原発問題

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『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~三流官庁~> ※38回目の紹介

2016-08-22 22:32:50 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。38回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第3章 復興が進まないワケ

三流官庁

 中間貯蔵施設建設の青写真は、環境省が中心となって描いたものだ。だが、福島県との交渉において環境省は手をこまねくばかりで進展が見られず、最終的に政治決着した。住民説明会においても、矢面に立って住民との質疑応答を担当したのは国土交通省から出向している官僚だった。

 原発事故後、除染の所管省庁をどこにするか、政府で検討された際、名乗りを上げたのが環境省だった。「三流官庁」と揶揄されてきた環境省にとって、膨大な予算を扱う除染事業で実績を作ることにより、脱三流官庁を果たすチャンスだった。

 ところが、実績を作るどころか、除染事業は霞が関のお荷物となった。宮城県、岩手県でインフラの復旧が着々と進む一方で、福島県は除染事業が進まないため、復興事業全体が足止めを食らった。

 福島県内の自治体からは、環境省への恨み節が山のように聞かれる。

 ある自治体の除染事業担当者は、市内に設置する放射性廃棄物の仮置き場の計画について、環境省に相談を持ち掛けた。仮置き場は人家から離れたところに設置されるケースが多いため、仮置き場に通じる道幅が狭く、汚染土壌を運ぶトラックが通るためには道路の拡張工事が必要になる。道路の拡張だけでなく、往復のトラックがすれ違うための退避場も造らなければならない。何メートルおきに設置するべきかなど、環境省の担当者から持ち帰って検討する旨、伝えられた後、そのまま時間は過ぎていった。その分、計画は遅れに遅れた。

 ※「第3章 復興が進まないワケ「三流官庁」」は次回に続く

2016/8/23(火)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


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2016-08-22 02:27:02 | つぶやき