ハロショイベのレポがいまだ進んでないが今回は割込みで
シンデレラのレポを先に。
モーニング娘。による2年ぶりのミュージカルがはじまった。
宝塚歌劇団とのコラボ企画第二段、「シンデレラ」である。
前回の「リボンの騎士」は仕事を休んで初日を見に行った。その後も
数え切れないほど通ったものだが今回のシンデレラはあまり食指が
動かなかった。事前にFCで購入したチケットは1枚だけ。
その1枚のチケットは麻琴のハロショイベントと重なったため
手放してしまった。そこで今池に出発する直前、新宿コマ劇場に
立ち寄って、8/11のチケットを購入した。12列目のほぼ真ん中。
こんないい席が普通に買えてしまうのか。
そんなわけでハロショイベントを終えた翌日、朝の新宿へ向かった。
今日は月曜日だが、公演は昼の部のみ。昼の部は11:00開演である。
ちなみに夜の部があるときは16:00からであり、終わるのは18:30頃。
一体なんでこんな時間なんだろう?
リボンの騎士は平日は18:00開演なので仕事を終えて急いで向かえば
若干遅刻するくらいで観劇することができた。16:00では休暇を得て
見に行かねばならない。これでは観客動員は伸びないだろう。
案の定、客入りは苦戦しているようだ。
もっともお子さん連れのファミリーだとこういう時間が一番いいの
かもしれない。お芝居見て家に帰って晩御飯を食べれるからね。
シンデレラはあくまでファミリーのための演目なのであり、
ヲタなんか来んじゃねーよ!と言うことなのだろう。
麻琴が卒業した2006年のあの夏以来、久しぶりにコマ劇場に入った。
この思い出の劇場もこの夏をもって閉館、取り壊されてしまう。
目に焼き付けておかねば・・・
と思っていたのだがちょっとギリギリに入ってしまったので
座席に直行。席に着くと目の前にステージ。見やすい劇場だね。
すぐにがらん~がらん~がらん~という教会の鐘の音が響いて
開演を告げる。
愛ちゃんのアナウンス
「ただいまよりリチャードロジャース作曲、オスカーハマー
スタイン2世作詞・台本、早川保清翻訳・訳詞、酒井澄夫演出
によるシンデレラ・theミュージカルを上演いたします」
物々しい口上に続いて、ステージ手前のオーケストラピットから
パーマ頭に蝶ネクタイという歌舞伎町によくいるスタイルの
おっちゃんが立ち上がって客席に一礼。指揮者の人だ。
おっちゃんの指揮でオーケストラが前奏曲を演奏し始める。
やがて幕が開き、空中に宙吊りになった宝塚元トップである
麻路さきが歌い始める。
そして高橋愛ちゃんのシンデラとガキさん演じる王子が登場。
それぞれが歌を歌って、物語がスタートする。
もう始まり方からしてリボンの騎士と違うよね。
オリジナル脚本だったリボンとは異なり、シンデレラは内容
そのものが非常に有名で誰もが知っている。
さらに今回は過去に何度も演じられていた脚本の再演なので
内容についてはなんの面白味もない。
本当に
みんなが知ってる
”あのシンデラ”を
2時間もかけてやるわけである。
1幕は継母の元で義姉に苛められていたシンデレラが
妖精の女王の魔法でカボチャの馬車に乗り、王子様の
お妃選びの舞踏会へ行く。
舞踏会に突然現れたシンデレラはいきなり王子様の
ハートをゲット!
いいムードになったところで無情にも12時を告げる
鐘が鳴り、シンデレラはガラスの靴を残して消える。
2幕は消えた娘を探す王子様。ガラスの靴を頼りに
使者が国中をさがし、シンデラの継母や義姉が靴を
履こうとするがサイズが合わない。
なかなか娘を見つけられない王子が「もうだめぽ」と
凹んだ所へシンデレラが「ちょっとそこ通りますよ」。
「キミキミこの靴を履きたまえ」と言ってガラスの靴
を履かせてみたらあらピッタリ!!
