場所:千葉県柏市塚崎1460。国道16号線と千葉県道8号線(船橋我孫子線)の「大島田」交差点から南西へ約1.6km。駐車場あり。
社伝によれば鎌倉時代末期の嘉元~徳治年間(1303~1307年)の創建とされるが、当地一帯は「伊勢神宮」の荘園である「相馬御厨」に含まれ、平安時代末期頃に「伊勢神宮」に度々寄進されていることから、その頃には既に「伊勢神宮」の分霊が勧請されていた可能性が指摘されている。下総国式内社「意富比神社」に比定する説もあったようだが、流石に支持する意見は殆どなかったようである(式内社「意富比神社」は、現・千葉県船橋市の「意富比神社」(通称:「船橋大神宮」)に比定するのが通説。2012年12月1日記事参照)。天正19年(1591年)、徳川家康から社領10石を受けた。享保18年(1733年)、現在の三社殿が再建され、宝暦7年(1757年)には老中で駿河国田中藩主・本多伯耆守正珍が石鳥居を奉納した(田中藩は現・静岡県藤枝市を本拠とする四万石の大名で、下総国42ヵ村に1万石の飛地領地を持っていた。因みに、巨人「ダイダラボッチ」の足跡が池になったという伝説が同藩領の谷津に多く、現・柏市周辺でも同藩による流布があったのではないかという説がある。)。風早・土・手賀・鎌ケ谷の4ヵ村17集落の総鎮守で、明治39年には村社に列格。社殿はいわゆる「三社神明」で、中央:大神宮(祭神:天照皇大神)、向かって左:春日社(祭神:武甕槌命)、同右:八幡社(祭神:應神天皇)。
なお、昭和10年に県の天然記念物に指定された大榊(サカキ)は、当時の県の鑑定で樹齢約1300年とされたというが、現在では主幹が枯死し、若木を育生中とのこと。
写真1:「神明社」社号標と表参道石段

写真2:弁財天社(祭神:宗像三女神)

写真3:表参道の灯篭群

写真4:鳥居。宝暦7年(1757年)に田中藩第7代藩主・本多伯耆守正珍の寄進によるもの。外宮鳥居に似ているが、柱に転び(角度)がついているなど、独自の形である。手洗鉢とともに柏市指定文化財。

写真5:拝殿。神額は「神明宮」となっている。

写真6:本殿

写真7:神楽殿。例年10月17日の大祭に奉納される「十二座神楽」は柏市指定無形民俗文化財。

写真8:樹齢約1300年といわれた大榊は枯死してしまったが、「千葉県指定天然記念物 神明神社の榊」碑はそのままで、若木育成中。

写真9:境内社が多いが、これは? (地元の建具屋さんが奉納したもので、家内安全・商売繁盛の御利益があるとか。)

写真10:裏参道(西側)入口の鳥居と社号標

写真11:裏参道入口にある境内社「一ノ宮社」。当神社の氏子らは表参道を歩くのは恐れ多いとし、裏参道から入り、まず最初に「一ノ宮社」で祈りを捧げた後、本社殿に進んだという。
