明治座で藤本美貴の復帰作となる舞台が始まった。
見る予定は無かったのだが、先日早速上京して観劇した2号さんから
すばらしいという話を聞いて行ってみたくなった。
幸い、その翌週から社外に出ての仕事が多くなった。
夕方に終われば「直帰」できる。普段より早い時間に仕事が終われば
帰りに明治座に行くこともできるだろう。
しかし現実は甘くない。
大きなトラブルとかも無かったのだが変な雑用ばかり増えてしまい
仕事が夕方に終わらない。
結局その週に明治座へ行くことは出来なかった。
仕方が無いので4/26土曜日に明治座へ行くことにした。
開演時間は11:00。早いなー。
結局20分前に明治座に到着。ギリギリに着いたので当日券チケットが
買えないのではないかと心配しながら窓口に行く。
「江戸っ子忠臣蔵」の時には無かった、モニタ画面から空席を選べる
システムが導入されており「どこにしますか?」と訊かれる。
みると、結構前のほうに虫食い状にポツポツと空席があった。
取れたチケットは前から6列目。しかも花道から3列ずれただけ。
いくらなんでも良席過ぎるが、キャンセルでも出たのだろうか?
明治座入場。久しぶりなので新鮮な気分。そうそう、劇場は3階で
エスカレーターで上がるんだよね。懐かしい。
床には絨毯が敷かれ、土産物屋や食堂などがたくさんならんで、
お菓子やらなにやら売ってる店が並ぶ。懐かしい。
ロビーにはまだ大勢人が出ている。
2003年の6月29日。
この日、腰の怪我のため「江戸っ子忠臣蔵」を欠場していた麻琴が、
明治座で初めてファンの前に現れた。
それまで容態すら分からず、小川ファンはこの明治座のロビーで
麻琴に送る寄せ書きを募ったりもしていた。
これからどうなるのだろう?
そんな不安な日々があの千秋楽の日にようやく終わったのだ。
最後のミニコンサートのMCでは麻琴が出る前から場内のファン全てが
「マコト!」コールを叫んだ。麻琴がモーニング娘。に入って最初の
マコトコールだった。
そんな記憶がよみがえってきた。この場所に立つのはあの日以来だ。
もう、5年も前の話である。
さてお客さんを見回すと中高年以上の年齢層の方が半分以上いる
感じだ。観劇が好きな人たちなのだろう。今回の舞台は出演者も
実力派俳優が多いらしい。
女性客も多い。
ミキティファンと見られる人は全体の2割程度くらいか。
こういうヲタアウェイの現場もたまにはいいものである。
パンフレットを見ながら上演を待つ。
今回の自体は以前井川遥の主演で上映された作品の再演だ。
当時もエロティックな演出が結構話題となっていたため、
今回についても「藤本がエロ舞台に出る」という話を聞いたのだが
2号さんによるとぜんぜんエロくないよ、とのことであった。
あらすじは公式サイトやパンフレットにも詳しく書いてあるので
多くのお客はどういう内容のお芝居なのかはあらかじめ分かった
状態で見ることになる。
親兄弟、妻子は元より心を許した幼なじみの1人も持たない天涯孤独の流れ者。
手癖は悪いし意地も汚い人間のクズ、博打打ちの鈴次郎(大口兼悟)。
掛け金のなくなった鬼シゲ(住谷正樹)は、最後の勝負で世界一の女を賭け鈴次郎に挑む。
もちろんツキの神様・賽子姫(ホリ・ヒロシ)に気に入られている鈴次郎が負けるはずがない・・・
鬼シゲが用意した女とは墓場の死体を集めてこしらえた女だった。
ついさっき生まれて死んだ赤子の魂を入れて完成させた美しい女。
ただし、この女は生まれてから100日間は抱いてはいけないという。
100日間を経たずして抱いてしまうと水になって流れてしまうというのだ。
名前は、人の夢儚しの「儚(はかな)」(藤本美貴)。
鈴次郎は博打で無敵を誇るわけだが、その理由は神様である
賽子姫が鈴の音を使ってサイコロの目を教えてくれるからだ。
この賽子姫は人形使いホリ・ヒロシ氏が操る人形だ。
小さな人形ではなく、人間サイズの人形をホリ氏が半分着込む
形で操作し、人間の俳優と一緒に芝居をするのだ。
これがまあ見事としか言いようが無い。どう見ても人形なのに
そういう役者に見えてしまうのだ。
美貴様演じる儚は、体は大人だが心はまだ子供。
未完成なために100日間男に抱かれること無く生き延びないと
人間になることは出来ない。
鈴次郎に育てられた儚は、鈴次郎を愛するようになり、
人間になって鈴次郎と所帯を持ちたいと願うようになる。
1日1日、紐に栞を括り付けて数えている姿がいじらしい。
つまり、そういう人間になりたい人間ではない存在、という
意味ではまさに「ヘケート」と同じ役どころなのだ。
ちなみに儚を作る際に魂を入れるのだが、この魂もリボンの
騎士で使われたのと同じタイプの電球である。
今回の舞台はリボンの騎士の木村先生もご覧になったそうだが
果たしてどのような感想をお持ちだろうか。
さて「言われるほどエロくない」という今回の舞台だったが、
たしかにその通りだと思った。
儚が生まれた時に全裸のシルエットになるのと、
儚が大人の体なのに心は子供という設定。
心も大人になった儚がホモ住職らに大人のテクを教えられる話、
儚が女郎屋に売られてときの話などは確かに性的ではあるけれど、
そんなに無茶な演出があるわけでもない。
舞台演出としてはこれくらい普通じゃないのかな?
