*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。30回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第3章 復興が進まないワケ
放射線と避難者
(前回からの続き)
避難先は、県内では福島第一原発から比較的近いいわき市が最も多く、約2万4000人が生活している。郡山市、福島市などにも1000戸を超える仮設住宅が建てられ、多くの避難者が暮らしている。原発被災自治体は事故後それぞれ、根拠となる避難先の自治体を定めて仮設場を置き、住民も仮役場のある自治体の仮設住宅に入居しているケースが多い。たとえば、大熊町は会津若松市、富岡町は郡山市、浪江町は二本松市を根拠としている。だが、拠点外の自治体に避難している住民もいるため複数の自治体に出張所を設置している。
福島県外への避難先は北海道から沖縄までほぼ全都道府県にわたるが、2013年4月時点では山形県約9000人、東京都約7400人、新潟県約5600人など、近隣県と関東地方が多い。山形市や新潟市などには避難者同士のコミュニティーが作られている。
避難者の多くはプレハブの仮設住宅か、自治体が民間のアパートやマンションを借り上げた住宅で暮らしている。プレハブの仮設住宅は福島県内に約1万6800戸あり、ピーク時の2012年7月には約3万3000人が暮らしていた。多くが学校の校庭など、公共用地に砂利を敷き詰めて建てられている。家賃は無料だが、2DK、約30平方メートル(9坪)の造りがほとんどで、狭く、夏は蒸し風呂状態、冬は結露がひどく、壁が薄いため隣の住民の会話が丸聞こえでプライバシーがないなど、居住環境は劣悪だ。仮設住宅の供与帰還は2年が前提で劣化が進んでいるが、2015年8月時点で約2万500人が暮らしている。
※「第3章 復興が進まないワケ「放射線と避難者」」は、次回に続く
2016/8/4(木)22:00に投稿予定です。
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