今回の未曾有の大震災によって、
東北地方の鉄道は、いまだ寸断されたままになっています。
そんななかで、明るいニュースがあります。
10月10日、JR仙石線あおば通―東塩釜間で、
列車制御システム「ATACS(アタックス)」の仕様が開始されたのです。
もともと、今年3月下旬に使用開始予定だったのですが、
東日本大震災で予定変更を余儀なくあれ、台風15号の影響もあって、
10月に入って、やっと導入されたのです。
これは、世界で初めて実用化された画期的な列車制御システムです。
列車制御システムとは、簡単にいうと、線路上を走る複数の列車が、
互いにぶつからないように制御するシステムのことです。
従来の列車制御システムは、列車の位置を、
線路に電気を流すことで検知して、信号に反映し、
前に列車がいるときには赤信号を出すというやり方で、制御していました。
この方法は、1872年に開発された、「軌道回路」を使う方法を、
140年近く、改良に改良を重ねて使って行ってきたものです。
ところが、「ATACS」は、「軌道回路」とは異なる、
まったく新しいシステムです。
列車はつねに自分の位置を把握しており、
無線を使ってコンピュータに知らせます。
この情報を、後続の列車が受け取り、
後続の列車は、先行列車にぶつからないように制御します。
デジタル無線により、車上・地上間で双方向の情報通信を行い、
列車を制御するシステムです。
固定化された「閉そく」ではなく、「移動閉そく」なのです。
これまでの列車制御システムと違って、
信号機などの地上設備や、
それらのメンテナンスが少なくてすみます。
じつは、先週、東北の被災地を訪ねました。
東北地方の、とくに津波の被害を受けた沿岸部の鉄道は、
ほとんど運休しています。線路が流出し、
いたるところで寸断されていました。
鉄道の復旧は容易ではないと感じました。
ましてや、町の復興計画がいまだ立てられない状況では、
復旧させようがないでしょう。
しかし、復興に地域交通は欠かせません。
高齢化の進む住民の足であると同時に、
地域同士がつながれば、地域間を人やモノが移動し、
活力が生まれます。今回の「ATACS」に限らず、
東北地方の復興に鉄道が大きな役割を果たすのは、間違いないと思います。
それだけに、一刻も早い町の復興計画が立てられることを、
望まざるを得ません。
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