もちろんアイドルがやるような芝居ではない。そういう意味で
「脱アイドル」というのは本当だと思う。
ただ「脱アイドル」イコール「セクシータレント」というわけ
では無いはずで、アイドルとセクシータレントの間にはかなり
広いゾーンがあるはず。美貴様はそこへ移動したに過ぎない。
この作品はただエロいシーンだけあれば内容はどうでも良い
といったありがちなVシネマのような作品とは全く異なる。
チンピラ悪党だったのに儚に出会うことで人間らしい感情に
目覚めていく鈴次郎。
女郎にされながらも100日生き延びて人間になり、鈴次郎と一緒に
なることを夢見て、最後の一線を守る「させず太夫」になった
儚の純愛の物語である。
そしてこの二人の純愛を弄ぶのが人形が演じる賽子姫。
博打を止めるように儚に説得された鈴次郎を再び博打の誘惑に
引き込み、泣き崩れる儚を嘲り笑う姿は人形のくせに憎らしい。
さて、藤本さんのお芝居について。
リボンの騎士のヘケートは圧倒的な存在感だったが、それは
周りがモーニング娘。だったから。
今回は共演者全員プロフェッショナルなので、素人目にも
演技力が弱いことは分かる。それでもがっかりするような
破綻はないし、いわゆる体当たりの演技で頑張っているのは
分かった。
とくに儚が生まれたての頃。
赤ん坊と同じようにギャーギャー泣く姿は結構上手い。
赤ちゃんプレイの経験でもあるのだろうか(笑)
また「幼女期」に無邪気に鈴次郎に甘える姿はかなり良い!
うわー美貴さん可愛い!!!と思ってしまった。
反面、儚が精神的に大人になった後の芝居は普通っていうか、
要するに普段の美貴様がちょっとキャラ作ってる感じ。
美貴さんって芝居が薄いよね。なっちとか高橋愛ちゃんとかが
得意な大げさな芝居とは違うのだな。
そんな美貴様であったが、後半で「させず太夫」となり初めて
登場してくるシーンは凄かった。
カルメンの「ハバネラ」(NEO時代劇なのでそういう選曲)を
歌いながら花魁姿の美貴様が花道を練り歩く。花道のすぐそば
の席だったので間近に見たのだがすげー美しい。
花魁のメイク、衣装が似合うこと似合うこと。
このシーンだけでも美貴様を起用した価値はあったと思う。
さて、美貴様以外の注目の出演者。
住谷正樹。ご存知レイザーラモンHGである。
この人もプロフィールでは初めての本格的な舞台出演だという
ことであったが、彼が演じる赤鬼が良かった。
鬼のくせにちょっとだけ人が良くて最後は儚を助けに来てくれる。
演技も良いのだが、もちろんHGのキャラも生かしている。
相方に「2年前を思いだせ!HGの『フォウ!』をやれ」と
命じられて無理やり「フォウ!」をやるHG。
これには観客も大喝采だ。じいちゃんばあちゃんたちもHGと
「フォウ!」は知ってるんだろうね。本物見れてみんな満足そう。
こういうアドリブのお笑いコーナーも少しある。
さて、今回見に行ってないより感じたのは舞台は現場で見て
ナンボという当たり前のこと。
とくにこの作品は内容的に見ても映像作品になることはほぼ無い
と考えられるから実際に見ておいてよかったと思う。
見る予定は無かったのだが、先日早速上京して観劇した2号さんから
すばらしいという話を聞いて行ってみたくなった。
幸い、その翌週から社外に出ての仕事が多くなった。
夕方に終われば「直帰」できる。普段より早い時間に仕事が終われば
帰りに明治座に行くこともできるだろう。
しかし現実は甘くない。
大きなトラブルとかも無かったのだが変な雑用ばかり増えてしまい
仕事が夕方に終わらない。
結局その週に明治座へ行くことは出来なかった。
仕方が無いので4/26土曜日に明治座へ行くことにした。
開演時間は11:00。早いなー。
結局20分前に明治座に到着。ギリギリに着いたので当日券チケットが
買えないのではないかと心配しながら窓口に行く。
「江戸っ子忠臣蔵」の時には無かった、モニタ画面から空席を選べる
システムが導入されており「どこにしますか?」と訊かれる。
みると、結構前のほうに虫食い状にポツポツと空席があった。
取れたチケットは前から6列目。しかも花道から3列ずれただけ。
いくらなんでも良席過ぎるが、キャンセルでも出たのだろうか?
