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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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偉人の肖像画とは

2014年08月07日 | 楽聖様は偉大です
左上はメーラー (Joseph Willibrord Mähler 1815年) 画、右上はシュティーラー (Joseph Karl Stieler 1820年) 画。
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日本では普通 ベートーベン Beethoven と発音されるドイツの (いや 全世界の) 楽聖ですが、現地でも、祖先のオランダでも実は “ベートホーフェン” と発音するらしいです。 英語の放送を聞いていると ベイトーヴェン といってますね。 もっとも 英語系の人の外国名の発音は結構いいかげんで、メンデルスゾーン Mendelssohn を “メンデルソン” といってましたが。

大体 オランダという国自体、ドイツと英国の中間地点にありますから、オランダ語そのものもドイツ語と英語の中間にあるようなものと思いますね。 電機メーカーで有名なオランダ・フィリップス本社のある アイントホーフェン Einthoven も “アイントーヴェン” と (米人が英語で?) 発音すると聞いたことがあります。
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最近 気が付いたのは、オランダ人で女流ヴァイオリニストに Janine Jansen という人が現役で活躍していますが、この人の日本での発音は ジャニーヌ・ヤンセン です。 フランス語、ドイツ語の発音が混ざってますね。
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「ベートーヴェンとベートホーフェン―神話の終り」(石井 宏著 七つ森書館 2013年刊)
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話しが飛んでしまいましたが、紹介した本の中で述べられていたのは、「現在ベートーベンの肖像画として広く流布している 口をきっと結んで (髪が左右に広く開いていて、大きな眼で鋭く前方を) らんらんとにらんで、(鼻筋が通って 意志強固な) 英雄的で精悍な (大作曲家に見える表情の) 顔」は、どうやら実際のベートホーフェンを表現しているのではなく、本当の顔は「髪は真っ黒で硬く密生して 顔はあばただらけ、額は広くて濃い眉毛がついて、口は小さく、あごは広くて真ん中に深い凹みがあり、醜いうえに無愛想」(ベートホーフェンの研究家 M. ソロモン) というものです。

なぜ 本当の顔に近いもの (例えば 左のメーラー画) でなく、あの絵 (右のシュティーラー画) が広まったのでしょうか?

「急速に広がった19世紀の市民層は、新世代の英雄やスターたちをうみ出し、テレビも写真館もなかったこの時代、彼らに接するには印刷によって複製された肖像画を買うのが唯一の早道だった。 絵師たちの中で気の利いたのは、この新しい需要に飛びついた。

ミュンヒェン宮廷の御用画家シュティーラーは、1820年 ウィーンの楽聖のもとにやってきて、肖像画を描かせてくれと頼んだ。 彼が肖像画家として成功したのは、画家としての腕よりも社交上手であったことに負うところが多く、最も有名な作品は晩年のゲーテのそれだ。

シュティーラーの描いた楽聖の顔は、エネルギーの発散、放射がすさまじい。 偉大なるベートホーフェンの顔である。 それゆえに世界中にベートホーフェンの名刺として売れまくった顔である」としています。

 さらに、「シュティーラーの画は印刷販売されたのに、”癇癪持ち” の楽聖は何も文句をいわなかった。 つまり 画の写実性を問題にしていなかった。 この時代の風潮からいえば、絵とは最初から “それらしく” 描けばいい。 つまり、ベートホーフェンの肖像は “音楽の巨匠” らしく見えれば良かった」
というのが著者の推測です。
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これを読むと、何だかニヤニヤしてしまいます。 そうなんですね。 誰もが、あの楽聖は偉大な顔をしているもんだと思ってるので、それらしい肖像画の方が売れた、それが今に至るまで流布しているということだったんですね。

もし 冒頭にある左の画しかなかったら、こちらがあの楽聖の肖像画となったのでしょうが、右の “それらしい肖像画” があったために これに飛びついた人が多かったんですね。 昔の小中学校の音楽室にもこの “おっかない顔の肖像画” が飾ってありました。

あれを見ながら、「運命」や「合唱」を聴くと、”へへ〜っ、楽聖様の作曲した交響曲は実に偉大でございます” という平伏 (ひれふ) した心境にもなったってもんです。
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だから 写真のなかった19世紀前半以前は、画家の描いた絵しかなかったわけですから、みんなそれらしい絵を描いていた __ 似てようがいまいが。

古代エジプトのクレオパトラはローマ帝国の英雄カエサル (英語名 シーザー) をトリコにさせるほどの超美人に描かれ、若くして亡くなったマケドニアのアレキサンダー大王も英雄然として描かれ、12世紀鎌倉幕府の源 頼朝 (下左の絵) も精悍な顔つきに描かれています (もっとも この絵は別人だという疑義が …) 。

フランスの英雄ナポレオンのアルプス越えの絵 (下中央の絵) も、マントが綺麗にひるがえって “ばかにカッコ良すぎて” 嘘くさいなぁと思ったものです。 

でも それでいいのかも知れません。 逆に 現代の指導者の写真があまりにカッコ悪いとしたら、幻滅ですもんね。 すると シュティーラー画 (下右の絵) の実際のゲーテは、もっと違う顔だったと推測できますね。 “ばかに血色がいい顔” で、79歳にはとても見えませんもんね。

今日はここまでです。

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