本大震災では、被災地の東北に、
自動車や家電の基幹部品、素材の
生産拠点が集中していたため、
一時、世界のあちこちで
自動車、家
電の工場が操業停止に
追い込まれました。
サプライチェーンの寸断です。
タイの洪水被害も、サプライチェーンの寸断が問題になっています。
部品メーカーが被害を受けて、
アセンブリメーカーの部品調達に支障が出たり、
逆に、
アセンブリメーカーに被害が出て、
部品メーカーが、生産を停止するなどの被害が出ているのです。

サプライチェーンは、
物流コストや効率を考えると、
工場を集積した方が有利です。「一極集中」のメリットです。
ところが、
東北地方にも、タイの工業団地にもいえることですが、
自然災害によって、この「一極集中」のリスクが顕在化しました。

タイのチョンブリ県には、
AMATA
コーポレーションPCL社の全面出資により、
2006
6月に開設された「
オオタテクノパーク」があります。
大田区の中小企業向け賃貸集合工場です。
じつは、私は、もっか、この「オオタテクノパーク」を取材中です。
心配になって、関係者に連絡をとってみたところ、
浸水の被害は受けていないものの、
アセンブリメーカーの洪水被害による生産停止に伴い、
ある
部品メーカーの生産がストップする被害が出ているそうです。
おそらく、タイ国内に限らず、世界規模で被害が出るでしょう。

政争から立ち直ったばかりのタイは、
これから成長しようというときに、
大きな痛手です。
復旧・復興にあたっては、
治水管理をはじめ、
現状、自動車に頼っている
交通インフラなどの
レベルアップ
が求められます。

日系企業もまた、東日本大震災の打撃から
ようやく立ち直りかけたときに、
2発目のパンチを食らってしまいました。
しかしながら、グローバル競争が激化している今日、
ひるんでいるわけにはいきません。
2つの災害を奇貨として、
これまで以上の輝きを手にすることができるのか。
まさに
日本企業の正念場です。