散文的で抒情的な、わたくしの意見

大河ドラマ、歴史小説、戦国時代のお話が中心です。

明智光秀が大好きだった小学生の頃

2017年08月20日 | ドラマ
大河「国盗り物語」が確か小学校高学年の時です。

同時に原作も読みました。小学生も高学年になると「常用漢字」はすべて読めますから、十分に原作も読めるのです。

原作の後編は、どっちかというと信長というより明智光秀が主人公なんです。ドラマの方も近藤正臣さんが演じて、そりゃカッコ良かった。

光秀には最初から天下に対する構想があるのです。でも斉藤道三は滅び、そして浪人となり、それでもなんとか足利再興を目指す。

だから天下を狙っていた、というより、「乱世を終わらせる」ことを狙っていた人物として描かれていた、のかな?

そのあたり、ちょっと揺らいでいます。天下を思っている、天下平定を構想しているのは確かなんですが、足利再興からどうしようとしているのか。

その点はちょっとわからない描き方だったと思います。

信長に対しては最初からライバルだと思っています。斉藤道三の二人の弟子の一方という設定ですから、ライバルですね。

ですから信長の暴走を受け入れるわけにはいかないし、信長の子分だとも思っていないので、信長の自分に対する態度を許すこともできません。

私が最初にみた明智光秀は「保守的な知識人」でもなければ、「公家的な男」でもない。

颯爽として、天下平定への構想を胸に秘めた男です。延暦寺焼き討ちのシーンでは「保守的知識人の側面」が強調されていますが、それ以外の部分では才能あふれる男として描かれています。

史実としても信長の数少ない軍団長の一人なんですから、相当の才能を持っていたのは事実でしょう。

ただ世間的には明智に対する興味は低いようですね。いつも行く図書館に明智の末裔を名乗る方が書いた本が置いてあるのですが、いつもその場所にあって誰も借りません。

もっとも私も借りませんが。

明智の末裔を名乗っている時点で「うさんくさい」のですよね。本に割ける時間は決まっていますから、何でも読むわけにはいかないのです。

本能寺謀略ものは「信長殺し、光秀ではない」で凝りました。一時盛んだった八切止夫の日本史です。最近では「信長の棺」なんてのもありました。やたら知識が出てくるけど空疎な本です。

フロイスもたしか光秀を傲慢な男と言っていたはずで、どうも最近の「お公家さんみたいな光秀像」には納得できないなーと思っています。



おんな城主直虎  嫌われ政次の一生(BSだから本放送前)