明治座入場。久しぶりなので新鮮な気分。そうそう、劇場は3階で
エスカレーターで上がるんだよね。懐かしい。
床には絨毯が敷かれ、土産物屋や食堂などがたくさんならんで、
お菓子やらなにやら売ってる店が並ぶ。懐かしい。
ロビーにはまだ大勢人が出ている。
2003年の6月29日。
この日、腰の怪我のため「江戸っ子忠臣蔵」を欠場していた麻琴が、
明治座で初めてファンの前に現れた。
それまで容態すら分からず、小川ファンはこの明治座のロビーで
麻琴に送る寄せ書きを募ったりもしていた。
これからどうなるのだろう?
そんな不安な日々があの千秋楽の日にようやく終わったのだ。
最後のミニコンサートのMCでは麻琴が出る前から場内のファン全てが
「マコト!」コールを叫んだ。麻琴がモーニング娘。に入って最初の
マコトコールだった。
そんな記憶がよみがえってきた。この場所に立つのはあの日以来だ。
もう、5年も前の話である。
さてお客さんを見回すと中高年以上の年齢層の方が半分以上いる
感じだ。観劇が好きな人たちなのだろう。今回の舞台は出演者も
実力派俳優が多いらしい。
女性客も多い。
ミキティファンと見られる人は全体の2割程度くらいか。
こういうヲタアウェイの現場もたまにはいいものである。
パンフレットを見ながら上演を待つ。
今回の自体は以前井川遥の主演で上映された作品の再演だ。
当時もエロティックな演出が結構話題となっていたため、
今回についても「藤本がエロ舞台に出る」という話を聞いたのだが
2号さんによるとぜんぜんエロくないよ、とのことであった。
あらすじは公式サイトやパンフレットにも詳しく書いてあるので
多くのお客はどういう内容のお芝居なのかはあらかじめ分かった
状態で見ることになる。
親兄弟、妻子は元より心を許した幼なじみの1人も持たない天涯孤独の流れ者。
手癖は悪いし意地も汚い人間のクズ、博打打ちの鈴次郎(大口兼悟)。
掛け金のなくなった鬼シゲ(住谷正樹)は、最後の勝負で世界一の女を賭け鈴次郎に挑む。
もちろんツキの神様・賽子姫(ホリ・ヒロシ)に気に入られている鈴次郎が負けるはずがない・・・
鬼シゲが用意した女とは墓場の死体を集めてこしらえた女だった。
ついさっき生まれて死んだ赤子の魂を入れて完成させた美しい女。
ただし、この女は生まれてから100日間は抱いてはいけないという。
100日間を経たずして抱いてしまうと水になって流れてしまうというのだ。
名前は、人の夢儚しの「儚(はかな)」(藤本美貴)。
鈴次郎は博打で無敵を誇るわけだが、その理由は神様である
賽子姫が鈴の音を使ってサイコロの目を教えてくれるからだ。
この賽子姫は人形使いホリ・ヒロシ氏が操る人形だ。
小さな人形ではなく、人間サイズの人形をホリ氏が半分着込む
形で操作し、人間の俳優と一緒に芝居をするのだ。
これがまあ見事としか言いようが無い。どう見ても人形なのに
そういう役者に見えてしまうのだ。
美貴様演じる儚は、体は大人だが心はまだ子供。
未完成なために100日間男に抱かれること無く生き延びないと
人間になることは出来ない。
鈴次郎に育てられた儚は、鈴次郎を愛するようになり、
人間になって鈴次郎と所帯を持ちたいと願うようになる。
1日1日、紐に栞を括り付けて数えている姿がいじらしい。
つまり、そういう人間になりたい人間ではない存在、という
意味ではまさに「ヘケート」と同じ役どころなのだ。
ちなみに儚を作る際に魂を入れるのだが、この魂もリボンの
騎士で使われたのと同じタイプの電球である。
今回の舞台はリボンの騎士の木村先生もご覧になったそうだが
果たしてどのような感想をお持ちだろうか。
さて「言われるほどエロくない」という今回の舞台だったが、
たしかにその通りだと思った。
儚が生まれた時に全裸のシルエットになるのと、
儚が大人の体なのに心は子供という設定。
心も大人になった儚がホモ住職らに大人のテクを教えられる話、
儚が女郎屋に売られてときの話などは確かに性的ではあるけれど、
そんなに無茶な演出があるわけでもない。
舞台演出としてはこれくらい普通じゃないのかな?
