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神が宿るところ

古社寺、磐座、不思議・パワースポット、古代史など極私的な興味の対象を見に行く

蛇塚(茨城県石岡市)

2025-06-02 23:32:39 | 伝説の地

蛇塚(じゃづか)。別名:念仏塚。
場所:茨城県石岡市大増。茨城県道64号線(土浦笠間線)と同140号線(西小塙石岡線)が合流する「大増」交差点から北へ約1.2km、県道沿いに「板敷山 大覚寺」の大きな寺号標があるところで右折(北東へ)、約40m進んで「大覚寺」参道入口の石柱の手前で右折(南東へ)、約70m。道路の北側の小高い所に墓地があって、その東側の畑の中。駐車場なし。
伝説によれば、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人が府中(「常陸国府」があった現・石岡市中心市街地)から「稲田草庵」(現・茨城県笠間市の「別格本山稲田御坊 稲田山 西念寺」)に向かう途中、吾国山南麓を通る街道を歩いていると、大きな池の深い淵から3丈余(約9m)の大蛇が現れた。その大蛇が言うには、「前世には益子村(現・栃木県益子町)のある人妻だったが、欲深い性格で僧尼を嫌うなど悪行が絶えなかったので、蛇身になってしまった。今は水中にいても炎に焦がされるなど苦しんでいるので、救ってほしい。」。親鸞聖人が「涼光」という法名を書いた血脈を与えて教化した。その後まもなく、池に大蛇の屍が浮かび上がったので、大きな塚を築いて埋め、三日三晩読経・念仏を行った。すると、天女が下りてきて、蛇身を脱して天人に生まれ変わったことを告げて去った。以来、当地では人が大蛇に襲われることもなくなり、洪水の被害もなくなった。この塚を「蛇塚」、または「念仏塚」という。なお、親鸞聖人やその高弟による大蛇済度の話は各地にあり、大蛇=洪水から村人を救済するという話であるらしい。

板敷山 大覚寺(いたじきさん だいかくじ)
場所:茨城県石岡市大増3220。上記「板敷山 大覚寺」寺号標のところから北へ約350m。駐車場あり。
寺伝によれば、第82代・後鳥羽天皇(1180~1239年)の皇子である正懐親王が「比叡山 延暦寺」で出家して周観大覚と名乗り、東国を行脚していた折、板敷山の南麓の当地に草庵を結び、阿弥陀如来を安置して「大覚 阿弥陀堂」と称したことに始まる。その後、周観大覚は親鸞聖人に帰依して善性房鸞英と改名、二十四輩第九番に数えられる直弟子として浄土真宗を広めた。江戸時代には「大学(大覚)堂 正行寺」と称されていたという。現在は浄土真宗本願寺派に属し、本尊は阿弥陀如来。寺宝として「弥陀名号」(工芸品)、「妙法蓮華経」(書跡)があり、また、境内の庭園は池を中心とした回遊式で、東西南北どこから見ても「裏がない」ことで、「裏見無しの庭」と称されている(石岡市指定名勝)。
因みに、(旧)板敷峠は、近世までは現・石岡市から現・栃木県宇都宮市(あるいは日光市)に向かう街道の途中にあり、現在の茨城県道64号線(土浦笠間線)・同140号線(西小塙石岡線)は板敷山の西側を迂回して(新)板敷峠を越える。親鸞聖人に敵意を抱いた修験道の山伏・弁円に(旧)板敷峠で待ち伏せされたが、説法により帰服させた。これを「関東教化中法難」といい、板敷山には弁円が親鸞聖人を害するために祈祷した護摩壇跡という石組が残っているが、「大覚寺」とは直接関係はない。


写真1:「大覚寺」寺号標


写真2:寺号標の下にある「人喰橋」の石碑。人を喰う大蛇が棲んでいた場所に架けられた橋ということらしい。農業用水路のような小川があるが、これが一級河川「恋瀬川」上流部に当たる。ただし、少なくとも中世までは、川はより山麓側にあったようだ。


写真3:「蛇塚」。大きな石に南無阿弥陀仏の名号が刻されている。(畑の中にあり、近くで農作業されている方の御了解を得て撮影しました。)


写真4:「大覚寺」山門


写真5:同上、山門前から県道方面(南側)を見下ろす。ここに大蛇が棲むような池があったのだろうか。


写真6:同上、「真宗御開闢之地」石碑


写真7:同上、「親鸞聖人説法石幷天蓋樹」石碑と玉垣に囲まれた「説法石」。親鸞聖人が、この平らな石に座って弁円ら山伏たちに説法したというもの。


写真8:同上、「親鸞聖人像」。台座には九条武子夫人の和歌「山こそは ただ山こそは かわらじと 仰げばそぞろ 涙ぐましも」が盛り込まれている。九条武子夫人は、西本願寺第21代法主・明如(大谷光尊)の次女で、歌人・教育者(京都女子大学を創設)。大正三美人の1人とされた。


写真9:本堂


写真10:同上、「裏見無しの庭」の池


写真11:同上


写真12:同上


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