那智というのはここでも何度も紹介した今は珍しい班毛の紀州犬です。
最近まで京都に住まわれていた(伏見稲荷境内と言っても良い・・今は高槻在住)吉田さんという僕の犬の先生(勝手にそう決めている・・)の処からやってきました。
今年で9歳になりました。
今や那智は僕の犬人生の中ではとても特別な存在の犬になりましたね。
その風貌も性格も犬性そのものが素晴らしくてね。賢い・・。
犬バカ丸出しで申し訳ないですけどね。とにかくこの子との生活は家内ともどもそれはほのぼのとした良い気分にさせてくれましてね。かけがえのない幸せを感じるのですよ。
那智が生んだ子が二匹、オスの胡麻毛の黒狼(コク)とメスの斑毛の琥那(コナ)が一緒に住んでいますがやっぱり何だか那智が一番で、この子達とてかけがえのない子達なんですけどねもちろん・・・。
でもねやっぱりえこひいきじゃないですけど那智は特別扱いしちゃうんですよ。
致し方ないですね、三匹だとどうしても年配の那智を優先してしまいますもの。
那智は斑毛特有と思われる素晴らしい運動神経と周囲への警戒心、旺盛な猟欲、それに家庭犬としての温厚さと勇敢さ等々、類まれな資質をすべて備えています。
以前、まだ那智が一歳くらいの時に京都の家でちょうど大晦日、夜中に駐車場に止めてあった自転車を盗みに来たと思われる多分二人組が、突然の那智のまるで獰猛な大型犬のような吠え声に驚いて「うわっー!」と言いながらバタバタと逃げ出したことを昨日のことのように思い出しますね!(^^)! うとうとしていた僕も驚いて飛び起きましたからね・・。簡単に追っ払いちゃいましたよ(>_<)家族が夜中に帰っても知らん顔してますけどね。
尾鷲の家はサルの被害はありません。周りはまさしく不法侵入されたりして大変なのですけどね、家は平穏なものです。他の野生動物も同様でまず家に近ずく奴はいませんね。前に誤って床下に侵入してきたアナグマ親子も一匹は那智に殺されましたからね・・今やその頃より更に強烈になったのが二匹いますから余計にですよね。
で先日京都のことですが、朝の散歩から帰って玄関ドアを開けたら階段の上から二歳半の孫が自分で階段を降りるような素振りを見せたと思ったら、実際にお尻から片足づつ降りてきだしたので僕は驚いて息子に「危ないで!」と声を掛けてリードを持ったまま階段途中まで那智に迎えに行かせるような形になって孫のそばに近づいたところ、孫の顔を少しだけペロっと舐る素振りをしたと思ったら何と今度はおもむろに方向を変えて自分のお尻と背中を階段側の孫に寄せ着けて孫をそれ以上来させまいと必死で止めようとするんですよね、それでも孫はその那智をどけるようにして必死で降りようとするので僕が途中で抱き上げて下まで降ろししてやったのですが・・さすがにこれには息子も僕も驚きましてね。
(コナも同様で部屋の中ではずっと孫の後をついて歩くほどですから・・・)
大したものですね守るべきものは何なのか・・・那智はよく分かっているようです。
遠い昔、僕が子供の頃、祖母の家に泊まった日の朝、布団から出て祖母が朝ご飯の用意をしている土間のお勝手の敷居に立つと、当時祖母が飼っていたタロウという名前の犬(多分紀州犬とスピッツのミックスのようで小柄な犬でした)が、すかさず庭から走って来て僕の足元の土間と敷居の30センチ位の高さがあるのですが、そこに必死に背中を押し当てる素振りをするのですよ、それも毎朝です。
僕が怪訝な顔をしていると祖母が「タロウはなぁ、あんたが落ちんようにって心配しとるんさ」と言っていました。僕は子供心にへぇーっとすっかり感心しちゃいましたね。
タロウは祖母の言うことは何でも聞きわけるとても賢い犬で、この子には冗談も言えへんと苦笑いしてたこと覚えています。
ある時、祖母が畑仕事を終えて帰り際、ごみを燃やした焚き火の燃えかすが少し残っていたのでタロウに「ここでちょっと番しといてな」と軽い気持ちで言ったものの、そのことをすっかり忘れて家に戻り、しばらくしてからタロウのが家に帰っていないことに気づき皆で大騒動になり、やっと祖母が帰りがけにタロウに掛けた言葉を思い出し、すっかり夜中になった畑に戻ると何とその燻ぶった焚き火の前でじっと座っているタロウを見つけ驚いて、愛しくて可哀そうで泣きながら抱いて帰ってきた・・・そんなエピソードもありましてね。
賢い犬というのはまったくある意味、宝物ですよ、ほんと・・・。
この時、あの子供の頃の風景がすかさず思い浮かんできましてね。
那智のこんなことがあって何だか昔懐かしいほのぼのした良い気持ちになりましたね。同時に時の流れの切なさのようなものまで思い出しましたけどね。