2017年08月20日 | ドラマ
井伊を思い、直虎を思い、悪名を背負い、罪を背負って「はりつけ」。

最後は直虎があえて、政次の命を絶つ。どうせ死が免れないなら、自分の手で。

音楽が途中からキリスト教的になって、政次がだんだんと「人々の原罪を背負って万人の為に死ぬキリスト」に近づいていきました。

高橋一生さんファンにとっては「もうたまらない展開」でしょう。涙、涙だと思います。

もし少女なら、政次の死のシーンを一生思い出すかも知れません。

私は少女でもなく、高橋一生さんファンでもないので、いいシーンだと思いながらも、

どっかで「柴咲コウの目力が凄いな」とか考えていました。

それにしても阿部サダヲの家康はどういう意図で造形されているのでしょう。

柴咲コウに謝罪し、はいつくばり、はいつくばったまま後退していきました。「貞子3D」に出てくる怪物のようでした。

最後までずっと情けないままなのか。情けないままに妻を殺し、情けないままに子を殺すのか。

こんな情けない家康に、井伊直政が命がけで仕える。どういう理由をつけてそう「持っていく」のでしょうか。

たぶん今回が一番いい回なんでしょう。ただしこれが限界、いいシーンだったけど、たぶんこれが限界。

それが分かっているせいか、このシーンの哀しさのせいなのか、なんだかシンミリとした悲しい気分です。

関ケ原における石田三成と上杉の「連携」はあったのか。

2017年08月20日 | ドラマ
史実としては、学者さんの説を色々調べても、これは分かりませんね。直江状についても真贋について、色々意見があるようです。

小説「関ケ原」では「連携があった」ことになっています。

それはそれとして、この「連携問題」はなにかと不可解なんですよね。

どうして三成は挙兵を急いだのでしょうか。

たとえば「連携なんかなかった」とします。そう主張する学者さんも多い。

それはそれでいいのですが、「なかったとしても、挙兵を遅らせた方が有利」でありましょう。

待っていれば、上杉と東軍の間には戦闘状態が発生します。あるいは東の伊達との間に挟まれて、上杉は滅亡するかも知れません。

でも戦いに入ってから、西軍が挙兵すれば、西軍は東軍を挟むことができます。「連携がない」のなら上杉の運命は気にする必要もありません。

「連携がない」としても、この作戦の方が有利でありましょう。「連携があった」としたら、伊達のことを上杉は「織り込み済み」ですから、さらに問題はなくなります。

待っていると西軍から大名が抜けていく、でしょうか。島津は抜けますが、宇喜多は残るし、小西も残ります。

毛利、吉川と小早川が抜けたとしても、それはそれで「スッキリ」するはずです。裏切られるよりは「まし」です。どうせ島津も毛利も関ケ原では一切動かないのですから。

それに「秀頼様警護」とすれば毛利輝元は大阪を動けないでしょう。

とにかく東軍が上杉と戦っている後ろから「突いた」ほうが有利なはずです。

つまり、東軍が上杉と戦端をひらくまで待つ。

ただ待っていると西軍の諸侯が抜けていくから、「三成挙兵のうわさ」は流しておく。流すことによって味方を大阪に引き留める。

同時に家康および東軍諸侯に「三成の挙兵はうわさに過ぎず、そのような意志のないこと」を三成は伝える。宇喜多もそのような動きがないことを伝える。

そうすれば、東軍は引き返す大義を失ってしまう。

戦端が開いたら、大老宇喜多秀家の名で「戦闘中止命令」を出す。「会津討伐は誤解であり、上杉に謀反の心がないことが分かった。即刻中止なさるべきこと」

しかし中止なんかしないでしょう。その時初めて、軍令違反ということで西軍を結成し、東軍をうつ。上杉はもう降伏しているかも知れませんが、東軍もかなり傷ついています。

そうすればかなりいい勝負に持ち込めたでしょう。

上杉があっけなく降伏してしまい、その段階で西軍(宇喜多、三成に味方する大名)がほとんど大坂城に残っていなければ、挙兵しなければいいだけのこと。

そもそも東軍は豊臣軍であり、その勝利は形式上は秀頼の勝利ですから、簡単には家康に実権は移りません。

それを早く挙兵なんかするもんだから、東軍は早々に引き返してしまいます。さらに上杉は伊達と戦闘に入って、東軍を追いません。

上杉にとっては三成挙兵は「天の助け」になっています。上杉は本能寺でも助けられましたが、三成挙兵でも、また窮地において助けられています。

連携があろうと、なかろうと、上杉と戦闘に入ってから挙兵すればいいものを。

どうも三成は戦機を知らない感じがします。島左近も名将の名は高いですが、それぐらいの「謀略」を献策できないようでは、たいした武将ではありません。

もっともかつてTBSドラマ「関ケ原」で徳川家康(森繁久彌)は最後にこう三成を評します。

「豊臣子飼いの大名の節操もない裏切りには背筋が冷たくなった。せめて三成一人がいて、泉下の太閤殿下も浮かばれるというものだ」

そうして家康は三成と太閤のために涙をながします。まああくまで「ドラマ」ですが、史実としても「あり得る」と思います。

徳川家康は若いころは律儀者で真面目な人間でした。年をとってからは狸親父、ワルというイメージが強いですが、当時としてはかなりの読書家で知識人です。

歴史主義者である家康の目から見れば、三成には勝利したものの、その行動には「讃えてもいい側面がある」と考えたはずです。

家康が尊敬する政治家は源頼朝で、その子供たちの悲惨な運命も知っていました。徳川存続のためには三成的な盲目的義心(忠義心とはちょっと違いますが)が必要と考えたはずです。

