ヤッセンボの七目八目 (By 鈴木ジョージ)

情報・通信の世界に半世紀以上います。擬科学の横行には??です。世情の動きにも切歯扼腕することがあります。

団十郎の 「ういろう売り」を 分析しました 歌舞伎十八番「曽我の五郎」の一部です・・

2013-02-05 10:20:53 | 音・音声・言語
12代、市川団十郎さんが亡くなりました(以下敬称略)。ご冥福を祈ります。
数回しか歌舞伎を見ていません。団十郎の舞台は、記憶しません。ただ、彼の「ういろう売り」は分析しました。平成10年12月13日の日記を、ほぼ再録します。

団十郎は、歌舞伎十八番の復活?上演に努力されました。
「ういろう売り」は、歌舞伎十八番「曽我の五郎」の一部です。初演は1718(享保三年)で、暫く演じられることはなかったが、十二代団十郎が、1980年に復活させたそうです。

「ういろう売り」は、その早口言葉で知られています。長文の早口言葉は、滑舌・演劇の発声演習にも使われています。

 “早口言葉”、“どれくらい早く話せるか”を研究したので、「ういろう売り」をチェックしました。なお、この“ういろう”は、小田原の薬です。

内容には、いろいろのバージョンがあります。その一部です。

「雨合羽か番合羽か。貴様が脚絆も革脚絆、我等が脚絆も革脚絆。
尻革袴のしっ綻びを、三針針長にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ。河原撫子・野石竹。
野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。・・」
早口言葉の典型的繰り返しーパタンも含まれています。

You Tubeには、団十郎の5分余のセリフ、小田原ういろう屋の“読み上げ”があります。これは、アナウンサーかプロの発声でしょう。

歌舞伎のセリフは、普通のセリフより早いが、リズム感があります。“読み上げ”は、かなり早口ですが、文語文だけに苦しいですね。

代表的一節「向こうの胡麻殻は荏の胡麻殻か・・」の早さを測りました。
団十郎 : 5.6モーラ/秒
読み上げ : 6.6 モーラ/秒です。
モーラは、50音、拗音、促音/っ/、撥音/ん/に対応する、拍の単位です。

「アナウンサーの話す早さ」の分析例は、私著“声のふしぎ百科”の151―156ページにあります。
その一部です。
ニュースの例で : 6.7 モーラ
競馬の実況放送 : 8.6 モーラ です。追い込みでは12モーラ/秒を越しました。

ニュース原稿を読む早さと、「ういろう売り」を早口で読むのが同じくらいです。早口言葉とは言え、文語文では早く読めないのでしょう。現代文ではどうでしょうか?しかし、長文の早口言葉は、見つかりません。新作も、短文か数語の連単語です。

私は何度か練習して、上の「読み上げ」と同じくらいの早さになりました。

しかし、数分にわたる「ういろう売り」の団十郎のセリフは、感情と抑揚の芸術です。早口言葉の分析には、そぐわないかも知れません。


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