京都に来ています。
いなべ市の宇賀渓・・と云う所で、大事な仕事を済ませ、そのまま滋賀県に抜けるコースでコクと共に京都に帰ってきました。
そして昨夜は、久し振りに水曜日の夜間稽古にお邪魔しました。
この日は緒方教士を中心に基本稽古がみっちりできるので熱心なファンも多く、必ず水曜は来る・・・という人も珍しくありません。
昨日もしっかりと基本稽古をお願いできましたが、いつもより比較的短く約20分で切り上げ、後は自由なお互いの稽古になりました。
昨夜は僕がいつも注目している男が娘さんと一緒に来ていました。
彼は確か40歳前後でまだ年若い七段ですが、もともと府警の特練で鳴らしたI君で、JAPAN代表の候補にもなったほどです。
僕は機会があれば必ず彼とは稽古をお願いします。
速さ、力強さ、端正な姿勢・・・どれをとっても一流は間違いないですね。
昨日、僕は彼との稽古で何点か試して見たいこともあり、それを脳裏に植え付けしっかりと対峙しました。
まず、小手を中途半端に打つと必ずと云ってよいほど面に素早く返されます。その為、踏込みの足を意識して・・・この場合踏み込んだ足の音・・・ですね(この文化財でもある武徳殿の床はさすがに最高級で、きちんとその打ちに応じた反応を見せてくれます)それを意識しました。
打たれるところはそこの小手打ちが中途半端な場合と不用意に間合いを詰めてしまい、出ようとした、その起こりに素早い面が飛んできます。
僕は途中で小手打ちからの攻めを止め、面を狙い済まして、中心から相手の面のやや右寄りを攻めて思い切り打ち切る・・・この攻めに変えました。
それが功を奉してか、面が何本か決まりましたね、彼も打たれたと思ったときは素直に参った・・と云える男で(我の強い人はなかなかそれをしないし・・・中にはいかにもポーカーフェイスで知らん顔してる人もいる・・・こんなのが一番手に負えないし・・・嫌ですね)こちらも気持ち良く稽古ができると云うものです。
最後の一本勝負も僕の面で終わらせてもらいましたが、その前に何本も打たれていますから・・・それにしても強いですね・・・今回はたまたまです。
ただ、その後も続けてH君とお願いしたのですが・・・・I君と同じく40歳前後・・この彼も速くて力強いです(彼ともなるべく機会があれば稽古をお願いするようにしています。その前に彼とI君との稽古を見ていたのですが、そのスピード感や打ちの鋭さなどは周りとは確実に一線を画していましたね)
年齢からすると彼らは僕より一回り以上若く、当然身体も若いのですが、ただそれだけでは勝てない・・・・ここが剣道の剣道たる所以なのです。
そう、僕は充分彼らに対抗できるんですよね、スピードやパワーでは敵わないまでも・・・気で押され、身体や構えを崩されることもありません。もちろん打った、打たれたはありますし、調子に乗って身体だけでで勝負をかけると、しっかり打たれてしまいます・・・が、です・・・・「攻め」なんですね・・・抽象的な表現で一般の方には判りつらいかも知れませんが・・・・「気の力」・・・とでも云いましょうか、目には見えない威圧感であったり、相手に対しての圧迫感であったり・・・そんなものだと考えてください。
オーラ・・のようなもの?・・と表現する人もいます。
それが・・・そこが、やはり剣道の真骨頂なのですよ。
稽古の後でH君が挨拶で「先生の攻めが・・・」と云っていました。この彼レベルになるとその感性もかなり高く、要するに「それが判り、それに応じてしまう・・・」そんな世界なんです・・・剣道は・・・。
それが更に進化すると攻めが攻めでなくなり、感性が単なる感性でなくなる「本質的な自由」・・・「何事にもとらわれずに・・・」のような心境になるであろうことは想像に難くありません・・・。
まぁ、そのレベルの先生はごくごく稀で、余り知らないですね・・・あの先生はそうだったのだろうなぁ・・・みたいなことは何となく判りますが・・・それほどの境地だと思います。
まぁ、そういうことでとても気持ち良くいい稽古ができました。
自分の肉体的な強さのことも含め・・自身のアイデンティティ・・・のようなもの再認識できたような、そんな気持ちにもなりました。
そんな時もたまにあるから剣道は辞められないのですよ・・・・ホント。
それでは。