医療の国際化が避けられない理由=人口減少

2010-02-16 22:06:56 | Weblog
「医療の国際化」の絶対的必要性を裏付けている人口減少

平成22年2月16日 火曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎

皆様のご清栄をお慶び致します。
さて、下記の資料にも見られますように、東南アジアに端を発する医療と観光をセットにしたメディカルツーリズムは、既に10年以上の歴史を持っていると考えてよいでしょう。我が国に於いては、不思議なことに今頃になってやっと、全国各地津々浦々においてメディカルツーリズムが話題とされています。
即ち、医療施設やサービスの充実度に於いて自信のある地域、国際空港のような訪日客受け入れの施設の整った地域を始め、観光資源の豊かな地域、交通の要衝である地域・・・・などなどの特色をもつ多くの地域が、丸で火が付いたかのようにメディカルツーリズムの将来的なブームにあやかろうと必死になって様々な構想を練っているばかりか、既に走りだしている病院・企業や団体すら少なからず見受けられます。
そのような大きな衝動を起こさせている原動力は何なのでしょうか?と尋ねれば、確かに、過去の長期にわたる医療政策の貧困から逃れようとして新しい境地を開こうとしているのだとも言えるでしょう。
しかし、人々の目は、過去の歴史ばかりにこだわっているわけではありません。
むしろ、将来の方にも向いていると言わざるを得ません。それは日本の将来人口の行方です。下記の資料にもありますように、今後50年間で人口は30%も減少し、100年後には、人口減少率は何と65%にも達して、総人口は4500万人を割るという驚くべき数値が示されているのです。
このような激しい人口減少の予測値を前にして、如何に社会保険制度等が充実しているにしても、医療サービスがこのまま日本人を対象にするままで推移して良いと考える人は全くないでしょう。
もちろん、このことは、ほぼすべての産業に当てはまるでしょう。内需のみを対象にしていて生き延びられる業種・企業はないでしょう。何らかの形で必ず外需と関わって行かなければ、確実に衰退の深みへと引きずり込まれていくでしょう。いわんや、高コスト体質の医療の分野では、尚更のこと外需取り込みへの決断と工夫と努力が必要です。
20年前において、我が国の人口は、やがてピークに達して減少に転じると予測されたことが、今日に至る20年間に於いて、地方経済や不動産価格に回復不可能なまでの決定的ダメージを与えて続けてきていることを思い浮かべれば、今後の確実かつ大幅な人口減少の予測は、医療分野に於いても国際化・外国人の顧客・患者等の受け入れが不可欠であることを、何よりも雄弁に物語っています。
医療の国際化を進めるに当たって、「医師不足が深刻な日本で外国人患者等の導入を安易に進めれば、国民への医療サービスが益々なおざりにされて国民が大きな迷惑を被るから反対である。」という主張が為されると心配される方がおられますが、今後の大きな人口減少の傾向を前に考えれば、むしろ医療分野の絶対的崩壊を食い止め、わが国の医療の質を維持し向上させるためには、むしろ今すぐにでも外国人患者等の導入に前向きに取り組むべきであるという議論が正当性を帯びるでしょう。
以上
資料(1)
 日本の人口 


 「日本の人口構成」アクセス数(since:05-09-14)   
   2050年には日本は2.5人に1人が65歳以上という超高齢社会。社会保障制度の崩壊の危機も。 総務省発表の08年10月1日現在の都道府県別,年齢別の推定人口によると,総人口は1億2777万1千人となりほぼ横ばい,自然増減は初めて自然減少に転じるとしています。
 日本は世界で最も少子高齢化の進んだ国となった。国立社会保障・人口問題研究所が2006(平成18)年に発表数値によると,総人口は現在の約1億2770万人から,2055年には8993万人へと減少の見込み。50年弱で3割もの人口減となる。そして100年後の2105年には4459万人にまで落ち込む。
 人口の著しい減少は,経済の縮小を招き,さらには年金など社会システムへの影響も避けられない。まさに,「国家存亡の危機」が懸念される。


資料(2)
2005/11/23 水曜日付記事
世界のメディカル・ツーリズムは、大盛況
Filed under: 全部, 健康問題 — Sasayama @ 07:38:32
2005/11/23(Wed)
 
