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映画【ランド・オブ・プレンティ】

2006-11-09 01:48:51 | 映画
ランド・オブ・プレンティ
2005
ヴィム・ヴェンダース


50過ぎの国粋主義のオッサンと20歳の女の子のどちらの言うことが正しいか。
9.11以降のアメリカの話です。パロディとも言えるかもしれない。

最後のグラウンド・ゼロを見下ろしたビルの屋上でのラナの言葉を言いたかったための映画ではないでしょうか。
「声に耳を澄ますの」
この台詞はその直前のシーンのこの台詞にかかっています。
「報復で人が殺されるのを望まないはずよ」
この台詞のための映画。

多分、イラク戦争が始まる前にアメリカのバカなマスコミで報道されるイケイケのブッシュ政策に盛り上がっていた一部以外の全ての人が思ったことではないでしょうか。
というか、イラク戦争なんて報復でもないし。

この映画を観て思い出したのが映画「インディペンデンス・デイ」での大統領の演説。アレはドイツ人監督のローランド・エメリッヒのアメリカに対する揶揄だったな、ということ。
でも、それが現実のものとなってしまった。イデオロギー映画となってしまったのかも知れません。まともな感覚持っていればそんなことはあり得ないんですが。
後に「パール・ハーバー」なんていうバカ映画を生み出してしまった始末。宇宙人が日本人に置き換わっただけ。


「男性から女性へのクリスマスプレゼント予算は彼女からのプレゼントに対して2倍というのが定番化」
そんな情報を流す電波とビットをもう少し有効に使え。バカ。
そんなのと並列でも良いからジョンの"Happy Xmas(War is over)"で洗脳。


ところで、序盤にミシェル・ウィリアムズのアイドルPVみたいなシーンがあったんですが、あれは何だったんでしょう。好きですが。浮いてたなぁ。

本【生きてるだけで、愛】

2006-11-07 01:47:36 | 本読み
生きてるだけで、愛
2006
本谷有希子


今月の広告批評でインタビューを拝読。
「なんか、話していることが面白いな、この人。しかも、かわいいし。」で、読んでみました。芥川賞候補作だったそうです。
どうやら劇団を主宰しているようで、機会があれば行ってみたいです。

出勤電車で読み始め、ランチ兼読書タイム、帰りの電車で読み終えました。この一気に読ませる感じは何でしょう。
楽しくはないですけど、面白い本でした。
”過眠、メンヘル、25歳”の話。
本谷さんの恋愛観がどうかは知りませんが、なんとなくリアリティ。
タイトルがそのものズバリ。決して直接じゃないけれども、それほど遠回しでもない。回りくどいけど照れ隠し。言語感覚が鋭い。

20代中盤のカルチャーとかファッションとかアート好きの女の子が吐くカワイイ故に吐く衣着せぬ毒づいた言葉。
もし自分がその言葉を吐いているのが作者本人だと思われても構わないくらいの言いっぱなし。でも最終的にはちょっと女の子的なセンチメンタルも混じりつつ。
こう言うの好きです。こういうの、というかこの人が好き。
異端っぽいメインストリーム。いるよなぁ、って感じ。

他の作品を読んでいないから分からないですけど、あるキャラクターになりきって、もしくは傍観してこういうの書けるんでしょうか。
私が書く本なんて6割方自伝もしくは願望です。その辺からして違うのか。なるほど。

映画【乱歩地獄】

2006-11-06 01:23:30 | 映画
乱歩地獄
2005
竹内スグル
実相寺昭雄
佐藤寿保
カネコアツシ


江戸川乱歩はあんまり読んでいません。だから本作の原作は全て未読。
数少ない江戸川乱歩で読んだので好きなのは「パノラマ島綺譚」。鮮やかな感じを何となく覚えています。
講談社から出てた文庫がジャケット格好良かった、なんてことを大学生の時に友人と話していたことを思い出しました。

で、本編ですけれども、どれだけ忠実だったのか、創作だったのか分かりませんが、多分そんなに忠実ではなく意訳っぽいな、と。
エロもグロもあるけれどエログロじゃない。エロはエロでグロはグロで分離してしまって、奇妙な世界というのがあまり表現できていなかった、というか活字から読者が想像するものなんて皆違うので、監督はそう解釈したのかしら。にしてもどうかと。
気持ち的にはサウザンアイランドドレッシングを期待していたのに分離タイプのドレッシングだったという感じ。
カオスというのじゃない、美しくてグロテスクな感じがもっと出てれば良かったな。
同じモチーフならポーラXを撮ったレオス・カラックスに求めるノリかもしれません。

ところで、江戸川乱歩じゃないですけど大分前に観た松本俊夫原作のドグラ・マグラはその辺の微妙な感じが出てる映画になっていました。ぐちゃぐちゃでしたけど。

やや拍子抜け。映像は凝ってましたけど、そっちに目がいきすぎちゃって、話がよく分かりませんでした。
読んでから観ろってヤツかもしれません。

映画【トゥルーへの手紙】

2006-11-03 01:07:23 | 映画
トゥルーへの手紙
2004
ブルース・ウェーバー


こないだの「Say Hello! あのこによろしく」 も相当な愛犬家作品でしたが、ここまでの愛犬家も凄い。
写真家としてはそこまで追っかけていないのですが、この映画を観てやっぱり観てみようと思いました。

犬映画、というか反戦映画です。
戦争なんてやめちゃえよ。どうせ、どっかのバカの金儲けの為でしょ。
犬が安心して暮らせない世の中なんて何の価値があるんでしょう。

ジョン・レノンの「戦争は終わる。もし、君が望むのなら」がもちろん引用されています。
もう少し多くの人が望めば良い。
この映画によると、クリスマス前に休戦する戦争・紛争が多いそうです。調べてないのでよく分かりませんが、そうでなかったにせよそういう気分にさせるこの詩をもっと聴かせてください。
今年もアホなクリスマスソングがボチボチ流れ始めます。そんなモンはどうでも良いからこっちをかけてください。

戦争なんてやってる人は、好きな人いないんじゃないですかね。寂しいわ。
寂しいヤツなんていなくなればいい。

残酷な即効性のあるものを観て喜んでる刹那より、たまにこういう作品を観ていろんなことを考える方が豊かなんじゃ。
募金とかボランティアとか無理矢理しなくても、観るだけで良いと思いますよ。「バカじゃネェの?」なんて思ってるボケナスは戦争行ってこい。行ったこと無いですけど。

安倍さん、この映画観ましたか?