派遣業を開始するに当たって

2009-01-11 21:34:47 | Weblog
「派遣業」開始を準備するに当たって

平成21年1月11日 日曜日
JGC事務局・岡村寛三郎

いつもお世話になり、誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。
さて、JGCの事業遂行部門であるCoolJapanExpo株式会社が、派遣業登録を開始するに当たっての趣旨説明を致します。どうかよろしくお願いします。

(1)通訳案内士と派遣
通訳案内士の派遣は、原則的に1日か2~3日、あるいは1週間程度のごく短期のお仕事が中心です。内容は、通訳やガイドが中心です。半年~1年間の長期の翻訳作業契約もありますが、それらもプロジェクト単位が中心ですから、それが終われば目的達成です。
これら翻訳通訳ガイドの仕事は、原則的に弁護士や公認会計士・税理士と同じく高度の知識と技能を有する独立の事業者(=国家資格者)として活動しますから、法的に派遣元や派遣先企業との間で、雇用関係とはなじみにくい面を有しているでしょう。
即ち、一般的に、所属企業への従属性や服従性が高くて雇用関係や社会保険などが適用される労働者とは大きく異なる側面を有していることを否定できません。ですから、通訳案内士は、派遣業で言う派遣業種に属しないという解釈もありうるでしょう。
しかし、この度、某旅行業社さんとの間で、外国人向けの日本文化体験ツアーの通訳やガイドを引き受ける準備が進んでいますが、その業務内容は、主には日本文化性の色濃い特徴を有する特産物メーカーや販売店・娯楽施設などの様々な施設やお店において、外国人の文化体験に付き添い通訳をするものであって、この業務は、厳密に言えば通訳案内士法でいう「外国人向けの旅行に関する案内」には当たりません。
ですから、世間では一般にこれを通訳案内士法でいう通訳ガイドとは区別して「通訳者の派遣」と呼び、派遣元であるJGCの事業遂行部門であるCoolJapanExpo株式会社には「派遣業の資格」をもつように望みます。
(注:NPOであるJGCは、営利事業である派遣業を営むことはできません。)
他方、家庭教師派遣は、派遣期間が1ヶ月ないしは年単位が原則ですから、上記の通訳翻訳者の派遣とはまた異なって、その業務の性格から、業務遂行に際して派遣元企業の指図を受ける度合いが高く、業務の独立性や専門性レベルも低いため(通訳案内士のような国家資格も所持しないため)通常の派遣タイプに近くなります。
ただし、これら日本文化体験の通訳翻訳業や家庭教師業において一般の派遣労働と決定的に異なるのは、彼らが同時進行的にあちこち複数の派遣先=仕事場を掛け持ちまわり、絶えず仕事場や仕事先が変わって行くことがむしろ常態である点です。
ですから、彼らは、一般派遣労働の場合のように、ある派遣先企業や派遣元企業に専属的に勤務するわけではなく、むしろ複数の派遣元と契約し、かつ複数の派遣先で業務を同時的に遂行するという勤務スタイルが中心であって、ある特定の派遣先に福利厚生を含めての生活のすべてを託しているわけでは全くないという点を特徴としています。
また、学習塾業界では、個別指導塾を中心にアルバイト学生を常時あるいは季節的に大量に雇用していますが、もちろん、学生の多くは一時的かつ限定的な雇用関係を望んでいます。
以上のように一口に「派遣」といっても様々な業種があり、JGCの事業遂行部門としてのCoolJapanExpo株式会社が主に通訳案内士や学生・元教師・学識経験者など向けに取り組もうとしている派遣労働の内容や派遣先企業は、今の世間で大きな問題となっているような製造業や一般サービス業には属しません。
アパレル業界やファッション企業関係などへの派遣が、製造業の一種への派遣として問題が多いのなら、これらの業種への派遣についての社会的・経済的混乱が治まるまでの当分の間は、派遣を見合せれば良いでしょう。
更に、以前にもお話していますが、派遣業という事業スタイルは、お世話役の「派遣元」とそれぞれに事情を抱えた様々な派遣受け入れ先企業との間の橋渡し役であって、人間社会が諸要素によって複雑に縦糸・横糸関係で構成されている限り、永久になくなることはありません。また、この先、不況が進行してもあるいは好況に転じても、正規社員採用雇用に伴う経済的法律的負担が少なくない限りは、より簡便で負担の軽いアルバイトや一時的雇用関係を望む企業は、増えても減ることはないでしょう。
また、東南アジア等の低賃金諸国との価格競争を考えれば、正規社員採用しかできなければ、日本国内産業は競争力を失って大きなダメージを受けるか、海外へ転出せざるを得ず、いずれにしても国内の企業と労働者は共に事業・就業機会を喪失しかねません。
その様なわけで、今後は、より合理的で人情味のある派遣労働の新しいスタイルが求められるにせよ、派遣業や派遣労働スタイルそのものを否定的に捉えることは誤りでしょう。
このことは、経費的に割安で、しかも一時的な法的契約関係でしかない「リースや不動産賃貸」が今後も成長性の高い有望な業種であることと同じです。動産にしろ不動産にしろ「所有すること」は、税金支払いを含めてより多くの維持費・経費を伴って割高であり、これらをリースする方が、結局は遥かに移動しやすく維持・使用に当たっての経費も安くなります。
以上のようなわけですので、JGCとCoolJapanExpo株式会社における派遣業開始準備にご理解とご支援をよろしくお願いします。


資料(1)
通訳案内士法
(業務)
第二条  通訳案内士は、報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。以下同じ。)を行うことを業とする。

資料(2)注:インターネット記事からの転載です。

• 「派遣」と「請負」とは何が違うのですか
• 派遣できない業務を具体的に教えてください
• 派遣期間には制限があると聞きますが
• 派遣スタッフに対する雇用の申し込み義務というものが発生する場合があると聞きましたが
• 関連会社への出向社員を派遣して欲しいのですが
「派遣」と「請負」とは何が違うのですか
請負と派遣との特徴的な違いのひとつは、請負は請負った事業者が注文主から独立してスタッフに対する業務指示や労務管理を行うのに対し、派遣は派遣先の社員から直接指示(指揮命令)を受けて派遣先のために労働に従事する制度であるという点です。
これは、労働者派遣事業であるか否かを判断する上での基準のひとつですが、上記以外にも両者の違いはいろいろとあり、厚生労働省では「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)を定めて、労働者派遣事業の適正な運営確保のために両者の区分を具体的に示しています。
なおここでいう「請負」の言葉ですが、これは・仕事の完成を目的とする場合(民法第632条の請負契約の場合)と・事務処理を目的とする場合(民法第 643条の委任契約もしくは第656条の準委任契約の場合)の2つを含めて使われます(同じ意味で「業務委託」の言葉が用いられることもあります)。
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派遣できない業務を具体的に教えてください
派遣業法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)では、派遣の対象とはならない業務として大きく次のものが指定されています(派遣業法第4条、労働者派遣業法施行令等の一部を改正する政令第2条)。
1. 港湾運送業務
2. 建設業務
3. 警備業務
4. 医療関連業務 ※
5. 労使協議等使用者側の当事者として行う業務
6. 弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士などのいわゆる「士」業