たとえ「建前としての義」であっても、「義」は必要だと思ったでしょう。その後徳川家全体が儒学を採用し、「忠」や「義」は徳目の中心となっていきます。

家康の涙は、まあ9割がた「なかった」でしょうが、1割ほどなら、三成と太閤の為に涙した可能性はあります。

関ケ原における毛利一族とその後

2017年08月20日 | ドラマ
毛利家はのち長州藩です。

関ケ原では西軍の大将(毛利輝元)ですが、輝元は大阪にいて関ケ原には参陣しません。

代わって指揮をとったというか、指揮争いをしたのが吉川広家と安国寺恵瓊。ところが正式な毛利家の大将は輝元の養子である毛利秀元。

そして親戚である小早川秀秋がいて関ケ原の勝敗を左右する。しかし秀秋は養子であり(北政所のおい)、毛利と血のつながりはない。

さらに言うと、毛利秀元は毛利家を継がない。養子になった後に生まれた輝元の実子である毛利秀就(ひでなり)が継ぐ、というなんかややこしい藩です。

長州藩の初代が毛利秀就だなんてことは、私もだいぶ年をとるまで知りませんでした。養子の毛利秀元は長州の支藩である長門長府藩の初代当主となります。

ところが、秀元は長州本家の政治を実質的にとりしきり、、、、とまあ色々面倒な家なのです。

この家、一応鎌倉幕府創設者の一人である大江広元の子孫ということになっていますが、系図ぐらいあてにならないものはないので、どうなんでしょうか。

家を興したのは言うまでもなく毛利輝元の祖父である毛利元就です。輝元の親父は隆元ですが、若くして殺されてしまい、輝元が本家を継ぎます。

この早死にした親父の弟が吉川元春と小早川隆景で、有名な「両川」です。輝元の成人後もこの二人の叔父が本家を取り仕切り、そしてかなりうまいぐあいにやっていました。

毛利元就は国衆から身を起こして中国地方の覇者になりました。少し大きくなりすぎたということで、「これ以上の領土拡張は望むな」と遺訓したと、まあ通説ではそうなっています。

輝元には長く実子がいなかったので、秀吉は秀秋を毛利本家の養子にしようとします。焦った小早川隆景は本家ではなく、自分の養子にと申し出ます。

一応大江広元を家祖とする家です。「北政所のおい」なんて氏素性も分からない若者に本家を継がせるわけにもいきません。

こうして歴史上有名な裏切り金吾中納言、小早川秀秋が登場します。

関ケ原では毛利本隊は「なんにもしません」。むろん家康と吉川広家には合意があって、あえて何にもしないのです。

なんにもしなかったことによって吉川広家はそこそこの領地を与えられ「かけ」ます。

ところが毛利本家自体は取り潰しになり「かけ」ます。

焦った広元は家康に懇願し、自分の領地を本家に譲って、毛利本家の安堵をはかり一応成功します。領土は相当というか、見る影もなく小さくなってしまいましたが。

吉川家自体は支藩岩国藩となって存続しますが、毛利本家からは幕末に至るまで「関ケ原で余計なことをしやがった藩」として疎まれます。

吉川家岩国藩にしてみれば「自分の領地を譲ってまで毛利本家を守ったのに、余計なことをしやがったとは何だ!」ということで面白くありません。

そりゃそうでしょう。

なるほど、毛利本家である輝元なり秀元なりが、「はっきりとした方針」を持って行動したなら、滅んだ可能性はあるものの、毛利幕府ができるか、豊臣家執権として天下を動かしたかもしれません。

