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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

なぜ乃木坂のCDセールスは伸びたのか?「シンクロニシティ」初動ミリオンの鍵は全国握手会 [02May18]

2018-05-02 03:45:00 | 芸能

乃木坂46が参加する、注目の番組とイベント

(テレビ・ラジオ・イベント・リリース)

05月06日(日) [BS] 23:00〜23:30 NHK BSプレミアム「乃木坂46SHOW!」。「シンクロニシティ」「Against」のフルサイズ披露。生駒里奈「卒業」ライブ潜入他


フジテレビCS放送の『プロ野球ニュース』、昨夜は衛藤美彩の初登場回でしたが、思った以上に落ち着いてMCをこなして、感心しました。

何と言っても1時間の生放送、しかも、通常は女子アナが担当する役割のため、みさみさが口を開かないと一歩も進まない番組構成で、緊張するのが当たり前の中、よく通る声でスムーズにしゃべっていて聴き易かった。

ただ、最初は原稿以外のコメントをしゃべる余裕がなかったようで、もう一人の、というより本当のMC大矢明彦さんからの気を遣ったあの手この手のフリに、「はい、そうですね」のあらゆるバリエーションで対処して(笑)、さすがのみさ先輩も相当固まっている印象だった。


それでも、番組半ばくらいに、「ロッテのあのユニフォーム、どう思う?」との問い掛けに、「おしゃれ!」「カワイイ!」と多分初めてアドリブで感想を返し、大矢さんも手応えを感じたのか、「おお!それじゃあ女の子にモテるね!!」と、普段の「プロ野球ニュース」ではあまり聞けないやりとりが炸裂。

同郷大分出身である西武の源田壮亮選手へのインタビューコーナーでは、レフ板光量多めのみさみさアップショットが、相手が話しているときですら二分割で入るという、アイドルとスポーツの革命的融合が展開、図らずも、フジテレビの「変わらなきゃ!」という意気込みを感じることに(笑)。

昨年までヤクルト監督だった真中満さんが、「尺長くないですか」と最後にツッコミを入れてくれたけど、バックに流れているのが「雲になればいい」で、もはや「乃木回」の雰囲気が漂っていました。


乃木坂公式サイトの「スケジュール」ページを調べると、5月は毎週月曜日に「プロ野球ニュース」衛藤美彩と書かれており、VTR出演が思っている以上にあるのかもしれない。

さらに、インタビューコーナーの冒頭、みさみさが「今回は私が・・・」と呟いた気がして、ひょっとすると別のメンバーが登場する可能性もあるのか?、そのうち歌のコーナーとか出来るんじゃないか?と、夢は膨らむばかりです(笑)。

私は、プロ野球と乃木坂46、両方好きで、試合内容をVTRで詳細に紹介し、解説する従来型だけでなく、こういった新企画の投入はどんどんやって欲しいし、やってくれれば、今まで以上に「プロ野球ニュース」を観るでしょう。

長年続いてきた「老舗」番組が、新しい試みを取り入れるのはワクワクすることで、多少の批判や失敗はあっても、挑戦する価値はあるんじゃないかと思います。

そういう観点からも、衛藤美彩の「プロ野球ニュース」は、面白くて、期待感を抱かせる回だった。


さて、乃木坂46の20枚目「シンクロニシティ」は、オリコン第1週売り上げが111.7万枚の1位だったことが判明しました。

19枚目「いつかできるから今日できる」初動を、なんと26.6万枚も上回る数字で、生駒里奈の「卒業」シングルがグループ初となる初動ミリオンを達成し、しかも、直近リリースのAKB48シングルである「ジャーバージャ」初動111.6万枚を、これまた初めて越えるという、出来過ぎ感すら漂う展開になっています(笑)。

しかし、では、乃木坂の人気が前作と比べて、26.6万枚分伸びたのかと言われると、いろいろ考えるべき点がある。


まずは、歴代売り上げとの比較を載せておきます。

(表1) 乃木坂歴代シングルのオリコンデイリー初日と週間第1週初動の推移

凡例
[シングル番号] 初日→(積み上げ)→初動 前作初動からの増減 [CD発売日] タイトル

#「初日」「積み上げ」「初動」「前作からの増減」はすべて「万枚」単位で、小数点以下1桁目を四捨五入
#「前作からの増減」は、増加した場合は上矢印「↑」、減少した場合は赤色の下矢印「↓」で示している

