シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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60年前のハイフェッツのステレオ録音を聴いて

2019年09月27日 | ドイツ音楽も様々
写真はネットから拾ったハイフェッツの LP 画像 (左がブラームス・右がベートーヴェン)。
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ヴァイオリン小品集で よく取り上げられる「ホラ・スタッカート」「エストレリータ」などの編曲で知られる名ヴァイオリニストの協奏曲試聴記です。

YouTube 投稿の 往年の名ヴァイオリニスト ヤッシャ・ハイフェッツ Jascha Heifetz  (1901~87) が弾くブラームス ヴァイオリン協奏曲 (伴奏はライナー指揮シカゴ響 RCA) を聴きました。 テンポが速く、3楽章合計で35分弱です。 普通は40分前後が多いですから かなり速いです。  わたくし的には もっとゆったりと叙情性を込めて弾いて欲しかったですね。

特筆ものは第1楽章終了直前のハイフェッツ自作のカデンツァです。 ものすごいテクニックを披露、彼以外には弾けないのではないかと思われるような演奏が聴けます (具体的にいうと 一部ではメロディーと伴奏を同時に弾いてるようにも聴こえます。 ヴァイオリンは弓1本では本来単音・2重音しか同時に弾けません)。 こんなカデンツァを弾くヴァイオリニストがいたんですね。

しかも1955年のステレオ最初期の録音です。 それにしては随分と良好な音質です。 勿論 最上ではなく、オケ強奏では少し苦しい感じもしますが、知らずに聴いたら、そんなに古い録音とは思わないでしょう。
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ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲 (ミュンシュ指揮ボストン響 RCA 59年録音) も速いテンポです。 38分ですから、これも普通の45分前後に比べ2割も速いです。 演奏はメリハリがあり、いい演奏だと思います。 この2曲を1枚の CD に収めているのは、他にないでしょう。

冒頭左右写真の個別 LP ジャケットはいかにも 古さを感じさせますね。 特にベートーヴェンのは、SP が入っているんじゃないかと一瞬思ってしまいました。

中央写真はいかにも 触れれば切れそうなボウイング (弓さばき) に思えます。 カメラマンも よくこの角度を狙って撮ったと褒めてあげたいですね。
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Sony Music Shop から __ ヤッシャ・ハイフェッツ ベートーヴェン&ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 __ 両曲ともに、テンポが速いことでも有名であるが、単なるテクニックの誇示に終わらずに、ベートーヴェンの第1楽章では、シンプルに音階を上下行するだけの箇所からもスリリングな楽興の時を紡ぎ出し、アウアー作にハイフェッツが手を加えた至難なカデンツァを演奏。 ブラームスも、その歯切れの良さが圧巻で、ハイフェッツ自作のカデンツァが奏される。ハイフェッツと共演した二人の巨匠指揮者の存在感も光り輝いている。

ブログ『越中の国から』__ 2012.11.04 ライナー&ハイフェッツ&シカゴ響 ブラームス ヴァイオリン協奏曲 __ カデンツァはもちろんハイフェッツ自身のものですが正に絶句、唖然とするばかりです。 ライナー、シカゴ響もたくましい響きを聴かせます (※追加1へ)。
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今日はここまでです。


※追加1 __ 録音はソロヴァイオリンの音などやや年代を感じさせる感じもしますが、知らないで聴けばとても1955年のものとは思わないと思います。 リマスタリングの度に音は良くなっていると思います。 オケの強奏でやや混濁感はありますがホールの残響やスケール感もさほど不足はありません。

第1楽章 (18:56) __ 序奏部のオケはハイフェッツの音楽にマッチするような引き締まった堂々たる開始でスタート、ハイフェッツのヴァイオリンは独特の速いテンポと厳格な表情で常に高い緊張感を伴い、隙のない表情を作り出しています。 途中何度か訪れる優美なフレーズもさらりと流していて、引き締め上げたタイトなボウイングは息が詰まる位ですが、常にひたむきな思いと強い信念が感じられます。 やや時代がかっているところもないではないですが、この曲にしてはかなり壮絶な表現の部類に入るかと思います。 カデンツァはもちろんハイフェッツ自身のものですが 正に絶句、唖然とするばかりです。 ライナー、シカゴ響もたくましい響きを聴かせます。

第2楽章 (8:16) __ 2楽章にきてようやく心休まる感じですが、それでも他の演奏よりはテンポはやや速めですっきりとしていて、ロマン的な色合いは希薄です。 ヴァイオリンソロはやはり芯の強さが特徴的でピンと張り詰めた高弦がうなりをあげて天空を舞うように歌い上げてゆきます。 俗的にならずに高貴な響きともいえますが、感情的な情感はやや控え目で硬派な表現で通しています。

第3楽章 (7:20) __ テンポはやはり速めで躍動感に富んでいます。 ヴァイオリンがオケを先導するかのように前進性の強い表現で、奏者によってはかなり強い溜めやアクセントを付ける演奏もありますが、ハイフェッツのソロは常に直線的で一気に歌い上げる豪快さがあります。 やや素っ気無さ過ぎるところもないではないですが徹底しています。 ライナー、シカゴ響もハイフェッツに上手く付けていて見事なものです。

個性の強い演奏でナヨナヨしたところがなく男気を感じる演奏で、ややこの曲のイメージからは離れた距離に位置する表現かと思いますが強い印象を残します (http://bestclassic.blog97.fc2.com/blog-entry-501.html)。

以上

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