シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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2大巨匠マラ9ライヴの話題が尽きない

2021年08月22日 | マーラーの嘆き節
「バーンスタイン/ベルリンpoのマーラー第九 “演奏中に心臓発作 …? 伝説だらけの名演”」(2019/02/09 https://www.youtube.com/watch?v=uzEyKKnwbyU) から __ 上段左から BPO (1979年10月①)、その放送録音のR盤 (②)、カラヤン・BPO (1982年9月③)、下段左から コンセルトヘボウ管 (1985年5~6月④)、イスラエル・フィル (1985年8月⑤)。
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九番は、”死を予感させる” マーラー交響曲の名曲だという解説記事をよく読みます。 確かに 生と死の縁に立って、死の世界を覗き込むような 不思議な感覚に襲われるような、”楽しくはない” 曲です (もっとも マーラーの曲はそういう傾向が多いのですが)。
 

指揮者の徳岡直樹氏が解説する バーンスタイン・複数楽団とカラヤン・BPO とのマーラー第九ライヴ CD ウラ話し集ですが、よくもこんなに関連情報を集めたもんだと感心してしまいます。 彼のモットー「ATM (明るく楽しくマニアック)』そのものですね。

 
彼は「バーンスタイン・BPO 演奏 ①は異様な緊張感を持った 類稀な演奏だが、完成度はこれが BPO かと思いたくなる部分も多く、”割れた茶碗に美を見出す” ような感じがある。 この演奏の面白みは、一期一会の機会のドキュメント性が大きい」と評価しつつ、「コンセルトヘボウ管 ④の方がバーンスタインの意図が徹底されている」と評価しています。
 
さらに興味深いことに、①録音で「第4楽章118小節でのトロンボーンが丸々欠けているという楽団員の情報があり、録音でも確かにそうです。 この直前にオケ後方の客席で心臓発作を起こした客があり、舞台袖から金管奏者を押しのけて救護員が駆けつけたため、トロンボーン奏者が演奏できなかった」というのです。
 
「その前 113~116小節のバーンスタインの追い込み、加速が強烈で、危うい状態です。 トロンボーン奏者が音楽を見失って 数え違いで118小節に入れなかったのではないか、とも思えます」
 
次いでながら「心臓発作を起こした客はお亡くなりになったそうです」から、曲と演奏に共感し過ぎて、縁の上から死の世界へ入ってしまったのかも …
 
また「DG の CD で バーンスタインの “唸り声” がカットされたために、あるパッセージがほんのわずか短くなっているとか、いないとか指摘された事も」という “驚きの話し1” が聞けます。 徳岡氏は ②をかざしながら、「第1楽章の後にテープ編集があって 比較的短いインターバルで第2楽章に続けられていました」と述べています。 
 
そして「演奏そのものよりも 演奏を取り巻く状況やエピソードが熱を帯びている」と付け加えています。 バーンスタイン自身も「このオケは素晴らしかった。 これほど見事な弱奏 (ピアノ) をそれまで聴いた事はなかった」と語っています。
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③について「最初のプレス (1984年頃?) で出た演奏に対し、ベルリンのアマオケでクラリネットを吹く ある学生が、この CD でクラリネットが数小節 早く吹き始めている箇所がある。 BPO はどの版の楽譜を使っているのか?という手紙を書いてきたそうで、明らかな演奏ミスと認めざるを得ず BPO と DG が協議の上 “密かに CD を回収”、1979年のセッション録音を利用して修正 CD を制作、現在聴かれる CD はその修正済みのものである。 これはカール・ライスター (クラリネット奏者) の証言」という “驚きの話し2”。
 
私は20年ほど前 この CD (※1) を買い求めたのですが、当時としては格安でしたので、もしかしたら …?と思いますが、数年前 導入した『カラヤン大全集』中の CD (※2) と聴き比べてみる気になるかというと … その気力はありませんね。 3時間も神経を集中させて2組も聴くなんて、徳岡氏のような “マニアでないと” とても出来ません。 それで 見つけたからといって、誰も褒めてくれないでしょう。「あ そうなの?」で終わりそうです。
 
といいながら 演奏時間だけ比較したら、第1・2楽章合計時間が※1:44’53”、※2が:45’02” と9秒違い、第3楽章コーダの Piu Stretto が※1:0’50”、※2が:0’57” と7秒違いでした。 でも 第3・4楽章合計時間は同じなのです (??)。
 
同じ音源でも 発売時期が異なると、 演奏時間のカウントがトラックに落とす段階で (?) 変わる CD は多いです。 楽章間の時間をどう取るかだけでも変わるし、コーダがピアニッシモだったら どこで切るか編集者の感覚でも変わるのが普通ですよね。
 
さらに「ライスターが BPO 時代の最も印象的な演奏は?という問いに対し、ニューヨークでのカラヤンのマーラー第九 (1982年10月か?) を挙げている。 カラヤンはここで死を体験した。 演奏が終わった時に 彼の顔は真っ青だった」とも。
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最後の辺りの映像で、再び ④に話が及び、「バーンスタイン節全開で、グロテスクな戯画になりかけている傾向もあったが、まるで立体映画のように、あちこちの声部が浮き沈み、非常に面白さのある バーンスタインのマーラー第九ソフトでは傑出した出来栄えだと感心した」とあります。 
 
マーラーのスペシャリストというと、60年代は1・2番がワルター、その後 バーンスタイン (とショルティ) の時代が長かった印象が強いです。「大地の歌」以外はユダヤ系の演奏家が好む傾向が強いという印象もありました。 70年代初め 映画に使われた5番から 世界的なマーラー・ブームがやってきましたね。
 