[01] 初日08.5→(05.1)→初動13.6 [2012/02/22] ぐるぐるカーテン
[02] 初日11.1→(04.4)→初動15.6↑01.9 [2012/05/02] おいでシャンプー
[03] 初日15.0→(03.7)→初動18.7↑03.1 [2012/08/22] 走れ!Bicycle
[04] 初日19.0→(04.3)→初動23.3↑04.6 [2012/12/19] 制服のマネキン
[05] 初日20.4→(03.8)→初動24.2↑00.9 [2013/03/13] 君の名は希望
[06] 初日28.6→(05.1)→初動33.7↑09.5 [2013/07/03] ガールズルール
[07] 初日34.7→(04.8)→初動39.5↑05.8 [2013/11/27] バレッタ
[08] 初日38.7→(07.1)→初動45.8↑06.3 [2014/04/02] 気づいたら片想い
[09] 初日37.5→(04.7)→初動42.2↓03.6 [2014/07/09] 夏のFree&Easy
[10] 初日41.2→(06.6)→初動47.9↑05.7 [2014/10/08] 何度目の青空か?
[11] 初日42.2→(07.8)→初動50.0↑02.2 [2015/03/18] 命は美しい
[12] 初日48.2→(12.8)→初動60.9↑10.9 [2015/07/22] 太陽ノック
[13] 初日53.4→(09.3)→初動62.7↑01.8 [2015/10/28] 今、話したい誰かがいる
[14] 初日59.1→(15.9)→初動75.0↑12.3 [2016/03/23] ハルジオンが咲く頃
[15] 初日60.0→(12.8)→初動72.8↓02.2 [2016/07/27] 裸足でSummer
[16] 初日68.3→(14.4)→初動82.8↑10.0 [2016/11/09] サヨナラの意味
[17] 初日74.3→(13.2)→初動87.5↑04.7 [2017/03/22] インフルエンサー
[18] 初日71.6→(16.4)→初動88.0↑00.5 [2017/08/09] 逃げ水
[19] 初日68.3→(16.8)→初動85.1↓02.9 [2017/10/11] いつかできるから今日できる
[20] 初日86.3→(25.3)→初動111.7↑26.6 [2018/04/25] シンクロニシティ


今作は初日段階で、前作をすでに18万枚上回ったのに加え、水曜から日曜までのデイリーも8.5万枚多く積み上げ、100万枚を12万枚近く越える初動ミリオンとなった。

デイリー推移を眺めると、ある日、どかんと援軍が来たというより、毎日毎日歴代最高レベルの売り上げが続き、結局、一度も3万枚を下回る日がなかった。

(表2) 乃木坂14〜20枚目の発売第1週オリコンデイリーの推移

凡例
[シングル番号] 初日 (曜日)デイリー売り上げ {水曜〜日曜累計 / 初日初動差} 初動↑↓前作からの増減

[14] 初日59.1 水11.4 木1.7 金1.1 土0.9 日0.8 {15.8/15.9} 初動75.0
[15] 初日60.0 水06.2 木1.9 金1.2 土0.9 日2.5 {12.8/12.8} 初動72.8↓02.2
[16] 初日68.3 水05.3 木2.5 金2.1 土1.4 日3.1 {14.4/14.4} 初動82.8↑10.0
[17] 初日74.3 水06.1 木2.2 金2.1 土1.5 日1.2 {13.1/13.2} 初動87.5↑04.7
[18] 初日71.6 水07.4 木3.6 金2.6 土1.6 日1.1 {16.4/16.4} 初動88.0↑00.5
[19] 初日68.3 水07.5 木3.9 金1.9 土2.1 日1.3 {16.8/16.8} 初動85.1↓02.9
[20] 初日86.3 水10.2 木4.6 金4.0 土3.5 日3.0 {25.3/25.3} 初動111.7↑26.6


