*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。32回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第3章 復興が進まないワケ
避難者は戻れるのか
避難指示区域の住民については、避難指示区域外の県内の市町村に建設する復興公営住宅に入居できるよう、準備が進められている。復興公営住宅は、建設費は国が負担するが、福島県が建設する県営の住宅団地で、いわき市、郡山市、福島市など県内各地に4890戸が建設される予定だ。家賃の例は、夫婦とも国民年金で年収115万円の場合、2LDKで月7000円程度。夫が会社員、妻が専業主婦、中高生の子供1人ずつで年収343万円の場合、3LDKで月5万円程度となっている。
だが、建設用地の土地取得手続きに時間がかかったり、入札不調が相次いだりするなどして、建設は遅れている。建設予定の4890戸のうち、2015年8月時点で建設が完了したのは14%にあたる687戸にすぎない。2017年度後半に入居開始予定の物件もある。
2013、2014年度の福島県発注の公共工事の入札不調発生率は21%と高水準で、そのうち応札ゼロが約7割を占める。建設業者の多くは市町村発注の除染を受注しており、除染に人手を取られているのが原因だ。「建設業者へのアンケートでも、除染が増えてきて通常工事に手が回らないという回答が散見される。ダンプも不足しており、1日当りの作業量が低減している。物理的な絶対量が不足してくると、制度の談話で解決するのは難しい」(福島県入札監理課)という。(中略)
いわき市の借り上げ住宅で暮らす富岡町の男性(55歳)は、「3月12日にあの道路を使って避難した。避難で大渋滞して通常20~30分のところ、何時間もかかった。」と言う。
郡山市の仮設住宅で暮らす別の男性(70歳)も、「狭いしカーブが多い。一時帰宅の時も、何かあったら心配だといつも思っている。原発事故の時は、すごい行列で車が動かなかった。(略)
※次回は「第3章 復興が進まないワケ「たまるフレコン」」
2016/8/9(火)22:00に投稿予定です。