先日、ある方から、イタリアの温泉療養(イタリア語では テルメ Terme)の旅の話を聞いた。
日本の玉川温泉などと違って、治療そのものずばりのカリキュラムの組まれ方のようである。
そこで、注目されるのが、世界のメディカル・ツーリズム(ヘルス・ツーリズムとも云う。)の動向。
メディカル・ツーリズムとは、観光と医療サービスをセットにしたパッケージツアーのことで、外国人旅行者に人間ドック、美容整形、視力矯正手術などの医療サービスを、観光客の本国よりも、安く、そして、その国ならではの、伝統的療術もあわせ、提供しようというツーリズムだ。
インド、タイ、ギリシャ、パナマ、アラブ連邦、中国、フィリピン、シンガポール、バングラディッシュ、アルゼンチン、などなどで、盛んになっている。
特にインドが盛んなのは、ヨガなどのセラピーもかねてのものなのだろうか。
ここにインドのメディカルセラピーの予定表があるのだが。
①まず、出発前に診断書をインドに送って、リスクアセスメントを受ける。
②それで、オーケーとなれば、治療の方針と手術の方針が送られて来る。
③そこで、いよいよ、インドに出発。
④インドで、医者のコンサルタントを受ける。
⑤入院、手術。
⑥術後の措置を受け、休養の後、帰国。
というようなもののようだ。
では、どのようなツアー・パッケージがあるのだろうか。
パッケージは、国によってまちまちだが、たとえば、アメリカで募集のインドへのメディカルツーリズムのパッケージには、次のようなものがある。
○人工関節置換手術
膝関節の置換手術、股関節置換手術いずれも、7日間宿泊で、12000ドルとのことである。
○心臓手術-アメリカで心臓手術をすれば、三万ドルかかるものが、インドへメディカルツーリズムでいき、手術をすれば、八千ドルですむ。
○美容整形手術-最新の技術での手術が、インドで受けられる。
料金は、豊胸手術で、4500ドル(以下いずれも7日宿泊のコース)、顔の引き締め・皴取りなどで、5000ドル、鼻の整形で、4500ドル、お腹の脂肪除去手術で、4750ドル、脂肪吸引で、6000ドル、といったところのようだ。
○そのほか、歯については、漂白、インプラント、その他手入れ等のメニューがあり、また、目の手入れなどのパッケージもある。
日本人でも、東南アジアにメディカルツーリズムの旅に出る人が、結構多いようだ。
また、韓国ドラマ「冬のソナタ」で撮影に使われた韓国国立がんセンターが、ドラマ人気にあやかって日本人のがん検診誘致などに乗り出す等、計画しているようだ。
日本でも、妙高市等、メディカルツーリズムを標榜する市町村があるようだが、温泉療養や癒し中心で、これら外国のそのものずばりの手術をともなう人間改造というような、ドラマチックなものとは、似て非なるもののようだ。
このメディカルリズムを日本国内で応用するとなると、特区が必要になるのだが。
一部に、福井型メディカルツーリズム構想など、動きはある。
それにしても、メディカルツーリズムは、「旅をしながら、これまでの自分の状況を、安い値段で高めうる」という、その魅力的なスキームが受けているのだろう。
この盛況ぶりだと、まじめな、エコツーリズムは、負けてしまいそうだ。
参考サイト
インドのメディカルツーリズム
スライド・インドのメディカルツーリズムの現状
インドでのメディカルツーリズムの各種料金
インド・ケララ州のメディカルツーリズム
タイ・プーケットのメディカルツーリズム
アラブ連邦のメディカルツーリズム
マレーシアのメディカルツーリズム
フィリピンのメディカルツーリズム
シンガポールのメディカルツーリズム
南ア連邦のメディカルツーリズム
コスタリカのメディカルツーリズム
アルゼンチンのメディカルツーリズム
アルゼンチンのメディカルツーリズムの料金
ポーランドのメディカルツーリズム
ハンガリーのデンタル・ツアー
イスラエル・死海のメディカルツーリズム
ギリシャのメディカルツーリズム
フィンランドのヘルス・メディカル・ツーリズム
パナマのヘルスツーリズム
アメリカのMedRetreat, LLC の活動
アメリカのメディカルツーリズムのパッケージの内容
メディカルツーリズムとは?
海外で治療を「Treatment Abroad.」
メディカルツーリズム論に関するリンク集
http://www.meditours.org/
http://www.phuket-health-travel.com/
以上

最新の画像もっと見る