どの曜日も満遍なく売れるのは、初回限定盤などの店頭セールスが好調だったことを窺わせるものです。

しかし、全国握手会の開催や「似顔絵会」「ゲーム会」などの応募が終わっていない段階での初回限定盤セールスは、収録されている音楽・映像コンテンツより、特典イベントの魅力で売り上げている分が圧倒的です。

以下の表は、19枚目「いつかできるから今日できる」のオリコン推移ですが、全国握手会の開催に売り上げ枚数と順位が大きく左右されているのが分かります。

(表3) 乃木坂19枚目のオリコン週間ランキング推移

凡例
[順位] 売り上げ枚数(その週までの累計) CD発売後経過週数 日付期間

#「売り上げ枚数」は小数点以下2桁目を四捨五入。「00.0万枚」は売り上げゼロではなく5百枚未満の意味
#「50外」はオリコンが無料一般サイトで公表している50位以内に入っていない
#「日付期間」は2017年秋から18年春に渡り、年度を省いている
#「全国」は全国握手会の開催

[01位] 85.1万枚(085.1) 01W 10/09(月)15(日)
[03位] 04.2万枚(089.3) 02W 10/16(月)22(日)
[05位] 02.0万枚(091.3) 03W 10/23(月)29(日)
[06位] 01.2万枚(092.4) 04W 10/30(月)05(日)
[12位] 01.1万枚(093.5) 05W 11/06(月)12(日)
[10位] 01.1万枚(094.6) 06W 11/13(月)19(日)
[18位] 00.7万枚(095.3) 07W 11/20(月)26(日)
[34位] 00.3万枚(095.6) 08W 11/27(月)03(日)
[20位] 00.5万枚(096.1) 09W 12/04(月)10(日)
[21位] 00.5万枚(096.6) 10W 12/11(月)17(日)
[17位] 00.5万枚(097.2) 11W 12/18(月)24(日)
[08位] 00.7万枚(097.9) 12W 12/25(月)31(日)※12/25(月)SPイベント応募締切
[02位] 01.5万枚(099.4) 13W 01/01(月)07(日)
[02位] 02.4万枚(101.8) 14W 01/08(月)14(日)※01/08(月)全国(幕張)
[05位] 02.7万枚(104.5) 15W 01/15(月)21(日)※01/20(土)全国(なごや)
[13位] 00.6万枚(105.0) 16W 01/22(月)28(日)
[18位] 00.5万枚(105.5) 17W 01/29(月)04(日)
[18位] 00.3万枚(105.8) 18W 02/05(月)11(日)
[27位] 00.4万枚(106.2) 19W 02/12(月)18(日)
[32位] 00.3万枚(106.5) 20W 02/19(月)25(日)
[28位] 00.3万枚(106.9) 21W 02/26(月)04(日)※03/02(金)個握応募終了
[35位] 00.3万枚(107.2) 22W 03/05(月)11(日)
[33位] 00.4万枚(107.5) 23W 03/12(月)18(日)
[20位] 00.5万枚(108.0) 24W 03/19(月)25(日)
[06位] 02.0万枚(110.0) 25W 03/26(月)01(日)※03/31(土)全国(大阪)
[50外] 00.0万枚(110.0) 26W 04/02(月)08(日)
[50外] 00.0万枚(110.1) 27W 04/09(月)15(日)
[50外] 00.0万枚(110.1) 28W 04/16(月)22(日)


19枚目最後の全国握手会は、CD発売25週目(W)に相当する、今年の3月31日(土)にインテックス大阪で行われました。

そして、この25Wまで0.1万枚以上を維持して、TOP50に入っていた売り上げが、26Wから急落し、50位圏外に去っている。

最終全国握手会の開催週まで大きなCDセールスが続き、それを境に低い数字が並ぶのは、坂道やAKB48Gによく見られる特徴です。


ただ、「低い」と言ってもゼロではなく、特典がすべて終わったあとの売り上げこそが、収録されている楽曲やMVの人気を反映するバロメーターになる。

例えば、欅坂のシングルは、特典終了後のオリコン売り上げが非常に良好で、リリースした全6作のうち、今まで200位圏外に落ちたのは、2017/12/18付における「二人セゾン」の1回だけという、俄かには信じられないCDセールスを続けています。

