絵本ゆっくりコースは、編集者の木村真先生の第一回目です。
絵本は昔からのベストセラーが今も根強く人気です。
今、皆さんと同時代を生きる作家にも目を向けてほしいとの思いで、
本日のテーマ「2000年以降に出版された日本人作家の絵本」を一冊ずつ皆さんにお持ちいただきました。
発表された中には絵話塾講師の方々の絵本もあります。
『ハルコトネコ』作 おおきひろえ
『チリとチリリ』作 どいかや
『みみかきめいじん』作 かがくいひろし
『いもむしれっしゃ』作 にしはらみのり
『しろくまのパンツ』作 tupera tupera
『ぼくはぼくのえをかくよ』作 荒井良二
『ニットさん』作 たむらしげる
『はんなちゃんがめをさましたら』作 酒井駒子
『どんぐりむらのどんぐりえん』作 なかやみわ
『でんきのビリビリ』作 こしだミカ
『まってる まってる』作 高畠那生
『ひっこしだいさくせん』作 たしろちさと
『おばけのアイスクリームやさん』作 安西水丸
などです。
木村先生からは、今の時代を代表する作家として
tupera tuperaさん、ミロコマチコさんを挙げられました。
tupera tuperaさんは『やさいさん』『くだものさん』『ぼうしさん』シリーズが50万部を突破しているそうです。
『パンダ銭湯』も人気ですね。
最新作の『おばけだじょ』を紹介。
ここで貴重なダミーも見せていただき、実際に出版されている絵本と見比べて見せて下さいました。
『おばけだじょ』は、モチーフを切り絵で作ってガラス板に貼り、裏から背景を貼って、写真を撮る手法だそうです。
続いて、ミロコマチコさんの最新作は『つちたち』です。
こちらも貴重なダミーを見せて頂けることに!
ミロコマチコさんはデビュー作『おおかみがとぶひ』が日本絵本賞を受賞され、『オレときいろ』はBIB金のりんご賞を受賞、その後の作品も全て賞をとられています。
昔から最も売れているメガヒットは『いないいないばあ』作 松谷みよ子/絵 瀬川康男 だそうです。
絵本は一度売れると大きい市場で、ロングセラーが強く、新しい作家が売れるには難しいのが現状です。
しかし、新しい作家が出てこないと新しい絵本は生まれてきません。
売れることが全てではないですが、売れないと絶版となり残らないことも事実です。
良い絵本でも絶版となり手に入らないものも多くあります。
これから30年先も残る絵本を目指して作っていってほしいと思います。
そして、持参した絵本を隣りの人と交換してそれぞれで黙読をしました。
決まり事は「絵」だけを見ること。
それができたら今度は逆に「文」だけを読みます。
どちらかだけの情報でお話が伝わってきましたか?
まだ文字の読めない子どもは、大人以上に「絵」を食い入るようにしっかりと絵本を見ています。
例えば、言語のわからない洋書を見るとわかりやすいです。
言葉がわからなくても絵の情報だけを必死に読み込もうとするでしょう。
今回皆さんが選ばれた絵本はどれも「絵」と「文」どちらも良いバランスです。
今も残る絵本はどれもとても良いバランスで描かれています。
また、子どもは気に入ると何度も何度も読みます。
何度読んでも耐えうる、読む度に発見のある絵本が残る絵本です。
木村先生の一番好きな絵本は
『ラチとライオン』だそうです。編集者になられてから作者のマレーク・ベロニカさんになんとお会いできたそうです!
最後に
昔も今も子どもの好きなもの、共感できるものは変わっていないのでは。
例えば『からすのパンやさん』のように、パンは昔も今も好まれるアイテムです。
昔、自分の好きだったものは何だったか思い返すことでも何かヒントが得られそうですね。
その変わらない何かを、それを、どう描くかどんな手法で表現するか次第なのでは、と締めくくられました。