
写真下は三洋のリチウムイオン電池。
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半導体メモリーや液晶素子は、かつては日本のお家芸的な代表製品でした。 しかし 韓国と台湾が製造能力で力を付け、今や半導体メモリーの代表 DRAM と NAND フラッシュではトップメーカーはサムスン電子、液晶素子分野では液晶 TV メーカーのトップもサムスン電子となっています。
DRAM シェア2番手は韓国のハイニックス、NAND フラッシュのシェア2番手は東芝、液晶パネルメーカーとしてシェア2番手は韓国の LG エレクトロニクス、と韓国メーカーの強さが際立つのが昨今の現状です。
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「リチウム電池も日本勢陥落 トップはまた韓国サムスン」(産経新聞 12月20日) _ ※追加1へ
「リチウムイオン電池、価格戦争激化-サムスン、三洋を猛追」(ブルームバーグ 8月26日) _ ※追加2へ
ウィキペディアから__ リチウムイオン二次電池 _ 1980年代には金属リチウムを負極活物質に用いた金属リチウム二次電池が製品化されたが、金属リチウムの化学活性がきわめて高いため、可逆性や反応性に問題があった。 NTT のショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ、実用化されたとはいいがたく 広く用いられることはなかった (※追加3へ)。
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かつて、2000年代に液晶素子が立ち上がりかけた頃、韓国と台湾が猛烈な設備投資をしていました。 こんなに設備投資をしていたら、いずれ液晶関連製品は日本だけの供給とはならずに、日韓台の3カ国になるだろうという予測記事がありましたが、見事に的中しています。
その前の1990年代には半導体への投資で、やはり韓国と台湾が猛烈な設備投資をしていました。 一方の日本は1996年のメモリー不況で、投資を絞っていました …
自由競争社会ですから、日本が得意としていた分野で他国が勢力を伸ばしてきても、それを非難することはできません。 かつての日本も米国などのハイテク製品を追いかけ、追い越してきた歴史があります。
電気製品分野や自動車分野では、集中豪雨的な輸出をして相手国に恨まれたこともしばしばです。 しかし VTR では競合国製品が見当たらず、一時は日本が独占していた時代もありました。
………………………………………………………
70年代だったと記憶していますが、西独で有力な電気製品メーカーだったグルンディヒ社が日本製品の攻勢で市場を失い 倒産、グルンディヒ社長が日本のマスコミに恨み言をいっている記事が掲載されていました。
東芝のラジカセ (だったかな?) をゴミバケツの上に乗せて、それをハンマーでたたき壊したり、トヨタ車を何人もの人が散々にハンマーでボコボコにした映像が70〜80年代に米国から送られてきたことがあり、その時の米国人の感情やグルンディヒ社長のことが今は理解できる心情です。
安定した価格で市場をおさえていた地元企業の製品に対抗するのに手っ取り早いアピールは、”価格の安さ” でしょう。 機能 性能 品質は同等かそれ以上はいうまでもありません。 すると多くの消費者は、安価な価格帯の製品に流れてしまうのは自然なことです。
この時代の「日本製品 対 欧米製品」の構図が、そっくりそのまま「韓国製品 対 日本製品」に変わってきているだけなのでしょう。 ですから、我々はそれを一方的に非難することはできません__「価格を安くして我々の市場を奪っているだけだ」などと。
………………………………………………………
日本市場は韓国 (人口 4800万) と台湾 (人口 2300万) に比べ 規模も大きいですが、それだけに国内メーカーは国内市場での競合にエネルギーを費やし、国外市場で韓台勢が販路を伸ばしているのを見逃してきたともいえます。
あんまり褒められた話しではありませんが、かつて松下電器産業の松下幸之助が、「うちには東京にソニーという “研究所” があるんや。 そこが新製品を開発したら、大急ぎで同じ製品を作って販売すればいい」と “大マジメで” いっていたことを記憶しています。