「お前か!」ということになり2人が結婚する所まで。
簡単に言えばこんな感じ。特に付け足された部分とか無いし
サイドストーリーがあるわけでもないし、上記の内容をひた
すら歌って踊りながら演じるのである。
そもそものストーリー自体も微妙っちゃあ微妙。シンデレラは
劇中でも言われているが厚かましい部分もあって、とにかく
綺麗なドレスを着てお城の舞踏会に行きたい。そして王子様に
気に入られたいと非常に大胆な野心を持っている。
そしてたまたま知り合った妖精の女王にカボチャを馬車にして
とか、御者や従者も出してとか、服もくれ、靴もくれと
いろんなおねだりをしまくるのだ。
そして希望通り憧れの舞踏会へ行き、見事王子様の愛を得ること
に成功。そして結婚。シンデレラの女の欲望がすべて満たされて
めでたしめでたしというお話には男の子はついていけない。
結婚式も普通に人が集まって踊るだけ。別に王子様が2人で
幸せに暮らましょうとか、この国をもっと良くしますとか、
祝砲を撃て!とかは言わない。
これじゃあ不満が出るのは当たり前。
実際目に入ってくる批判は「つまんない」「長い」「飽きる」と
いったものが多い。それは、正しい。
そんなシンデレラtheミュージカルであるが、実際見終わった
感想としては
す ば ら し い !ヽ(=´▽`=)ノ
あのね、とにかく2時間の舞台がひたすら美で彩られてるのよ。
実際に宝塚の舞台を見に行ったことは一度も無いが、「こんな
感じなんだろうな」という雰囲気を味わる。
男役の人は本当にカッコイイ。
特に王様の部屋のドアを引く役目の方は、ドアの横にビシッと
直立して微動だにしない。思わず目を奪われる。
リボンの騎士との一番の違いは宝塚色が強くなったこと。
だって出演者の半分以上が宝塚の人なんだもん。
リボンの騎士は箙さんだけが宝塚の出演者であり、
残りはほぼ全員がモーニング娘。を中心としたハロプロメンバー
だった。要するに脚本演出衣装音楽を宝塚に外注しただけの
モーニング娘。のミュージカル。
今回のシンデレラは元々宝塚歌劇で演じられていたものがベース
になっている。宝塚のシンデレラにモー娘。のメンバーが混じって
いるという感じ。
主要な芝居は宝塚のベテランが演じるので、当たり前だが過去の
モーニング娘。ミュージカルとはレベルが違う。
ていうか、もはやこれはモーニング娘。のミュージカルではない。
本当の意味で、宝塚とのコラボが成立したと言えるね。
もちろん「じゃあモー娘。いらないじゃん」という批判もある
だろう。だけど出演している娘。メンバーたちはなかなかの
存在感を発揮しているのだ。
まずは主役の愛ちゃん。
これがまた上手いのなんのって。
サファイアのときも良かったけど、今回は可憐な乙女である
シンデレラということで可愛らしい雰囲気を作っている。
芝居の部分も良いが、歌いだすととにかく上手い。圧倒的に上手い。
サファイアの歌は思いつめた暗い歌が多かった(リボンの騎士が
そういうストーリーだけど)のだけどシンデレラはミュージカル
らしい楽しい歌や綺麗な歌が多い。
オーケストラの演奏に合わせてダンサーの人たちと一緒に踊ったり
しながら歌う愛ちゃんはまるで映画のよう。
そして王子様のガキさん。
ガキさんが王子様と聞いたとき、「ふーん」て感じだった。
「他にやれそうな人いないしね」などと思ったりもした。
リボンの時は梨華ちゃんが色々問題を抱えながらも、濃い王子を
熱演して好評だったけど、ガキさんの王子はどんな感じかな?
とニヤニヤ気味に見ていたのだが、最初の歌を聴いて思わず
椅子から落ちそうになった(マジ)。
ガキさん、超上手いじゃん!!
低めの声で歌うのだけど、これがなかなか聴いていて心地良い。
元々ガキさんて低い声出せる子だしね。
芝居も細かい仕草にまでこだわっているらしく、男役として自然
な振る舞いになっている。背の低さだけはいかんともしがたく
超厚底靴でカバーしているけど。
リボンの時は梨華ちゃんをはじめ、あやや、なっち、小春、吉澤さん
あたりが男役を演じていたけど(ああ麻琴もか)、これらの男役と
比べてもガキさんの男役はハイレベルだと思う。
あとちょっとコミカルなシーンもあって、こうなるとガキさんの
「昭和」リアクションが面白かったりする。
王子とシンデレラと2人で歌うシーンともなれば、美しいハーモニー
が聴ける。舞台にいるのは王子様とシンデレラだけども、
要するにこれ愛ちゃんとガキさんでしょ?信じられない。
この2人が宝塚の人たちと一緒に歌ったり踊ったりしているのだが、
素人が混ざってるかのような違和感は皆無で、むしろ一般のお客さん
はモー娘。のメンバーだと言われなければ宝塚歌劇の生徒さんだと
思ってしまいそうなくらい。
これはおそらくモー娘。ミュージカルを見てきた中でも画期的な
シーンだと思う。
だって今までの娘。ミュはプロの役者が芝居する部分と娘。メンが
やる芝居は分かれてたでしょ?
