最近、日本の漫画やアニメ、食文化に対する評価が高い。
でも、それだけでは少し寂しくないですかね。
「ソフトパワー 日本は6位」という記事が
新聞に出ていました。
英国の情報誌「モノクル」12月号によると、
国際社会における文化の魅力や社会的価値観の
影響力などを示すソフトパワー・ランキングで
日本は、昨年より順位を1つあげて、
アジアで最高位を保ったというのです。
日本が順位をあげた背景として、
同誌では、漫画、アニメ、建築での魅力のほか、
ファッションや食の国際競争力の強さが、
あげられています。
「クールジャパン」の力が大きい
というわけです。
漫画、アニメが評価されたのは、
喜ぶべきことに間違いありませんが、
浮かれてはいられません。
なぜなら、日本が海外から期待されている
ソフトパワーとは、漫画、アニメだけとは
思えないからです。
アメリカの国際政治学者、ジョセフ・S・ナイ氏は、
著書『ソフト・パワー』(日本経済新聞社)において、
ソフトパワーとは、
「自国が望む結果を他国も望むようにする
力であり、他国を無理やり従わせるのではなく、
味方につける力」
と定義しています。
ソフトパワーに対して、ハードパワーはどうか。
こちらは、軍事力による威嚇や経済力など、
腕ずくで他国を変えようとする力をいいます。
しかし、漫画やアニメ、ファッションなどにくらべて、
肝心のその力が弱い。
たとえば、ビジネスでいえば、ソフトパワーとは、
ズバリ、ブランド、品質、サービス、文化です。
日本には、日本にしかできない高い品質、
日本にしかできないサービスなど、たくさんあります。
実際、日本は、モノづくりでは、世界で屈指の国で、
家電製品に象徴されるように、
これまで他国の追随を許しませんでした。
しかし、モノづくりでのソフトパワー部分には
ややカゲリが生まれました。
デザインが弱いのは、その象徴ですな。
それから、政治のソフトパワーも弱い。
ちょうど総選挙が真近な折から、
まあ、ムリな注文かもしれませんが、
政治の世界で存在感があり、尊敬される、
日本独自のソフトパワーが
国際的に評価されるようにならなければいけませんな。
日本は戦後、奇跡の高度成長を遂げ、
国際的に高く評価されました。
しかし、今日、日本人が“トラスト・ミー”といっても、
世界からは相手にされませんものね。