*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。36回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第3章 復興が進まないワケ
第二の沖縄
(前回からの続き)
当時の石原環境大臣による金目発言は、住民感情を大きく逆なでした。だが、説明会では金銭に関する発言も聞かれた。
双葉町の男性は「私は施設の目の前に家がある。一時帰宅に使うが、30年後に帰れと言われて帰るか?住民の補償をきちんと打ち出してくれ。金でなければ何ができるのか。施設を持ってくるならきちんと責任を持ってくれ」。こうした意見もあった。
建設にあたり、福島県と地元自治体は迷惑施設を受け入れることによる交付金の創設を要求し、交付金の金額とその使い道をめぐる交渉が1年以上続いた。原発事故前、福島県と原発立地自治体には電源立地地域対策交付金が支払われていた。だが、事故で発電が止まったため、交付金の支払い根拠がなくなった。原発事故の特殊性から原発事故後、国は「福島原子力事故影響対策特別交付金」を創設、2013年度の交付額は35億円だった。
だが、いつまでも同額の支払が続くわけではないため、福島県は半永久的に同額が支払われる仕組みを引き出すため、中間貯蔵施設の交付金の創設を模索する。政府内では福島県が”第二の沖縄化”することを懸念する声が上がった。(中略)
環境省の試算によると、福島県内で発生する放射性廃棄物は減容化処理後の推計で1600万~2200万立法メートル。これらを10トントラックで3年間、1日2、3往復して運び込むとすると、1500~2000台の放射性廃棄物を積んだトラックが毎日県内を横断することになる。
※「第3章 復興が進まないワケ「第二の沖縄」」は、次回に続く
2016/8/18(木)22:00に投稿予定です。
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