司法通訳士講座、受講生募集!

2011-11-16 06:02:56 | Weblog
司法通訳士講座の生徒募集!

東京通訳アカデミーでは、警察や裁判所等で、法律知識を持って外国人と日本人公務員との間での言葉の橋渡しができる有能な司法通訳士を育成する講座を開講したく、応募者を募集します。
講座は受講生が2名以上に達した時に開講しますが、現在は、中国人の受講者が待機中です。よろしくお願いします。

平成23年11月16日 水曜日
東京通訳アカデミー・理事長・岡村寛三郎info@coolworldexpo.co.jp

司法通訳士講座学習の手引き
          
はじめに
司法通訳士という職業はこれからの我が国においてその社会的な重要性が認知され、制度的にも整備、確立されるものと予測されています。
但し、2010年4月現在でもまだ公的な資格制度は確立されていません。
この必要性は、従来長年にわたり関係者はもとよりマスメデアにおいても採り上げられているのですが、何故か実現されていませんが不可解なことです。
この点、来訪外客に対して有償にて旅行案内に従事する「通訳案内士、いわゆる観光ガイド」については、すでに1907(明治40)年に当時の内務省がその省令第21号の「案内業者取締規則」を制定し、それが戦後の1949(昭和24)年公布の「通訳案内業法」に引き継がれ、更にこの法律が改正されて現行の「通訳案内士法」が厳然と存在し実施されています。
この「通訳案内士法」は、通訳案内士として就業するためには外国語をはじめ日本地理、日本歴史等について一定の学識、能力や人物としての資質を要請し、そのための国家試験制度を制定し、その合格者の登録制度を採用しています。
この「通訳案内士」と比較して「司法通訳士とか法廷通訳(以下、前者に統一します)」として就業するためには現在、何らの公的な資格、要件等の制約が設定されていませんので、法律上は誰でも自由に就業可能です。
しかし、実際には公的な資格制度がないとはいえ、実務上はかなりの学識や人物としての資質等が要請されている重要な職業ですから、彼らを必要とする警察、検察庁や裁判所ではそれなりの適切な選別、採用を実施しています。

1)「司法通訳士」として必要な資質、要件等について
人物としての資質については、健康な身体能力に恵まれ、健全な社会人としての常識、良識を具備している者であること、これが全てです。

2)職務上必要とされる能力について
担当する外国語について堪能であり、日常会話に不自由なく意思疎通が可能である事が語学についての最低必要条件です。
実務に従事中にわからない用語、表現に出会う事はけっして珍しい事ではありませんので、その際には何度でも聞き返したり、その意味を説明してもらい、しっかりと理解した上で適切に対応すべきです。
司法通訳士の職務は、刑事訴訟法上においてその存在が必要不可欠なものとして規定されています(刑事訴訟法第13章通訳及び翻訳 第175条以下)。この意味は、同法第1条を理解することから始まります。

第1条(刑事訴訟法の目的)
「この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする」と規定されています。
刑事事件が最終的に審理される裁判所では日本語を用いる事になっています。
こんなことは極めて当然な事であり、当たり前ではないかと思われますが、これもわざわざ「裁判所法」という法律の第74条において「裁判所では、日本語を用いる」と規定されています。
また、刑事裁判は憲法第37条において公開主義が採られていますので、国民に明らかにする必要上、日本語を用いる必然性があり、たまたま被告人が外国人であって日本語を解さない場合にはこれまた必然的に通訳人をつける必要があるわけです。
この「通訳人」という用語は「刑訴法第175条」にて使用されているものです。
これが法律上の用語ですが、一般的な日常用語としては殆ど使用されていません。
次に、職務上必要とされる専門知識について記します。
司法通訳は刑事事件について関与するわけですから、必然的に刑法や刑事訴訟法上の用語に出会いますので、これらの用語の正確な意味、その使用例等について熟知している必要があるのですが、実際にはそこまで要求することは無理ですので、ここではある程度の理解でやむを得ないとされている模様です。
しかし、これに甘んじているわけにもいきませんので、ここは是非この講座によって、必要最低限の知識を習得されるようにお勧め致します。

