それは入社して2日目の社員食堂だったでしょうか、いえ、初日の社内の廊下であったかもしれません。楽しそうな男性社員の声に、彼女が何気なく耳を傾けると、明るくて愉快そうな数人の男性の話声が聞こえて来ました。
その男性達の何人かが、「松山」の名前を連呼しながらふざけ合い、笑いながら面白い話をしていました。野原さんはその時の彼等の話の内容を忘れてしまいましたが、面白かった事だけは覚えていました。何しろ彼等の話を聞いて思わずクスリと笑ってしまったのです。
途端に、
「おい、今あいつ笑ったぞ。」
「面白かったら聞き代寄こせっていうものだ。」
「人の話を聞いて只で済むと思うなよ。」
そんな声が聞こえて来ました。『まぁ、嫌だわ、私の事かしら。』思わずちょっと怖くなった野原さんでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます