*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。29回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第2章 原発と生計
原発技術者
(前回からの続き)
2002年に発覚した東電のトラブル隠し。原子炉の炉心隔壁にひび割れが複数個所見つかった事実を、東電が記録を改ざんして隠ぺいし、内部告発によって明らかになった事件だ。東電は当時、安全上問題はないとしていたが、事実の隠蔽の仕方が批判された。発覚後、東電の原発は全基運転停止に追い込まれた。
「東電だけでなく、メーカーもデータを改ざんしていた。そのことを報告すると、逆に下請けの我々がしこたま怒られ、出入り禁止になる仕組みだった。そういう電力業界の体質はずっと変わらなかった」
事実を報告しないまま放置する。それが、今回の原発事故につながったと広田さんは考えている。
「1Fの予備電源は地下にあり、大きい台風が来ると水がたまっていた。だから、電源喪失の事態は想定していた。事故は起こるべくして起きたと思っている」
「東電のことは、今まで世話になってきたので悪くは言いたくなかったが、考えが変わった。間違いのないデータをきちんと出しているのか、まだ以前の体質が抜けていないのではないか」
全国の原発再稼働についての思いは複雑だ。「地域としては変わりのものがないから、新潟の状況もよくわかる。でも、同じような事故は起こしてもらいたくない」
第3章 復興が進まないワケ 放射線と避難者
原発事故と東日本大震災による福島県の避難者は、2015年9月時点で約10万6000人に上る。このうち、福島県内への避難者は約6万1800人、県外への避難者は約4万4400人となっている。福島県外への避難者は、ピーク時の2012年3月の約6万2800人から約1万8000人減ったものの、なお10万人以上が福島県内外で避難生活を余儀なくされている。
※「第3章 復興が進まないワケ「放射線と避難者」」は、次回に続く
2016/8/3(水)22:00に投稿予定です。