片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

<短信>

2011-10-06 20:17:09 | 短信

じつは、今日、大田区にいって、中小企業に関する取材をしてきたばかりです。
来月発売の月刊誌に、中小企業の海外展開について執筆します。


“悪い海外展開”では生き残れない

2011-10-06 20:15:56 | 社会・経済

いわゆる「6重苦」、とくに円高の圧力が、
国内製造業にとっての、強い向かい風となっています。
この点については、これまで繰り返し指摘してきたことです。
今日の日本経済新聞の1面にも、「試される日本経済」には、
「円高の重圧、企業は限界」として、
円高に苦しむ製造業の記事が載っていました。

歴史的円高が進行するなかで、大手はもちろん、
中小企業も海外への展開を進めざるを得ないところまで
追い込まれていますが、同記事には、
企業の海外展開には二つあるとしています。
“悪い展開”“良い展開”です。
これは、大企業にも、中小企業にも当てはまることだと、私は思います。

実際、“悪い展開”は、
国内の生産や雇用、
技術が丸ごと流出
します。
国内に雇用も技術も残らず、“真の産業空洞化”がもたらされます。

だいたい、
「悪い海外展開」が成功するのは難しいでしょう。
国内が苦しいからという消極的な理由で、
逃げ出すように、丸ごと海外進出をした場合、
進出先でも国内同様に価格競争に巻き込まれ、
失敗するケースが多いのではないでしょうか。

一方
“良い展開”とは、大量生産による汎用品の生産拠点を海外に移し、
高付加価値商品の生産は日本に残し、
あくまで
雇用を守り、技術にますます磨きをかける。
さすれば、国内の産業の
空洞化はまぬかれるから、
“良い展開”だというわけです。

いずれにしろ、私は、
国内で生き残れない企業は、
海外に出ていっても生き残れない
と思います。
日本の中小企業がなぜ強いかといえば、技術力があるからです。
確かな技術力をもっていれば、海外に出ていっても、
現地の部品メーカーにも負けません。
つまり、国内において、
高い技術力をもって足場を固め、
その技術力をもって海外進出すれば、
海外でも十分に生き残りが可能だと思います。