Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

3本の鉛筆、7

2017-01-10 17:59:58 | 日記

 2本目の鉛筆は中学生の頃に貰いましたが、臙脂色をした鉛筆の端にアルファベットが3文字入った物でした。

見るからに高級そうで、品の良いセンスの良さを感じるデザインでした。

父は会社で使っている物だが、使い心地の良い鉛筆だからと、

また前のように、お前の為に1本貰って来たんだと言って渡してくれました。

 へぇ~、良さそうな鉛筆だねと、

触り心地も滑らかなその表面の厚めの塗装に、私はこの鉛筆が何となく気に入りました。

アルファベットが入っているのも年嵩な者が使用する感じで、

教科に英語が入った中学生には、胸が時めく魅力を感じさせるのに十分な鉛筆でした。

 今回は父は直ぐに何か書いてみろとは言いませんでした。

小学校の時の私の様子で懲りたのでしょうね。父も子育ての学習を私の小学生時代に1つした訳です。

 それでも、それで何か文でも書いたら、とだけは忘れずに一言付け加えました。

それも、私が今回父は何も言わないなと、安堵というか、失望というか、気持ちの中で嘆息した直後、

一瞬の心の隙を突くように言うものですから、私は一寸してやられた感じがして苦笑したものです。

 「じゃあ、お前に渡したぞ。」

そんな事を言って父は行ってしまいました。

 鉛筆1本にどんな重みが有るのでしょうか?

その時私は何だかある責任のような物をこの真新しい1本の鉛筆に感じて、

今回は作文か、何か文章を書く時専用にした方がよいなと、改めてしみじみと手の中の鉛筆を見つめてみるのでした。

 こうやって掌の中の鉛筆を見つめてみると、心なしか鉛筆の比重が増したように感じたのでした。

 


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