Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

マルのじれんま 32

2020-05-19 16:45:06 | 日記
 大体…、紫苑さんは言いました。

「あなたと魚との遭遇の件は大体分かりました。」

そして彼は、にゃっとマルに悪戯っぽい笑顔を向けると、ところでと続けます。

「円萬さん、人間の女生との遭遇の方は如何なんですか、そちらの方はされなかったのですか?。」

彼は如何にも意味有り気な目付きで横に腰かけている連れの僧の顔を見詰めました。彼の目に映る円萬さんはお年の割りには純真そうな顔付に見えました。彼の真新しい重ね着の下の白い衣装の様に無垢な人物に見えます。

 円萬ことドクター・マルは痛い所を衝かれました。『何を言い出すのだこの人は。』彼は思わず焦りました。口を一文字に閉じると目を瞬きました。そんな連れの僧の慌てぶりに、おやと紫苑さんは何だか優越感を感じました。彼は今この僧から聞いた俗世を離れた様な彼の崇高な釣りの話にやや気圧された感じでいたのです。その為、どっぷりと俗世の荒波に浸かっている自分の方が、人の煩悩の事でなら大凡の点で彼に勝利していると、この時の彼に不思議な優越感を感じさせ、奇妙な勝利感を紫苑さんにもたらしたのです。彼より私の方が人間的な経験が豊富だ。紫苑さんは感じました。

 確かに、現実的にも異星人であるマルより、人間である紫苑さんの方が人間的経験は遥かに抱負でした。それは確かな事実でした。この時の紫苑さんは目の前にいる人物は自分の内に含まれる物だ、全く自分の要素として自らの人生経験の内に収まってしまう人物なのだと感じました。

 純粋な物より不純、無垢より汚れた物か…。確かに、『悪化は良貨を駆逐する』だな。そんな言葉が彼の胸の内に浮かびます。こんな感情がそういう社会を生み出すのだろうか。紫苑さんは思いました。

マルのじれんま 31

2020-05-19 11:10:50 | 日記
 異生物との遭遇か。紫苑さんは心の内で呟きました。紫苑さんの脳裏には異生物の「異生」の漢字が直ぐに「異性」の漢字へとへと変換されました。そして出会った頃の初々しい妻の笑顔が浮かんできました。

 『異性との遭遇か。』紫苑さんは思いました。それは異生物との遭遇といえるかしら?。はて?、と紫苑さんは考えました。確かに、それ迄は出会う事の無かった2人です。住む世界も歳も違う2人、育った環境も違えば家族構成も違う2人です。少なくとも彼はそうでした。それがある日突然出会うのです。

『それまで違う世界に住んでいた2人が出会うのだ。』

彼は胸の内でこの言葉を再確認しました。円萬ことマルが今言った言葉です。2人はお互いに知らないし分からない事も多い…。それは確かだな。

『それなのに不思議なものだ。』

彼は思いました。

 何か相手との間に通じるものが有るのを感じるのだ。2人が共有しているような何かを感じるのだ。例えばそれは2人が分かり合えるような気がするという様な事なのかもしれない。自身がそうとはっきり意識しないのに、そんな何かを感じて、…つい相手を見詰めてしまうのだ。2人の間に何か目に見えない心理的な流れが存在するのを感じ取る瞬間。それは思いがけず不意にやって来たのだ。

 『それをお互いに感じたのだから、』

不思議な物だな、恋というのは…。紫苑さんは嘆息しました。自分にとっての伴侶となる異性との遭遇について考えていた紫苑さんは、ふと言葉を口にしました。

「未知との遭遇か。」

昔流行った映画の題名を口にすると、紫苑さんは遠い目をして微笑みました。昔そんな映画が有りましたな。差し詰め円萬さんとこの濠の魚、いや水中を泳ぐ魚とは色々な未知との遭遇をされたのでしょうな。彼は結構な事だと自重気味に言いました。


今日の思い出を振り返ってみる

2020-05-19 10:53:28 | 日記

親交 57

 「作り手の手を見て分かったのよ。」彼女は夢の中にいるような瞳になると言葉を続けました。「それはもう、それはもう、色々な花の色に染まって黒ずんだ見苦しく汚れた酷く痛んだ手だ......

 今日のお天気は曇り空から晴れに。また夜から雨になる予報ですが、今は青空が見えています。1年前のブログは1日に3作品アップしたようです。その記事の内、最後の物だけアップしておきます。

 さて、のんびりと家に居ますが、今朝のテレビでみると、ニューヨークの方では在宅者に感染者が増えているとか。公共交通機関利用者や、仕事で外出している人は少ないそうです。心配な話です。在宅者に家に居るから安心だという気の緩みが有るという事なんでしょうね。買い物時など気を付けたいです。郵便や宅配など家に来るものにもを付けているのですが、やはりウイルスはいつの間にかどこから入って来るのでしょうね。
 ペットなどもペット同士で感染するというし、ペットは家から出さないようにした方が良いそうです。そうなると、野生の動物も不安材料なんでしょうね。