日本製品を追いかける韓台勢の姿は、かつてのソニーを追う松下 (今のパナソニック) を連想させるものがありますね __ 日本が開発した次世代製品を大急ぎで追いかけ、集中投資で追い抜くという構図です。
但し 台湾は自社ブランドを出して世界に売り込むよりは、OEM (相手先ブランド製造) を得意としているため、メーカー名が表面にあまり出てきませんが、半導体分野ではファウンドリー (OEM のようなもの) でシェアトップの TSMC や、米国での液晶 TV 販売大手のビジオ社製品を作っているのは台湾メーカーだったり、アップル製品などを製造供給するホンハイ社などの大手メーカーがあります。
………………………………………………………
多くの日本メーカーは、次世代製品の開発を社内の研究機関で行っていますが、そこでは様々な可能性を秘めた多くの研究が行われ、殆どの研究開発された製品は捨てられる運命にあり、審査の目をくぐって製品化にこぎつけるのはほんの一部でしょう。
それを韓国メーカーが目を付け、大急ぎで同じ製品を作り、安価で大量に売られては日本メーカーはたまったもんじゃありませんね。 捨て去る開発テーマが多いということは、投資した日本メーカーは投資金額に対し非効率ですが、韓国メーカーは効率がいいはずです (韓国メーカーは全く開発投資せずに日本メーカーの開発した製品にばかり目を付けているだけとはいいませんが)。
しかし 視点を変えると、日本メーカーは次世代製品を色々と開発しながら、競合メーカーが出てこないうちに何故 韓国メーカーと同じような攻勢ができないのかと疑問に思ってしまいます。
………………………………………………………
これは私の想像なのですが、80年代後半に ただ一度だけ世界の頂点・または最先端に立って、経営者が満足してしまい、追いかける者が眼に入らなくなってしまった、もしくは世界から称賛を浴びて競争する姿勢が緩んでしまったのが原因の一部じゃないかと思うのです。
満足してしまったら、追いかける競合者には負けるのが普通でしょう。 しかし、ブランドは残ります。 世界の多くの消費者は日本製品を買いたいのだが、価格が高めだから 同じような製品で価格の安い韓国製品を買うのでしょう。 それはカネがふんだんにあったらドイツ車を買いたいのだが、そんなカネはないので日本製 韓国製の普及車を買う消費者心理と似ていますね。
ブランド価値と利益を維持しながら、販売を伸ばすという難しい戦略を練り、実行するのは経営者ですし、そのためにこそ経営者が選ばれているのです。 日本の経営者はもっともっと頭をひねってほしいものですね。
以上
※追加1_ 電気自動車 (EV) などのエコカーや携帯電話の基幹部品となるリチウムイオン電池の2010年世界シェアで、これまで首位だった三洋電機が韓国サムスングループに抜かれ、2位に陥落する見通しとなったことが19日 分かった。 かつては日本企業が計9割以上のシェアを占めたが、液晶パネルなどと同様、またもや韓国企業に首位を奪われることになる。
調査機関インフォメーションテクノロジー総合研究所によると、今年の出荷個数シェアはサムスングループのサムスン SDI が 20.1% で、三洋は 19.9% とわずかに下回る。 日本企業全体のシェアも10年前の約 94% から約 42% まで下落する見通し。 韓国勢は約35% で、10年前の約 2% から激しく追い上げている。
現在のリチウムイオン電池はノートパソコンや携帯電話向けが中心だが、EV 販売が本格化すれば状況は一変するとみられる。 5年後の市場規模が現在の4倍以上の約 3.6兆円 となり、このうち自動車向けの割合が現状の数%から4割近くまで伸びるという試算もある。
韓国企業はエコカー時代を見据えて大規模投資を行い、供給先を拡大。 韓国政府も後押しし、7月にはリチウムイオン電池を「次世代の基幹産業」と位置付けて専門大学院を新設し、人材を養成することなどを盛り込んだ長期計画をまとめた。 リチウム確保の資源外交にも力を入れている。
日本企業は技術力で韓国企業より先行しているとみられるが、「多くのメーカーが狭い国内市場で競争している間に韓国勢が世界で力をつけていた」(大手電機幹部) と指摘される。
▼液晶パネルに続き
日本企業は液晶パネルでも韓国企業に首位の座を奪われ、薄型テレビではサムスン電子と LG 電子の韓国2社が1、2位を独占。 このほか日本企業の独壇場だった太陽電池では、韓国と同様に攻勢を強める中国系企業が世界を席巻する。
