日本の大学は、世界からどう見られているのだろうか。
大学生は、意欲をもって勉学に励んでいるのだろうか。
そんなことを思ったのは、先日、4月から日本の大学で
教鞭を執ることになった、旧知の韓国の友人と
食事をしたことがキッカケでした。
「大学進学率は、確かに韓国の方が高いですね」
と、彼はいっていました。
ちなみに、韓国が79%、日本が56%です。
実際、韓国では、学歴至上主義を背景に、
日本以上に、厳しい受験戦争が繰り広げられているのは、
よく知られるところです。
また、大学受験は国家的イベントです。
電車の混雑を避けるために、会社の始業を遅らせるほどです。
韓国における大学の存在感は、極めて高いといえるでしょう。
4月5日付の朝日新聞に「大学変貌」と題する連載記事を見つけました。
「あせる東大、入り口改革、優秀な学生 国越え発掘」
と、見出しにあります。
国内では抜群の「東大ブランド」ですが、海外では影が薄い。
そこで、海外から優秀な学生を獲得するために、
東大は、教員がわざわざ海外に出向いて、高い学力と
向上心をもつ海外の高校生を発掘しているというのです。
このほか、来年度以降の導入を目指す秋始業、
インターネットで講義を無料配信する「MOOC」、
英語による従業だけで学位がとれる「PEAK」など。
明らかに、外国人留学生の増加を狙っています。
記事には、「近年、東大生は均質化してきた」とあります。
不況の影響で地方出身の学生が減ったことが理由だそうですが、
海外の優秀な学生を受け入れれば、均質化に歯止めをかけられる。
狙いが透けてみえますね。
早稲田大学も、海外版の指定校推薦制度を設けて留学生の獲得を
進めていると記事にありました。
産業界はいま、経済や企業活動のグローバル化にともない、
企業活動の国際展開を担うグローバル人材を強く求めています。
大学に必要とされるのは、世界で活躍できる人材の輩出です。
日本の大学は、そのニーズに応えることができるのか。
かつてないほどに、大学は変化を余儀なくされているといえます。
いうまでもなく、“ガラパゴス大学”では、グローバル人材は育ちません。
「でも、語学担当教授以外、外国人の教授はいないんですね。
これには驚きました」
韓国の友人は、そう語りました。
海外の有名大学と比べて、日本の大学は外国籍の教員が少ない。
これでは、グローバル化や多様化に乗り遅れますよね。
じつは、私も、ある女子大学で10年間、客員教授として
教壇に立ったことがありますが、大学というのは、
とにかく社会の風にあたっていません。
まあ、無風・無菌状態といっていいでしょう。
いったい日本の大学は、変わることができるのか。
日本の大学はいま、精力的に大学改革に取り組んでいますが、
果たして、世界の変化に追いつけるかどうか。
スピードある改革が求められますわね。