3)本講座の特徴について
・最大の特徴は司法通訳士にとって必要最低限の刑法と刑事訴訟法上の知識を分かり易く解説し、その英語表現をも解説していることです。
・現在、すでに司法通訳士にとって有益で立派な参考書が刊行されています。
 これらの参考書の補充的機能を果たし、必要な箇所での英語表現を参考的に記述しています。
・通信講座の特徴として、受講者のいかなる質疑に対しても納得が得られるまで解説が試みられる事です。

4)学習の進行度について
・司法通訳士として必要最低限の法律的な素養と実務上の知識を身につけていただくために、2冊の基本書が用意されています。
・「法の基礎的理解」の学習について 
・すでに大学の法学部や法文系学部にて法学関係の科目を履修されて基礎的な知識については十分な方は再履修として改めて目を通して見てください。法学既習者の方は、1講座、5ヶ月間で一回の通読で十分でしょう。
法学未習者の方は、1講座、5ヶ月間で、適宜、自己のペースにて最低、2回は熟読し、特に(第6講)から(第10講)そして(第15講)の「自動車事故と法」は司法通訳士に対して直接、関係する可能性がありますので、是非、熟読し理解しておいてください。
・「司法通訳 Q & A で学ぶ通訳現場」の学習について
 本書は、この分野において現在,刊行されている参考書としては最も権威のある良書です。
いろいろと実務上の基本的な知識をはじめとして、具体的な事例を挙げて丁寧に解説されています。
本書の内容は、「序章 司法通訳とは」で司法通訳士について、その職務の内容について明確な解説があり、熟読すれば素直に理解可能です。
 「第1部 刑事裁判のアウトライン」では、まずシナリオ学習で刑事裁判の具体例を挙げてその解説をされています。
ここではオーバーステイ事件の法廷の模様が再現されて解説されています。
これらの解説は一読されて理解可能だと思われますが、全く初めてこのような法律上の解説、表現に接した方にはことによると素直に理解が困難であり、いろいろな疑問があるかも知れません。
その様な場合には、いつでも質問してください。

次に「刑事手続アウトライン」として、捜査、公判、裁判の概説がなされています。
「刑事裁判の流れ」では事件発生からその経過模様が丁寧に解説されていますので、このような解説を熟読することによってかなりの知識が身に付くでしょう。
「法廷通訳各論」では様々な通訳場面を学びます。
この各論では現実の具体的状況に対応して詳細な解説がなされていますので、これらの熟読により現実の場面が分かり易く想定可能ですので、これによりある程度の自信を得る事が可能でしょう。
「第2部 法律用語・専門用語」では、かなり詳細な解説がなされています。
これらの一種の業界用語は普通の日常用語とはかなり違っており、正確な理解とその適確な使用が要請されています。
但し、日本語による解説であり、「動作の意味やニュアンスが伝わるように、訳出に工夫がいる」と注意が喚起されていますので、本通信講座講師により「訳出例」を示しています。
「第3部 司法通訳人の職業倫理」では、実務を担当するに際して、具体的に順守するべき職業上の倫理項目が詳細に解説されています。
司法通訳士として要請される最も重要な資質要件として、担当する外国語が堪能であることと共に、社会人として健全な常識、良識を具備していることであることを既に記しましたが、この要件を具備している本講座の受講者にとっては、この「第3部」
の解説は、熟読、玩味することにより確実に理解可能です。
あとは就業に際し、実践あるのみです。

 ・本書は、冒頭の「はしがき」から全部で191頁あります。
その内容は、かなり詳細で丁寧な解説がなされています。
本講座では、原則として毎週1回、講師から受講者に対して直接、メールにて適当な区分毎に補足的な説明と必要に応じて英文の表現や用語の訳例等を示し、受講者からの質疑があればそれに対して回答を致します。
受講者の皆様方の熱意ある学習とその実り豊かな成果がもたらされることを心から
祈念致しております。                       

 以 上


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