まあとにかく、この愛ちゃんガキさんは本当にすばらしい。
麻琴の同期ということで昔から見ているこの2人がこんなに立派
になって・・・・。・゜・(ノД`)・゜・。
ということで思い入れの強い人は泣きそうになる。
5期メンバーの本当の実力をもっと見せてくれ!
5期以外のメンバーについて。
まずはジュンジュンとリンリンだが、この2人は小春の隣でラッパを
吹く係である。あと舞踏会では踊ってる群衆の役。台詞は2幕に少し
あるけど、わざと下手に話してるの?って思うくらいカタコトの
日本語だった。カーテンコールで話を振られたりしない限り、一般の
お客さんは「誰?」という状況だろう。ちょっと可哀想。
同じく8期の光井。そして6期の道重は妖精役としてワイヤーで吊られ
飛び回っている。妖精業が休みのときは舞踏会で踊ってる群衆役。
そして町の中で遊んでる村の子供といった役を演じ、かなり長い時間
舞台上にいることが多い。ただし台詞はない。村人としてみんなで騒ぐ
ときに一言二言言葉を発するだけ。
6期メンバーの田中と亀井は別格の扱いを受けている。
シンデレラを苛める義姉の役。なぜか田中が亀井の姉という設定だ。
「愛ちゃんを苛めます!」などと言って宣伝をしていたが、実際には
やられキャラだ。でも台詞は多いし歌も歌う。
母親役の愛華みれさんと3人組みを組んで、コミカルな芝居に加えて
毎回アドリブもあるらしい。この3人で笑いを取りまくっているそうだ。
ただ、高橋新垣の2人が役を演じているのに対し、この2人は素の
キャラクターである。特に田中れいなは何を歌っても何を演じても
結局は田中れいなになってしまう。
そこと比較すると、亀井の方は若干演技や歌い方を変化させている。
演出家が亀井についてはあれこれ指示を与えているのかもしれない。
この2人については亀井が一歩リードしてたと個人的には思う。
今回、成長した姿を見せてくれたのは久住小春。
伝令官という青年将校を演じている。伝令官はこのミュージカル
で結構な要職だ。ジュンジュン、リンリンを従えて国中に舞踏会の
開催を知らせている。そしてガラスの靴の持ち主探しでも活躍する。
そんな小春が、カッコイイのだ。
小春は背が高いし大人顔なので、黙っている限りは超イケメンだ。
まあ喋ったとしても今回は結構低いトーンで声を出しているので、
普段のきらりちゃんとも、リボンの騎士のカレー売りの少年とも
違った雰囲気を出している。
幕間の休憩時間では一般のお客さんから高橋新垣の次に、小春を
誉める意見が多く聞こえた。
「この亀井って子、どこ出てた?」なんて話も聞こえたけど。
そんなわけですばらしいミュージカルの後はミニライブ。
正直言っていらないと思うけど、一番最初のC/Cを歌う時に
ステージ真ん中の噴火口のような穴からモーニング娘。が
せり上がってくるシーンはカッコよかった。
コマ劇場の円形ステージってこういう演出ができるのね。
宝塚のショーもあってこちらはオーケストラの生演奏で羨ましい。
闘病から復活してきた愛華みれさんへの声援が大きい。
カーテンコールで愛華さんからも挨拶があった。
2回目のカーテンコールではジュンジュン、リンリンが自分たちの
役について「台詞はすくないんですが」とか「久住さんの隣で
ラッパ吹いてるデカイほうが私です」などとコメントしてウケてた。
幕が降りた後はオーケストラが軽やかなマーチを演奏。
席を立ち始める人もいるけど、ここは最後まで演奏を聴いて
余韻に浸ったほうがいいね。
ロビーに出てくると、お客さんがみんな笑顔。
過去の娘。のミュージカルでは誰が可愛いとか誰と目が合ったとか
ヲタ独特の細かい感想を述べ合う姿が見られるんだけど、シンデレラ
は一般のお客さんも含めて純粋に「いいものを見た」と言う嬉しさに
包まれているように見える。「可愛かったね」「綺麗だったね」と
ファミリー客が喜んでいる姿はファンとしても嬉しい。
たしかにモーニング娘。のミュージカルとしてはちょっと異色作では
あるんだけど、間違いなく最高レベルの完成度を誇る「シンデレラ」。
特に高橋新垣ファン、そして5期メンバーに思いいれのある人は
絶対感動するはず。
また麻琴ファンにとっては思い出のコマ劇場がなくなる前にもう一度
戻ってこれて嬉しい。そこで麻琴の同期生がすばらしい舞台を演じて
くれるんだからさらに嬉しい。同窓会に出てる気分だ。
でも、麻琴がもし娘。に残っていたらこのシンデレラで何を演じて
いたのだろう?などとちょっと怖い想像もしてみたりする。