一方、乃木坂の場合は、17枚目「インフルエンサー」までの4シングルに限れば、200位圏外は1回に留まるけど、それ以前に遡ると、16枚目「サヨナラの意味」が17回の圏外を喫するなど、欅坂ほどの粘り強さはない。


最後の全国握手会が開催される週までのCDセールスは、それが店頭販売CDであっても、売り上げ枚数が示すのは特典イベントの集客・集金力であり、楽曲人気とはほとんど関係ありません。

こういう視点を持って乃木坂17枚目以降のオリコン売り上げにおける個別握手会セールスと店頭セールスの割合を眺めると、興味深いことが分かります。

初動において7割対3割だった個別と店頭の比が、全国握手会終了週の累計において6割対4割へ変わるパターンが続いている。


以下の表に示したように、17枚目「インフルエンサー」では、初動87.5万枚の中、6次応募分までを流し込んだ個別握手会セールスは推定60.4万枚、店頭セールスは27.0万枚で、個別対店頭の比は69%対31%。

個別握手会は、部数ベース完売率が84.4%と高く、その後、全国握手会終了週の発売14Wに達しても、90.9%までしか伸びず、個別握手会セールスの積み上げは0.7万枚に留まっている。

一方、店頭セールスは、14Wまでに13.8万枚を積み上げ27.0万枚。


発売1Wにおいて、個別握手会セールスはすでにほぼ売り切れ状態で、それ以降は、主に店頭セールスが上昇し、両者の比が7対3から6対4に変化する。

こういった動きが、17、18、19枚目と連続して起こっています。

(表4) 乃木坂17〜19枚目に関するCD発売週と全国握手会終了週のオリコン売り上げ内訳分析

凡例
対象週の発売後経過週数
個別握手会セールス [全体に占める割合]
対象週直前の受付次数 : 完売部数/総部数 (部数完売率_枚数販売率)
店頭セールス [全体に占める割合]
------------------------------
対象週のオリコン売り上げ @ 発売後経過週数

#「個別握手会セールス」は完売状況からシミュレーション計算で求めた推定値
#「店頭セールス」はオリコン累計から「個別握手会セールス」を引いたもの
# ↑↓の増減は、それぞれの売り上げ項目において「⬇︎」の矢尻から矢筈を引いたもの

17枚目「インフルエンサー」
01W CD発売週
個別 60.4万枚 [69%]
06次 : 743/880部 (0.844_0.916)
店頭 27.0万枚 [31%]
------------------------------
初動 87.5万枚 @ 01W
⬇︎
14W 最終全国握手会開催週
個別 61.1万枚↑00.7 [60%]
14次 : 800/880部 (0.909_0.927)
店頭 40.8万枚↑13.8 [40%]
------------------------------
累計 101.9万枚↑14.5万枚 @ 14W

18枚目「逃げ水」
01W CD発売週
個別 63.3万枚 [72%]
06次 : 805/930部 (0.866_0.987)
店頭 24.7万枚 [28%]
------------------------------
初動 88.0万枚 @ 01W
⬇︎
22W 最終全国握手会開催週
個別 64.0万枚↑00.7 [60%]
20次 : 893/930部 (0.96_0.998)
店頭 41.8万枚↑17.0 [40%]
------------------------------
累計 105.8万枚↑17.8万枚 @ 22W

19枚目「いつかできるから今日できる」
01W CD発売週
個別 62.0万枚 [73%]
05次 : 615/920部 (0.668_0.899)
店頭 23.1万枚 [27%]
------------------------------
初動 85.1万枚 @ 01W
⬇︎
25W 最終全国握手会開催週
個別 66.1万枚↑04.1 [60%]
21次 : 811/887部 (0.914_0.994)
店頭 43.9万枚↑20.8 [40%]
------------------------------
累計 110.0万枚↑24.9万枚 @ 25W


