Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

金仏さま

2013-06-04 09:01:53 | 日記・エッセイ・コラム
 小学生の頃、昔話の「金仏さまと木仏さま」という読み物を読んだ覚えがあります。
家にもいろいろな仏像や阿弥陀像があります。仏壇の側や床の間の上にありました。片手に載るような小さな像でしたが、今でも家に現存して居るのを最近目にしたものです。
その中で、今回、祖父との思い出の品が脳裏に浮かんできました。
金の仏の立像、金仏さまです。
あれは祖父が寝たきりになる前の頃、体が相当弱ってきていながら、まだ外出が出来た頃の事でした。
ある日、祖父に呼ばれて祖父の部屋、仏間にもなっている座敷に行くと、祖父があれを見てごらんと指差すので、指の先を見ると、床の間の上に金仏さまがありました。
私には見覚えの無い像だったので怪訝に思いました。
しかも新しい金色をしていて、23金の塊のような、例えると純チョコレートのような見た目の風合いがありました。
『見たことの無いものだけど、どうしたのかしら?』
これがどうしたというのだろうと、私は祖父の次の言葉を待ちました。
細かい事は忘れてしまいましたが、祖父が言うには
「あの子の為に買って持って行ったんだが、返して来たんだ。」
とのことでした。
「気に入らなかったのか、なんだか、それより怒っていたようだったので、どうしたんだろう。」
という話でした。
どうも、遺産分けのつもりで祖父は買い、しかも純金製だといわれて、値段もその大きさにしてはそれなりの物だったとの事でした。
戻ってきた事や、先方が相当怒っていた事に合点が行かないと、不審に思うより、がっくりしている、相当気落ちしているという感じの祖父の様子でした。
私とその金仏さまの最初の出会いはこんな感じでした。
本物の純金製のようだ。
当時、母が純金、23金の指輪を買って喜んで見せびらかしていた物を、見て、触れていた私は、似たような風合いの金仏さまにそう思ったことでした。
只、当時もう金の貴重さを知っていた私は、小さいといってもそれを買う金額を思うと、本物かどうかと懐疑的でもありました。
ま、あれこれ思ってもしょうがない、あの子というのは私ではないのだからと、祖父の落胆した様子を見ながら、この金仏について考えてもしょうがない、私には関係ないことだからと、
「遊びに行ってきます。」
と、勢いよく仏間を後にしたのでした。