昨日、ソニーの2014年度の経営方針説明会の席上、
社長の平井一夫さんは、謝罪の言葉を述べました。
「エレクトロニクス事業で黒字化を果たせず忸怩たる思い」
「期待に応えられず申し訳なく思う」
ソニーは、14年3月期に1284億円の赤字でした。
今期も引き続き、500億円の赤字が残るといいます。
それでも、今期中に構造改革をやりきり、
15年度には、4000億円の営業利益をあげると、
タンカというほど威勢はよくありませんが、目標を掲げました。
このコミットメントについては、厳しい見方が少なくありません。
昨年度、ソニーは、業績見通しを3回も下方修正しています。
さらにいえば、テレビの黒字化は、次こそ、次こそといいながら、
すでに昨年度で10年連続の赤字でした。
テレビ事業の黒字化に関しては、初めのころ、記者会見の席上、発表者が、
「オオカミ少年といわれますが……」と申し訳なさそうに語っていたものですが、
近年はそんな様子もなく、発表者は悪びれもしない。
社内でも、黒字化できないことに対して、危機感が薄まり、
当たり前になっているのではないでしょうか。
こんな様子ですから、いきなり15年度に4000億円といわれても、
「本当にできるのか」と、誰もが疑問に思うのは当然でしょう。
昨年度1350万台販売したテレビを、
今年度は1600万台売るといいますが、
中韓メーカーの低価格商品が次々と登場するなかで、
高付加価値が売りのソニーの4Kテレビが、それほど売れるものかどうか。
パナソニックには、車載や住宅といったB2B事業があり、
東芝には、電力・社会インフラなどの重電事業があります。
しかし、ソニーは、そうした逃げ道がない。
ソニーが掲げる3つのコア事業である、
モバイル、ゲーム、イメージングは、いずれも競争の激しい分野です。
アップル、サムスンのスマホや、マイクロソフトのゲーム、
ソーシャルゲームの台頭などに、どう立ち向かっていくのか。
いま一つ、これなら勝てる、と思える
戦略および武器が見当たりません。
本当に、エレクトロニクス事業を黒字化できるのか。
15年度に4000億円の利益をあげることができるのか。
ソニーが、これまで失い続けてきた信頼を取り戻すには、
これらを実現し、結果を出す以外に方法がないのは、断るまでもないでしょう。