オリコン売り上げにおける個別握手会セールスと店頭セールスの比は、発売週では、前者が後者を圧倒する7割対3割の「初動」型、最後の全国握手会が行われる週では、後者が前者に迫る6割対4割の「累計」型を示すのが、直近数シングルの特徴です。

ところが、20枚目「シンクロニシティ」の初動は、7割対3割の「初動」型ではなく、6割対4割の「累計」型になっている。

(表5) 乃木坂20枚目に関するCD発売週のオリコン売り上げ内訳分析

20枚目「シンクロニシティ」
01W CD発売週
個別 65.1万枚 [58%]
07次 : 708/890部 (0.796_0.975)
店頭 46.6万枚 [42%]
------------------------------
初動 111.7万枚 @ 01W


20枚目のオリコン売り上げが、なぜ初動段階でいきなり「累計」型を示すのか、理由は全国握手会の日程が物語っています。

(表6) 乃木坂20枚目の特典イベントの開催及び応募日程

凡例
[オリコン日付] CD発売後経過週数 日付期間

[05/07付] 01W 04/23(月)29(日) ※04/29(日) 全国(インテックス大阪)
[05/14付] 02W 04/30(月)06(日) ※05/06(日) 全国(幕張メッセ) 生駒里奈「卒業」
[05/21付] 03W 05/07(月)13(日) ※05/12(土) 全国(ポートなごや)
[05/28付] 04W 05/14(月)20(日)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[07/09付] 10W 06/25(月)01(日)
[07/16付] 11W 07/02(月)08(日) ※07/02(日) SPイベント応募締切
[07/23付] 12W 07/09(月)15(日)


前作では発売25Wまで掛かった全国握手会の消化が、今作では、たった3Wで終るスケジュールが組まれている。

しかも、2Wにおける幕張メッセは、「卒業」する生駒里奈の乃木坂における最後の仕事とアナウンスされている。

全国握手会の参加券とミニライブ券を求めて、多くのファンが発売前から初回限定盤を買うのは当然で、店頭セールスが一気に上がった主因だと思います。


つまり、20枚目「シンクロニシティ」は、通常よりずっと早く店頭セールスが上昇するよう、全国握手会の開催日程を決め、発売2Wの幕張メッセを生駒ちゃんの「卒業」イベントに設定し、その結果、仕掛けた通り、スタートから初回限定盤の売り上げが急伸して、初動ミリオンを達成し、個別対店頭比は最初から「累計」型を示すことになった。

であれば、前作初動と今作初動を比べて、店頭セールスが何枚伸びたかを調べても、あまり意味はない。

20枚目の初動は、19枚目で言えば、最終全国握手会が直前に迫った段階の累計に匹敵するもので、比較するならば、20枚目3Wと19枚目25Wのように、日程条件を揃える必要がある。

「シンクロニシティ」は、まだ初動が出たばかりなので、取り敢えず、19枚目25Wからの変動を計算してみました。

(表7) 乃木坂19枚目全国握手会終了週と20枚目CD発売週のオリコン売り上げ内訳分析

19枚目「いつかできるから今日できる」
25W 最終全国握手会開催週
個別 66.1万枚 [60%]
21次 : 811/887部 (0.914_0.994)
店頭 43.9万枚 [40%]
-----------------------------
累計 110.0万枚 @ 25W
⬇︎
20枚目「シンクロニシティ」
01W CD発売週
個別 65.1万枚↓1.1 [58%]
07次 : 708/890部 (0.796_0.975)
店頭 46.6万枚↑2.8 [42%]
-----------------------------
初動 111.7万枚↑1.7 @ 01W


個別握手会セールスは、前作から1.1万枚減ですが、部数ベース完売率がまだ79.6%と伸び代を残しており、総部数はほとんど変わらないので、発売3W累計では互角になると思います。