リチウムイオン電池は国際的な規格が標準化されておらず 巻き返しの余地があるが、官民連携で韓国に対抗できなければ、液晶パネルなどと「同じパターンに陥りかねない」(業界関係者) と懸念されている。
……………………………………………………
※追加2_ リチウムイオン電池の価格は今後さらに下げ幅が拡大する見通しだ。 これまでパナソニック傘下の三洋電機など日本勢が優位だった市場だが、サムスン SDI や LG 化学など韓国勢が台頭してきており、一段と価格競争が激化しているためだ。
IT 総研の竹下秀夫シニアアナリストは、日韓メーカーのシェア争いや価格競争が激化するなかで、08年後半から始まった供給過剰の状態が今後も続くと指摘。 10年のリチウムイオン電池の価格が前年に比べ 19% 下落し、過去5年で最大の落ち込みになると予測する。 野村証券金融経済研究所の御子柴史郎アナリストは、「20~25% 下がる可能性がある」といい、竹下氏よりもさらに大きな下げ幅を予想している。
バークレイズ・キャピタル証券の藤森裕司アナリストは、韓国勢の猛追に危機感を強めた三洋電などが値下げに動き出したと説明した上で「各社の生産ライン増強も相次ぐことから、今年は価格下落が加速する可能性が高い」と話す。
● 三洋電、シェア首位陥落も ●
実際、メーカー各社からは価格競争が一段と強まっているとの声が聞かれる。 三洋電機広報担当の保坂祐子氏は「韓国の攻勢と需給バランスの崩れにより、各社は数量確保のために値下げしている」と指摘。 ソニー広報担当の滝沢富美夫氏も「市場は非常に厳しい状況が続く」と予想する。 パナソニック広報担当の門田晃氏は「生産プロセスの見直しを含めたさらなるコスト競争力の強化が重要と認識している」と話す。
一方、LG 化学広報担当のテリー・リー氏は価格の下落基調はしばらく続くとみているが、「我々は競争力のある価格で電池を提供しており、価格下落が利益に大きなダメージを与えることはない」と強気だ。
IT 総研の竹下氏は「韓国勢も利益率は落ちているはず。 今後は各社の我慢くらべが続くだろう」と指摘する。 いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は「圧倒的なシェアを持つ上位2社くらいだけが儲かるだけで、それ以下の企業は永久に儲からない可能性がある」とみている。
IT 総研によると、リチウムイオン電池の価格は06年に前年比で 5% 下落したようだ。 07、08年は原料のコバルトの価格高騰で上昇したが、09年は再び下がり 13% 落ち込んだ模様。 ウォン安を追い風に韓国勢が急激にシェアを伸ばした昨年から下落基調が強まっている。
IT 総研では上期までの実績を踏まえ、サムスン SDI が今年、三洋電機を追い抜くと予測している。 IT 総研による09年のシェア順位は首位が三洋電機で 20%、2位がサムスン SDI で 18.3%。 後には LG 化学が 13%、ソニーが 12%、中国 BYD が 6.5%、パナソニックが 6.3% と続いている。
韓国勢の追い上げは激しい。 御子柴氏によると、サムスン SDI のリチウムイオン電池の10年の計画は前年比 20% の増収で、同社が推定する市場全体の成長率 12% を上回る。 さらに LG 化学は同 50% の数量増を見込んでおり、同氏は「能力増強のペースを見れば、この勢いは当面衰えそうにない」という。
● EV 用を視野に積極投資 ●
電池メーカー各社は電気自動車 (EV) 向けを中心にリチウムイオン電池の成長が見込まれるため、積極投資に動いている。 パナソニックは今年4月から大阪市の住之江工場で電池セルの生産を開始。 今年度は月 1000万 個の生産能力を持つ予定で、その後は市場の需要動向を見極めながら順次、ラインを増設する計画だ。 第1期として月産 2500万個、年産3億個を予定し、将来的には月 5000万個、年6億個の生産を目指す。
「ライバル企業は 100メートル走のスピードで事業を拡大しているのに、我々は中距離走をやっている」。 パナソニックの大坪文雄社長はこう語り、最大 8184億円 を投じて来春までに三洋電とパナソニック電工を完全子会社化することを決めた。 同社はリチウムイオン電池を含むエナジー関連事業に10年度からの3年間で 3000億円 を投資する計画で、リチウムイオン電池の売上高を15年度に09年度の約3倍の 1兆円 へ拡大させる方針だ。
ソニーも約 400億円 を投じて日本/シンガポール/中国の各製造拠点の強化を決めており、生産能力は月約 4100万セルから10年末には 7400万セルに拡大する予定。 サムスン SDI は20年までに EV 用電池に 5.4兆ウォン (約 4000億円) を投資する方針。 韓国政府も全面的に支援する。 7月にはリチウムイオン電池を中心とする充電池事業に20年までに 15兆ウォン を投資し、世界市場のシェア 50% の獲得を目指す計画を発表した。
……………………………………………………
※追加3_ 1981年には、三洋電機から黒鉛炭素質を負極材料とするリチウムイオン電池の特許が出願され、94年に実用化された。 一方、吉野彰らは白川英樹 (筑波大学名誉教授) が発見した導電性プラスチックポリアセチレンに注目し、81年にリチウムイオンと組み合わせることで非水系電解液を使った二次電池の負極に利用できることを見いだした。
さらにリチウム酸化物正極と組み合わせることで、85年 非水系電解液、負極にポリアセチレン、正極にコバルト酸リチウム (LiCoO2)、というリチウムイオン二次電池を開発した。 86年 負極にグラファイト、電解質溶媒として炭酸エチレンを組み合わせることにより、より安全でかつ、電圧が金属リチウム二次電池に近い電池が得られることがわかった。 これらの材料により、現在のリチウムイオン二次電池の構成がほぼ完成され、91年に吉野の勤務する旭化成とソニーなどにより実用化された。
リチウムイオン電池はかつては日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もあった。 三洋電機/三洋 GS ソフトエナジー/ソニー/パナソニック エナジー社/日立マクセル/NEC トーキンなどが主なメーカーとして知られている。 一方、韓国 (サムスン SDI・LG化学)/中国 (BYD)/台湾などで生産量が増えてきており、2010年には、それまでトップであった三洋電機がサムソンに抜かれ、日本メーカー合計のシェアも4割程度までに落ち込んでいる。
以上
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半導体メモリーや液晶素子は、かつては日本のお家芸的な代表製品でした。 しかし 韓国と台湾が製造能力で力を付け、今や半導体メモリーの代表 DRAM と NAND フラッシュではトップメーカーはサムスン電子、液晶素子分野では液晶 TV メーカーのトップもサムスン電子となっています。
DRAM シェア2番手は韓国のハイニックス、NAND フラッシュのシェア2番手は東芝、液晶パネルメーカーとしてシェア2番手は韓国の LG エレクトロニクス、と韓国メーカーの強さが際立つのが昨今の現状です。
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「リチウム電池も日本勢陥落 トップはまた韓国サムスン」(産経新聞 12月20日) _ ※追加1へ
「リチウムイオン電池、価格戦争激化-サムスン、三洋を猛追」(ブルームバーグ 8月26日) _ ※追加2へ
ウィキペディアから__ リチウムイオン二次電池 _ 1980年代には金属リチウムを負極活物質に用いた金属リチウム二次電池が製品化されたが、金属リチウムの化学活性がきわめて高いため、可逆性や反応性に問題があった。 NTT のショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ、実用化されたとはいいがたく 広く用いられることはなかった (※追加3へ)。
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かつて、2000年代に液晶素子が立ち上がりかけた頃、韓国と台湾が猛烈な設備投資をしていました。 こんなに設備投資をしていたら、いずれ液晶関連製品は日本だけの供給とはならずに、日韓台の3カ国になるだろうという予測記事がありましたが、見事に的中しています。
その前の1990年代には半導体への投資で、やはり韓国と台湾が猛烈な設備投資をしていました。 一方の日本は1996年のメモリー不況で、投資を絞っていました …
自由競争社会ですから、日本が得意としていた分野で他国が勢力を伸ばしてきても、それを非難することはできません。 かつての日本も米国などのハイテク製品を追いかけ、追い越してきた歴史があります。