でも「本家がぐずぐずではっきりしない」ので、吉川広家は本家を守るために行動したわけです。岩国藩からしてみれば自分たちは本家の「大恩人」であるはずです。

というわけで、本家と岩国藩はいつもぎくしゃく。

ただし、幕末、幕府と毛利本家(長州藩)が戦争を起こすにあたり、岩国藩が幕府についたのでは堪らないということで、やっと岩国藩と毛利本家は和解します。

そのことを献策したのは桂小五郎だといわれています。ややこしい一族です。

映画 関ケ原 小早川秀秋は愚人のままでいい。新説はやめてくれ。

2017年08月20日 | ドラマ
映画 関ケ原

小早川秀秋が東出昌大さんです。杏さんの旦那だったでしょうか。

とにかく彼を配役したということは「新説で描く」のでしょう。やめてほしいもんです。

TBSのドラマでは原作通りに愚人で描きました。国広富之さんが演じましたが、好演でした。特に最後にさらし者となった三成を見に行くシーンなんかは白眉です。

「人の世が続くかぎり、裏切り中納言金吾の名は語り継がれるぞ、わしは鬼となってもおぬしを生かしてはおかん」という三成のセリフも素晴らしいものでした。

まあ制作意図は分かります。天下の関ケ原が「愚人一人の裏切りによって決した」では都合が悪いのでしょう。

どうしても小早川秀秋、金吾中納言を「人かどの人物」にしたい、のでしょう。でも「原作の肝心な部分を変更するのは」やめてほしい。(もう撮影終わっているからどうしようもないですが)

「愚人には愚人の歴史的役割」があるのです。歴史は賢人によってのみ成り立つものではありません。

そして秀秋の裏切りを想定していなかった三成の「まっとうさ」もまた歴史の面白さです。想定していたであろう大谷刑部の見識もまた歴史の面白さです。


映画「関ケ原」のキャスト、初芽

2017年08月20日 | ドラマ
司馬さんの本が映画化されるのは「梟の城」以来18年ぶりだそうです。

ほとんどが大河ドラマの原作になっていて、残っている作品が少ないのです。戦国だと「関ケ原」「夏草の賦」(長曾我部)「城塞」あたりかなと思います。

尻喰え孫市は昔映画化されてますし、大河「国盗り物語」の原作のひとつにもなっています。

「関ケ原」はかつてTBSでドラマ化されました。三成は加藤剛、家康は森繫久彌、本多正信は三国連太郎、初芽は松坂慶子、その他、丹波さんなんかも出ています。

今回のキャストは

石田三成、岡田准一 「官兵衛」でそれなりの演技をみせましたし、ジャニーズ系だから若者にも受けるし、まあ順当なんでしょう。

徳川家康、役所広司、、、悪役感が少し薄い。「関ケ原」はピカレスクロマン(悪漢小説)でもあるのだが、「うまいワル」を演じることができるだろうか。

本多正信、久保酎吉、、ん、存じ上げない。画像検索してもあまり見たことない方。映画では主役級じゃないのかな。原作では準主役なんだけど。

島左近、平岳大、、、「真田丸」での好評が良かったみたい。親父さんの大ファンなので、息子さんにも頑張ってほしい。ちなみにTBSドラマでは三船敏郎。

大谷刑部、大場泰正、、、この方も存じ上げない。かつてのTBSドラマでは高橋幸治さんが演じて、準主役でしたが、今回は扱いが違うのかも知れません。

で、気になる初芽は

有村架純

うーん、「かわいい系」の方ですね。もうちょっと「はかない美人系」かな、イメージとしては。

かつては「若いころの松坂慶子」だから、今なら「もう少し若かった頃の北川景子」かな。

「はかない美人系」の若い女優さんは今少ないし、まあ有村さんでも演技を頑張ってくれれば、何の文句もありません。

それに設定が原作とは違い「忍者」みたいなので、アクションとかをするのでしょう。AKB系じゃないだけでも、満足しなくてはいけない。MさんとかOさんだったら、「本当に見る気がなくなり」ます。

最近映画「真田十勇士」を見ました。あまりの「つまらなさ」にひっくり返りそうになりました。もう歴史映画作成のノウハウが失われているのでしょう。(監督が堤幸彦さんだと、先ほど知りました。とすると、別の見方もあるのでしょうが、今の段階では、やはりつまらないと思っています)

レンタルになるまで見ないけど、ぜひ完成度の高い作品であってほしい。鍵を握るのは「家康の造形」だと思います。典型的な悪役でもダメ。といって天下静謐を願う善人でもダメ。難しい人間造形になります。

それから本当は本多正信の「悪ぶり」が魅力なんだけど、さてどうなるものやら。

それと、映画のキャストを見ながら思ったのですが、TBSドラマの方がキャストがずっと豪華です。