その後は父の説得もあり、到頭蛍さんは家の大人に丸め込まれてしまうのでした。
「お前は利口な子だ。良い事悪い事の区別がつく子だ。」
等と言われては、蜻蛉君とはもう遊びませんと言えなくなってしまった蛍さんでした。こうやって渋々また茜さんや蜻蛉君と遊ぶ事になった蛍さんです。
気候の良い今季のシーズンに、蛍さんは新しい外遊びを幾つか覚えました。虫取りなどもその内の一つでした。虫取り網で蝶や蝉を捕まえるのです。トンボは素早くてなかなか蛍さんの様な小さな子には捕獲する事が出来ません。この夏は主に蝉取りに夢中になる蛍さんでした。虫かごや虫取り網を買って貰うと、大喜びで皆の所へ出かけて行きました。
秋になると、夕暮れになるまで遊び、「烏が泣くからかーえろ」と、皆で口ずさんで家に帰るのでした。その後はいよいよ寒くて白い雪の降る、何時もの嫌なシーズン、冬がやって来たのでした。蛍さんはまたげんなりとして沈んだ嫌な気分になったかと言うと、今年の冬は違っていました。
まず晩秋から昨年とは少々違っていました。彼女は雪囲いをする父や祖父や伯父の様子を眺め、面白そうに興味深くその作業の行程を観察したのでした。材料のコモ藁や角材、藁縄等も見慣れない物で面白く、触ってみたりその形を鑑賞したりしていました。縄を結ぶところも面白く、自分でもやってみたいと思い、縄の結び方なども教えてもらいました。勿論上手く出来ないので、盛んに癇癪を起こして泣き出したりしていました。
その後はその冬に室内でのゲームやカルタ、トランプ等々遊べる物も多くなり、長い冬でも退屈しなくなりました。その上、外で雪遊び出来る事を知りました。スキーやソリ等、出来る出来ないは別にして、雪の日でも外で遊べることを彼女は知ったのでした。こうなると、雪が降ってもそれは楽しく、冬でもそれなりの遊びが出来る事を知りました。また雪が無いと出来ない遊びを知った事も蛍さんにとっては嬉しい驚きでした。雪の上をソリでスイっと滑るのはとても気持ちの良い物だったのです。反対に、春が近付き雪が緩むと、大好きなソリ遊びが出来なくなったと嘆いたくらいでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます