*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。28回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第2章 原発と生計
原発技術者
(前回からの続き)
「国の除染はお粗末なやり方だった。田んぼはゼオライトをまいて終了。放射線量計を買って自分で調べてみたら、かなり高いところがあった。再除染するべきだと繰り返し要望したが、受け入れられなかった。避難先では孫と一緒に暮らしていたが、自宅に帰ってくれば砂遊びはするし、目を離した隙に放射線量の高いところにも行ってしまうだろうから、とても連れて帰れない」
特に心配されるのが山林の汚染だ。農業用水は川から引いており、引用水はほとんどが山からの引き水を使っている。だが、国は山林除染を実施しない方針だ。農業、生活に使用する水の源泉である山林が除染されていないのに、川下の地でその水を使って作物を栽培し、生活を営む。「山の汚染が水に染み出てくる。将来的に不安だ。国や県は安全だというが、根拠にしているデータというのは果たして本当なのか。どこで測っているデータなのかはわからない」。
不信感は東電に対しても募るばかりだ。汚染水問題など、事実の公表のあり方に疑問を感じている。原発から約20キロメートルの地域で暮らす住民にとっては、事故収束の状況は生活に直結する。だが、放射線量など、東電の公表データの信憑性を疑ってしまうという。
※「第2章 原発と生計「原発技術者」」は、次回に続く
2016/8/2(火)22:00に投稿予定です。