電気製品分野や自動車分野では、集中豪雨的な輸出をして相手国に恨まれたこともしばしばです。 しかし VTR では競合国製品が見当たらず、一時は日本が独占していた時代もありました。
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70年代だったと記憶していますが、西独で有力な電気製品メーカーだったグルンディヒ社が日本製品の攻勢で市場を失い 倒産、グルンディヒ社長が日本のマスコミに恨み言をいっている記事が掲載されていました。
東芝のラジカセ (だったかな?) をゴミバケツの上に乗せて、それをハンマーでたたき壊したり、トヨタ車を何人もの人が散々にハンマーでボコボコにした映像が70〜80年代に米国から送られてきたことがあり、その時の米国人の感情やグルンディヒ社長のことが今は理解できる心情です。
安定した価格で市場をおさえていた地元企業の製品に対抗するのに手っ取り早いアピールは、”価格の安さ” でしょう。 機能 性能 品質は同等かそれ以上はいうまでもありません。 すると多くの消費者は、安価な価格帯の製品に流れてしまうのは自然なことです。
この時代の「日本製品 対 欧米製品」の構図が、そっくりそのまま「韓国製品 対 日本製品」に変わってきているだけなのでしょう。 ですから、我々はそれを一方的に非難することはできません__「価格を安くして我々の市場を奪っているだけだ」などと。
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日本市場は韓国 (人口 4800万) と台湾 (人口 2300万) に比べ 規模も大きいですが、それだけに国内メーカーは国内市場での競合にエネルギーを費やし、国外市場で韓台勢が販路を伸ばしているのを見逃してきたともいえます。
あんまり褒められた話しではありませんが、かつて松下電器産業の松下幸之助が、「うちには東京にソニーという “研究所” があるんや。 そこが新製品を開発したら、大急ぎで同じ製品を作って販売すればいい」と “大マジメで” いっていたことを記憶しています。
日本製品を追いかける韓台勢の姿は、かつてのソニーを追う松下 (今のパナソニック) を連想させるものがありますね __ 日本が開発した次世代製品を大急ぎで追いかけ、集中投資で追い抜くという構図です。
但し 台湾は自社ブランドを出して世界に売り込むよりは、OEM (相手先ブランド製造) を得意としているため、メーカー名が表面にあまり出てきませんが、半導体分野ではファウンドリー (OEM のようなもの) でシェアトップの TSMC や、米国での液晶 TV 販売大手のビジオ社製品を作っているのは台湾メーカーだったり、アップル製品などを製造供給するホンハイ社などの大手メーカーがあります。
………………………………………………………
多くの日本メーカーは、次世代製品の開発を社内の研究機関で行っていますが、そこでは様々な可能性を秘めた多くの研究が行われ、殆どの研究開発された製品は捨てられる運命にあり、審査の目をくぐって製品化にこぎつけるのはほんの一部でしょう。
それを韓国メーカーが目を付け、大急ぎで同じ製品を作り、安価で大量に売られては日本メーカーはたまったもんじゃありませんね。 捨て去る開発テーマが多いということは、投資した日本メーカーは投資金額に対し非効率ですが、韓国メーカーは効率がいいはずです (韓国メーカーは全く開発投資せずに日本メーカーの開発した製品にばかり目を付けているだけとはいいませんが)。
しかし 視点を変えると、日本メーカーは次世代製品を色々と開発しながら、競合メーカーが出てこないうちに何故 韓国メーカーと同じような攻勢ができないのかと疑問に思ってしまいます。
………………………………………………………
これは私の想像なのですが、80年代後半に ただ一度だけ世界の頂点・または最先端に立って、経営者が満足してしまい、追いかける者が眼に入らなくなってしまった、もしくは世界から称賛を浴びて競争する姿勢が緩んでしまったのが原因の一部じゃないかと思うのです。
満足してしまったら、追いかける競合者には負けるのが普通でしょう。 しかし、ブランドは残ります。 世界の多くの消費者は日本製品を買いたいのだが、価格が高めだから 同じような製品で価格の安い韓国製品を買うのでしょう。 それはカネがふんだんにあったらドイツ車を買いたいのだが、そんなカネはないので日本製 韓国製の普及車を買う消費者心理と似ていますね。