もちろんアイドルがやるような芝居ではない。そういう意味で
「脱アイドル」というのは本当だと思う。
ただ「脱アイドル」イコール「セクシータレント」というわけ
では無いはずで、アイドルとセクシータレントの間にはかなり
広いゾーンがあるはず。美貴様はそこへ移動したに過ぎない。
この作品はただエロいシーンだけあれば内容はどうでも良い
といったありがちなVシネマのような作品とは全く異なる。
チンピラ悪党だったのに儚に出会うことで人間らしい感情に
目覚めていく鈴次郎。
女郎にされながらも100日生き延びて人間になり、鈴次郎と一緒に
なることを夢見て、最後の一線を守る「させず太夫」になった
儚の純愛の物語である。
そしてこの二人の純愛を弄ぶのが人形が演じる賽子姫。
博打を止めるように儚に説得された鈴次郎を再び博打の誘惑に
引き込み、泣き崩れる儚を嘲り笑う姿は人形のくせに憎らしい。
さて、藤本さんのお芝居について。
リボンの騎士のヘケートは圧倒的な存在感だったが、それは
周りがモーニング娘。だったから。
今回は共演者全員プロフェッショナルなので、素人目にも
演技力が弱いことは分かる。それでもがっかりするような
破綻はないし、いわゆる体当たりの演技で頑張っているのは
分かった。
とくに儚が生まれたての頃。
赤ん坊と同じようにギャーギャー泣く姿は結構上手い。
赤ちゃんプレイの経験でもあるのだろうか(笑)
また「幼女期」に無邪気に鈴次郎に甘える姿はかなり良い!
うわー美貴さん可愛い!!!と思ってしまった。
反面、儚が精神的に大人になった後の芝居は普通っていうか、
要するに普段の美貴様がちょっとキャラ作ってる感じ。
美貴さんって芝居が薄いよね。なっちとか高橋愛ちゃんとかが
得意な大げさな芝居とは違うのだな。
そんな美貴様であったが、後半で「させず太夫」となり初めて
登場してくるシーンは凄かった。
カルメンの「ハバネラ」(NEO時代劇なのでそういう選曲)を
歌いながら花魁姿の美貴様が花道を練り歩く。花道のすぐそば
の席だったので間近に見たのだがすげー美しい。
花魁のメイク、衣装が似合うこと似合うこと。
このシーンだけでも美貴様を起用した価値はあったと思う。
さて、美貴様以外の注目の出演者。
住谷正樹。ご存知レイザーラモンHGである。
この人もプロフィールでは初めての本格的な舞台出演だという
ことであったが、彼が演じる赤鬼が良かった。
鬼のくせにちょっとだけ人が良くて最後は儚を助けに来てくれる。
演技も良いのだが、もちろんHGのキャラも生かしている。
相方に「2年前を思いだせ!HGの『フォウ!』をやれ」と
命じられて無理やり「フォウ!」をやるHG。
これには観客も大喝采だ。じいちゃんばあちゃんたちもHGと
「フォウ!」は知ってるんだろうね。本物見れてみんな満足そう。
こういうアドリブのお笑いコーナーも少しある。
さて、今回見に行ってないより感じたのは舞台は現場で見て
ナンボという当たり前のこと。
とくにこの作品は内容的に見ても映像作品になることはほぼ無い
と考えられるから実際に見ておいてよかったと思う。