第九を得意としていたバーンスタインは、多くの楽団を振って名演を聴かせましたが、特に BPO との演奏は話題性が強いですね。 これからも 多くの話題が “発掘” されていくのではないでしょうか。
 
マーラー第九は消え去るような弱奏で、(死を思わせるような?) ゆっくりしたパッセージが多いため、注意力が散漫になり、早くいうと “眠くなって” きます。 上記に書かれた欠落部分が何箇所かあっても、私を含め 殆どの人は気付かないと思います。
 
しかし CD 発売元としては見過ごすわけにはいかないのでしょう。
 
また徳岡氏はこの続き話しを1年後に投稿していますが __『カラヤンとバーンスタイン、そしてベルリンフィル “ひと月半違いのマーラー第九交響曲”』(2021/02/19 https://www.youtube.com/watch?v=O3XVwIUswNk)、これはまとまりに欠け、雑談調ではないかと思います。
 
最後に イスラエル・フィルとのライヴ盤についての広告文を掲載します。
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Tower Records ONLINE から __「超ド級の新譜!バーンスタイン&イスラエル・フィル ~ マーラー:交響曲第9番」(2012年2月16日)
 
バーンスタイン指揮イスラエル・フィル、マーラー第9交響曲1985年8月ライヴ
「イスラエル・フィルのレーベル」Helicon Classics に、ついにバーンスタインが登場。イスラエル・フィルを指揮して、マーラーの第9交響曲を演奏した超弩級の内容です。
 
【バーンスタインによるマーラー】
レナード・バーンスタインといえば、その経歴が端的に示すように、いわずと知れたマーラーのエキスパート。 いち早くアメリカ時代の1960年代に交響曲全曲をセッション録音すると、1970年代には交響曲全曲の映像をライヴ収録、晩年の1980年代にもライヴ録音で全集に取り組みながら、第8番の収録を残し完成間近に世を去っています。 マーラーを指揮しているときのバーンスタインはやはり別格で、作曲家・指揮者としての自らの姿とを完全に重ね合わせるかのような瞬間もあり、バーンスタインの演奏を通じてマーラーに目覚めたというファンは数知れず、おおいに受容に貢献した功績については異論の余地のないところです。
 
【バーンスタインによるマーラー第9番のレコーディング】
バーンスタインによるマーラーの第9交響曲について、正規の商業録音として以下の4つの演奏が知られています。
 1965年12月 ニューヨーク・フィル(セッション録音)
 1971年3月 ウィーン・フィル(ライヴ録音)※映像作品
 1979年10月 ベルリン・フィル(ライヴ録音)
 1985年5、6月 ロイヤル・コンセルトヘボウ管(ライヴ録音)
録音年が下るにつれて、全体の演奏時間が拡大する傾向が認められ、濃厚なうたい回しと主情的な表現が一種独特の世界を醸し出し、そこがまた「バーンスタインのマーラー演奏」の魅力として熱い支持を集める要因にもなりました。
 
【日本公演でのイスラエル・フィルとのマーラー第9番】
ただ これらのレコーディングとは別に、比較するもののない空前絶後の大演奏として語り草となっているのが、1985年9月の来日公演でバーンスタインが指揮したマーラーの第9番。 終身桂冠指揮者としてイスラエル・フィルを率いた全9公演のうち、マーラーの第9番を演奏したのは4公演、なかでも初日3日の大阪・フェスティバルホールと、8日の東京・NHK ホールがことのほか凄絶な内容であったとは衆目の一致するところのようで、8日の東京公演を目の当たりにした音楽評論家の許光俊氏も、当時を振り返り次のように述べています。
 
「実際 あれ以後 この曲でそれ以上の演奏は聴いていません。 期待もしていないほどです。 あまりに強烈すぎて あれ以上のは、バーンスタイン自身が蘇らない限りあり得ないと思われます」
 
【日本公演直前のライヴ】
このたび登場する音源は、歴史的とまで騒がれたその日本公演の直前、1985年8月25日にテルアビブにある本拠マン・オーディトリアムでおこなった同一プログラムのコンサートの模様を収めたものです。 バーンスタインにとって本公演に臨むにあたり、上記のように、同じ年の5月29日から6月3日にかけてアムステルダムでロイヤル・コンセルトヘボウ管とマーラーの第9交響曲のライヴ収録を終えていることもプラスに働いているようにおもわれますし、晩年の様式に顕著な途方もないスケールと感情移入全開の歌い込みが特徴の RCO 盤とは演奏時間もほぼ同じであることからも、ここでもほとんど同傾向の演奏内容がおこなわれているとみて間違いないでしょう。 率直なところ 時期もほとんど同じに、バーンスタインがイスラエル・フィルとマーラーの第9番を取り上げていたことも驚きですが、音源がこのような形で残されていたことに感謝の念を禁じ得ません。 日本公演の内容が未だ CD 化の目処すら立っていない現状では、このたびのリリースの価値はファンにははかりしれないものといえそうで、長年の渇きを癒すに足る内容の可能性に期待したいところです。
 
【曲目】マーラー:交響曲 第9番ニ長調
【演奏】イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 レナード・バーンスタイン(指揮)
【録音】1985年8月25日 テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
 
《トラック・タイム》
1985 IPO 29:27 + 16:43 + 12:07 + 30:15 = 88:32
1985 RCO 29:52 + 17:26 + 11:47 + 29:34 = 88:39
1979 BPO 27:31 + 15:49 + 11:59 + 26:03 = 81:22
1971 VPO 27:24 + 16:06 + 11:28 + 25:48 = 80:46
1965 NYP 28:26 + 15:52 + 12:30 + 23:03 = 79:51
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今日はここまでです。

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