一方、店頭セールスは2.8万枚増と、すでに前作レベルを越えており、2Wと3Wの積み上げを加えると、3W累計では10万枚近くアップしても不思議ではない。

そして、その上昇分こそが、レコード大賞の受賞、生駒里奈の「卒業」、メディア露出の拡大などがもたらした、握手会セールスの引き上げ「効果」と言えます。


全国握手会を超短期決戦型日程にしたことで(笑)、初回限定盤が通常よりずっと速く買い進まれ、初動が大幅に上昇した。

ただ、理屈通りに、短期での売り上げアップを実現できたのは、乃木坂が高い人気を持っている証拠で、とくに全国握手会の強い動員力を示している。

全国握手会の強化は、乃木坂が近年取り組んできたテーマのようで、その成功が17枚目以降の売り上げ4割という、高い店頭セールスに表れています。


個別握手会は、事前に日時とメンバー名を設定して予約販売するので、メンバーの都合による不参加には、振替が求められてしまう。

そのため、どんなに素晴らしい出演オファーが舞い込んでも、泣く泣く断らなければならず、乃木坂の人気が上昇して、トップメンバーを中心に、CM、テレビ、舞台、イベントなどの仕事依頼が増えると、個別握手会参加は活動の足枷になっていく。

17枚目「インフルエンサー」から、白石麻衣、松村沙友理、西野七瀬、生田絵梨花、秋元真夏、生駒里奈、若月佑美、桜井玲香ら中軸メンバーを、個別握手会の全日程不参加もしくは一部限定参加にして、外仕事に対する自由度を確保している。


3期の握手会人気が急上昇したことで、個別握手会セールスは安定したものの、開催日数や総部数の今以上の増加は、メンバーの負担アップや費用対効果を考えると避けたいところです。

実際、「乃木恋」やライブDVDなどがよく売れるのだから、そこまで握手会にこだわる必要はない。

ただ、握手会規模を拡大しなければ、オリコンの売り上げ枚数は頭打ちとなってしまう。


そこで切り札になったのが、全国握手会の個別握手会化だと思います。

指名予約のない全国握手会は、参加メンバーを直前に発表すればよく、トップメンバーにとって、外仕事のスケジュールが調整し易い。

そして、従来の二人一組のペアで行っていた握手を、ソロによる握手にすれば、個別握手会に参加しない中軸メンバーと、ファンは1対1で会うことが出来る。


まいやんとさゆりんごの個別握手会全日程不参加が決定された17枚目「インフルエンサー」以降、発売1Wで個別握手会セールスがほぼ売り切れ、その後、全国握手会終了週まで店頭セールスが伸びていくパターンが定着していきます。

全国握手会が以前より重要性を増し、個別握手会セールスが伸びなくても、店頭セールスがそれを補う形が出来ていく。

握手会参加券とミニライブ券を切り離したのも、この流れの中にあり、トップメンバーの外仕事に対する自由度確保が出発点である一連の策が、生駒里奈の「卒業」シングルで、初動ミリオンに結びついたのだと思います。


これまでの握手会設定を見ていると、個別も全国も、AKB48のCDセールスを越えないよう、抑えている節があったけど、今回は遠慮せず、持っているカードを威勢よく切った感がある。

あるいは、生駒ちゃんの「卒業」をお祝いするため、派手な打ち上げ花火をぶっ放したのかもしれない(笑)。

しかし、特典が有効な期間のCDセールスは、楽曲人気とは関係なく、仕掛けた特典イベントに対する人気を表すに過ぎません。


米津玄師「Lemon」のオリコン初動は19.5万枚で、乃木坂「シンクロニシティ」の17%ですが、楽曲人気が17%というわけではない。

また、「Lemon」は握手会ではないCD特典を付けているようで、握手会人気が17%とも言えない(笑)。

さらに、AKB48は近年、「祭り」を筆頭に、握手以外のイベントを豊富に取り入れており、「シンクロニシティ」の握手会人気が「ジャーバージャ」を上回ったという主張にも、考え込んでしまう面がある。

そもそも乃木坂の20枚目と19枚目を比べるときですら、初動同士を並べても意味がないわけで、特典の複雑な条件設定に大きく左右されるCD売り上げは、もはや何を反映するのか分からない、使いづらい指標になっています。