ブランド価値と利益を維持しながら、販売を伸ばすという難しい戦略を練り、実行するのは経営者ですし、そのためにこそ経営者が選ばれているのです。 日本の経営者はもっともっと頭をひねってほしいものですね。
以上
※追加1_ 電気自動車 (EV) などのエコカーや携帯電話の基幹部品となるリチウムイオン電池の2010年世界シェアで、これまで首位だった三洋電機が韓国サムスングループに抜かれ、2位に陥落する見通しとなったことが19日 分かった。 かつては日本企業が計9割以上のシェアを占めたが、液晶パネルなどと同様、またもや韓国企業に首位を奪われることになる。
調査機関インフォメーションテクノロジー総合研究所によると、今年の出荷個数シェアはサムスングループのサムスン SDI が 20.1% で、三洋は 19.9% とわずかに下回る。 日本企業全体のシェアも10年前の約 94% から約 42% まで下落する見通し。 韓国勢は約35% で、10年前の約 2% から激しく追い上げている。
現在のリチウムイオン電池はノートパソコンや携帯電話向けが中心だが、EV 販売が本格化すれば状況は一変するとみられる。 5年後の市場規模が現在の4倍以上の約 3.6兆円 となり、このうち自動車向けの割合が現状の数%から4割近くまで伸びるという試算もある。
韓国企業はエコカー時代を見据えて大規模投資を行い、供給先を拡大。 韓国政府も後押しし、7月にはリチウムイオン電池を「次世代の基幹産業」と位置付けて専門大学院を新設し、人材を養成することなどを盛り込んだ長期計画をまとめた。 リチウム確保の資源外交にも力を入れている。
日本企業は技術力で韓国企業より先行しているとみられるが、「多くのメーカーが狭い国内市場で競争している間に韓国勢が世界で力をつけていた」(大手電機幹部) と指摘される。
▼液晶パネルに続き
日本企業は液晶パネルでも韓国企業に首位の座を奪われ、薄型テレビではサムスン電子と LG 電子の韓国2社が1、2位を独占。 このほか日本企業の独壇場だった太陽電池では、韓国と同様に攻勢を強める中国系企業が世界を席巻する。
リチウムイオン電池は国際的な規格が標準化されておらず 巻き返しの余地があるが、官民連携で韓国に対抗できなければ、液晶パネルなどと「同じパターンに陥りかねない」(業界関係者) と懸念されている。
……………………………………………………
※追加2_ リチウムイオン電池の価格は今後さらに下げ幅が拡大する見通しだ。 これまでパナソニック傘下の三洋電機など日本勢が優位だった市場だが、サムスン SDI や LG 化学など韓国勢が台頭してきており、一段と価格競争が激化しているためだ。
IT 総研の竹下秀夫シニアアナリストは、日韓メーカーのシェア争いや価格競争が激化するなかで、08年後半から始まった供給過剰の状態が今後も続くと指摘。 10年のリチウムイオン電池の価格が前年に比べ 19% 下落し、過去5年で最大の落ち込みになると予測する。 野村証券金融経済研究所の御子柴史郎アナリストは、「20~25% 下がる可能性がある」といい、竹下氏よりもさらに大きな下げ幅を予想している。
バークレイズ・キャピタル証券の藤森裕司アナリストは、韓国勢の猛追に危機感を強めた三洋電などが値下げに動き出したと説明した上で「各社の生産ライン増強も相次ぐことから、今年は価格下落が加速する可能性が高い」と話す。
● 三洋電、シェア首位陥落も ●
実際、メーカー各社からは価格競争が一段と強まっているとの声が聞かれる。 三洋電機広報担当の保坂祐子氏は「韓国の攻勢と需給バランスの崩れにより、各社は数量確保のために値下げしている」と指摘。 ソニー広報担当の滝沢富美夫氏も「市場は非常に厳しい状況が続く」と予想する。 パナソニック広報担当の門田晃氏は「生産プロセスの見直しを含めたさらなるコスト競争力の強化が重要と認識している」と話す。
一方、LG 化学広報担当のテリー・リー氏は価格の下落基調はしばらく続くとみているが、「我々は競争力のある価格で電池を提供しており、価格下落が利益に大きなダメージを与えることはない」と強気だ。