一方、複数ダウンロードが難しく、特典が付かない配信のセールス指標は、比較的分かりやすい。

例えば、初動DLは「Lemon」23.56万DL、「ガラスを割れ!」3.49万DL、「シンクロニシティ」1.79万DL。

乃木坂の楽曲人気が米津玄師の8%とは言えないけど、累計が94.13万DLであることを考えると、両者の間に相当な開きがあるのは間違いなく、欅坂に届いてないことも認めざるを得ない。


オリコン初動ミリオンは、個別と全国、乃木坂の握手会人気と日程設定が呼び込んだ数字だけど、あくまで特典イベントの動員力を示すもので、音楽的人気とは関係なく、さらには、CMで商品の売り上げを伸ばす人気、テレビ番組で視聴率を稼ぐ人気、といったものと必ず連動しているわけでもない。

その区別を念頭に置いて数字を見ることが、今後、次々と出てくるだろう「ミリオン」の洪水に流されず、グループを着実に発展させていくのに不可欠だと思います。

38作連続でミリオンを飛ばし、今尚、それを続けているAKB48ですら、人気低落を囁かれていることが、その数字の価値と限界を示している。


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dNogi 〜 乃木坂20th「シンクロニシティ」オリコンDL初動は1.79万、欅坂の半分が意味するもの [26Apr18]

欅坂「ガラスを割れ!」初動は83.3万枚1位と3.5万DL2位、乃木坂が生駒最後の20枚目で目指すもの [15Mar18]

乃木坂19枚目オリコン初動分析、前作割れ主因は店頭セールスの大幅低下か、顕在化するCD時代の終焉 [20Oct17]


// 最近のツイート抜粋

アレチボルト@sabakunonezumi のツイッターアカウント

今、欅坂において、メンタル面で苦しむ人が相次いでいるのは、デビュー曲がいきなり大ヒットし、猛然と走り続けてきた副作用かもしれない。一方、初期の乃木坂はあまり仕事がなく笑、メンバーはお互いの関係を育む余裕を持てた。その時培った絆がグループを安定させ、現在の活躍を支えている気がする
1:08 - 2018年4月27日

乃木坂46「シンクロニシティ」MVは金曜正午に公開3週目(w)が終了、累計は584万回。「インフルエンサー」506万回を越える歴代最速ペースも、3w増加速度はインフル15.4万回/日より低い14.7万回/日まで減速。MV公開3WのBillboard JAPAN Hot100「国内動画再生回数」も21位へ下落。やや伸び悩み感のある展開
23:48 - 2018年4月27日

乃木坂46の20枚目CW曲フルバージョンMVは発売日正午にショートへ。最終累計は「Against」209.7万回、「トキトキメキメキ」145.1万回、「新しい世界」67.3万回、「スカウトマン」65.1万回。Bilboard JAPAN Hot100は4曲全てがMV公開週にツイートと国内動画で100位圏内。シングル全体への注目度が高い印象
0:25 - 2018年4月28日

「シンクロニシティ」は地上波テレビで6回披露され、ほとんどのステージが演奏時間3分。前作「いつもできるから今日できる」は46SHOW!やMUSIC FAIRを除き2分半で、18th以前の表題曲も同じだった。今年に入って、音楽番組における乃木坂46の扱いがより良くなった印象。レコード大賞が利いてるのかも笑
18:41 - 2018年4月29日

音楽番組での乃木坂表題曲演奏時間
シンクロニシティ
3分01秒 CDTV25周年
3分01秒 Mフェア
2分57秒 うたコン
3分01秒 Mステ
3分00秒 バズリズム02
2分32秒 CDTV
いつかできるから今日できる
2分30秒 Mステ
2分59秒 Mフェア
2分30秒 MステSP
2分30秒 バズリズム02
2分30秒 CDTV
2分26秒 CDTV_ハロウィン
18:45 - 2018年4月29日

乃木坂20th個別握手会の総部数は19thとほぼ変わらず、販売率は両者とも100%に近い。従って、CDセールスの違いは店頭分に左右される。全国握手会を発売3週目で全消化する今作は、そこまでに前作25週分が注がれる可能性があり、今作3Wと前作25Wの累計差が、日程効果を差し引いた新規増減分と考えられる
22:22 - 2018年4月29日


# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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