IT 総研の竹下氏は「韓国勢も利益率は落ちているはず。 今後は各社の我慢くらべが続くだろう」と指摘する。 いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は「圧倒的なシェアを持つ上位2社くらいだけが儲かるだけで、それ以下の企業は永久に儲からない可能性がある」とみている。
IT 総研によると、リチウムイオン電池の価格は06年に前年比で 5% 下落したようだ。 07、08年は原料のコバルトの価格高騰で上昇したが、09年は再び下がり 13% 落ち込んだ模様。 ウォン安を追い風に韓国勢が急激にシェアを伸ばした昨年から下落基調が強まっている。
IT 総研では上期までの実績を踏まえ、サムスン SDI が今年、三洋電機を追い抜くと予測している。 IT 総研による09年のシェア順位は首位が三洋電機で 20%、2位がサムスン SDI で 18.3%。 後には LG 化学が 13%、ソニーが 12%、中国 BYD が 6.5%、パナソニックが 6.3% と続いている。
韓国勢の追い上げは激しい。 御子柴氏によると、サムスン SDI のリチウムイオン電池の10年の計画は前年比 20% の増収で、同社が推定する市場全体の成長率 12% を上回る。 さらに LG 化学は同 50% の数量増を見込んでおり、同氏は「能力増強のペースを見れば、この勢いは当面衰えそうにない」という。
● EV 用を視野に積極投資 ●
電池メーカー各社は電気自動車 (EV) 向けを中心にリチウムイオン電池の成長が見込まれるため、積極投資に動いている。 パナソニックは今年4月から大阪市の住之江工場で電池セルの生産を開始。 今年度は月 1000万 個の生産能力を持つ予定で、その後は市場の需要動向を見極めながら順次、ラインを増設する計画だ。 第1期として月産 2500万個、年産3億個を予定し、将来的には月 5000万個、年6億個の生産を目指す。
「ライバル企業は 100メートル走のスピードで事業を拡大しているのに、我々は中距離走をやっている」。 パナソニックの大坪文雄社長はこう語り、最大 8184億円 を投じて来春までに三洋電とパナソニック電工を完全子会社化することを決めた。 同社はリチウムイオン電池を含むエナジー関連事業に10年度からの3年間で 3000億円 を投資する計画で、リチウムイオン電池の売上高を15年度に09年度の約3倍の 1兆円 へ拡大させる方針だ。
ソニーも約 400億円 を投じて日本/シンガポール/中国の各製造拠点の強化を決めており、生産能力は月約 4100万セルから10年末には 7400万セルに拡大する予定。 サムスン SDI は20年までに EV 用電池に 5.4兆ウォン (約 4000億円) を投資する方針。 韓国政府も全面的に支援する。 7月にはリチウムイオン電池を中心とする充電池事業に20年までに 15兆ウォン を投資し、世界市場のシェア 50% の獲得を目指す計画を発表した。
……………………………………………………
※追加3_ 1981年には、三洋電機から黒鉛炭素質を負極材料とするリチウムイオン電池の特許が出願され、94年に実用化された。 一方、吉野彰らは白川英樹 (筑波大学名誉教授) が発見した導電性プラスチックポリアセチレンに注目し、81年にリチウムイオンと組み合わせることで非水系電解液を使った二次電池の負極に利用できることを見いだした。
さらにリチウム酸化物正極と組み合わせることで、85年 非水系電解液、負極にポリアセチレン、正極にコバルト酸リチウム (LiCoO2)、というリチウムイオン二次電池を開発した。 86年 負極にグラファイト、電解質溶媒として炭酸エチレンを組み合わせることにより、より安全でかつ、電圧が金属リチウム二次電池に近い電池が得られることがわかった。 これらの材料により、現在のリチウムイオン二次電池の構成がほぼ完成され、91年に吉野の勤務する旭化成とソニーなどにより実用化された。
リチウムイオン電池はかつては日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もあった。 三洋電機/三洋 GS ソフトエナジー/ソニー/パナソニック エナジー社/日立マクセル/NEC トーキンなどが主なメーカーとして知られている。 一方、韓国 (サムスン SDI・LG化学)/中国 (BYD)/台湾などで生産量が増えてきており、2010年には、それまでトップであった三洋電機がサムソンに抜かれ、日本メーカー合計のシェアも4割程度までに落ち込んでいる。
以上