原発問題

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【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動 ※33回目の紹介

2014-08-18 21:00:00 | 【原発ホワイトアウト】

*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽  から何度かに分けて紹介します。33回目の紹介  

 現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!

 「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」

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カスタマーレビュー)から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。

  「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。

  こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。

  私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。

  さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)

読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。

そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。

  「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。

この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。

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<過去に紹介した記事>

【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠 ※下の方に26~32回までのリンク一覧あり 

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【原発ホワイトアウト】第17章 再稼動  ※33回目の紹介

-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第17章 再稼動」 を紹介

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 再稼動に先立ち、7月の参院選の前に、原子力規制委員会は、新しい規制基準を策定・公表していた。

 公表された新しい規制基準では、原発自体の設計基準として、難燃性ケーブルの使用といった火災対策や、配管等の多重化など、信頼性向上対策を従来よりも格段に厳格に定めていた。

 また、万一事故が起こった際のシビアアクシデント対策として、フィルター付きベントの設置、非常用バッテリーの増強による電源喪失対策の実施、さらには、航空機衝突、テロ、炉心損傷などが発生した場合に備え、溶融炉心冷却ポンプの設置等も定めていた。

 さらに、原発を取り巻く自然現象への対応として、活断層の認定基準の厳格化、近傍の活断層による地震動評価、建物・建築物直下の活断層の有無の評価といった、地震対策を定めた。津波対策としては、基準津波の策定や防潮扉の設置を定めた。また火山対策としては、火山灰除けの設置が盛り込まれた。

 「考えうる対策をすべて盛り込んだ、国際的に見ても最高水準の、これ以上ない対策となった」

 と、原子力規制委員長は、記者会見で胸を張ったものだ。

 ただアメリカでは原発立地一ヶ所当たり原子炉の数は三基以下であり、日本もフクシマの連鎖を教訓として三基以下に抑えるべきであるという集中立地規制が原子力規制委員会で議論されていたが、その導入は見送られた。既に立地している日本の原発の現状が、この基準を満たさないからであった。

 「1つの原子力発電所に7基あったとしても、だいたい、そのうちいくつかは定期検査中ですから、全部動いているというわけではありません」

 ・・・委員長のこんなあいまいな言い方で、この集中立地規制は看過された。定期検査ですべての原発が稼動しているわけではないのはアメリカでも同じことである、にもかかわらずである。

 肝心の原子炉の安全性も、世界の最新の原発と比較してみると安全性が劣ることは明らかであった。

 たとえば、欧州加圧水型炉では、万一のメルトダウンの際にも、原子炉格納容器の底部にはコアキャッチャーがあり、過酷事故時には、炉心の溶融から出たデブリが冷却設備に導かれる。格納容器自体の大きさも日本の原発と比べるとかなり大型化されている。そして、格納容器の壁は二重構造となっており、外側壁は鉄筋コンクリート製で、外部からの航空機衝突の予防壁となっている。

 このような最新の安全性を確保した原発がヨーロッパのみならず中国でも導入されているのに、日本の規制基準には採用されなかった。日本の重電メーカーの製造する原発はこうした安全性を満たしていないからだ。

 IAEAが策定する国際的な安全基準にも、日本の経産省や文科省から出向している職員が強硬に反対し、最新の安全性は盛り込まれることなく骨抜きにされていた。

 フィルター付きベントについても、原子炉建屋と同一の基盤上に置かなければならない、という伊豆田新崎県知事からの警鐘は見事に無視されていた。フィルター付きベントを原子炉建屋から離れたところに置き、二つの施設を配管でつないだとすれば、大震災の際に起きる大きな揺れで、原子炉からフィルター付きベントに通じる長い配管は破断する可能性が高いにもかかわらず、である。

 除雪対策もおざなりだった。冷却に海水を利用するため海岸線に立地する原発は、海沿いにあるので豪雪に見舞われることは想定しづらい、という理由だった。

 テロ防止のために必要な、原発で働く下請け孫受け企業の社員の身元確認、その義務化も見送られた。フクシマ事故前から、放射線量の高い場所での危険な作業は、電力会社や重電メーカーの社員ではなく、下請けや孫受けの協力会社が担っている。しかし、四次下請け、五次下請けのレベルになると、暴力団が日雇い労働者を手配、斡旋するのが日常の姿だった。

 そうして集められる労働者は、アル中や家庭内暴力で妻子と分かれて独り身になった者、元ヤクザ、勤務先が倒産したりリストラされたりした者、非合法のギャンブルにはまり借金でがんじがらめになっている者、薬物中毒者、クレジットカードの借金が返済できない者、などである。生きるためには、身元確認や線量管理などが導入されては困るのだ。

 電力会社にとっても、線量の高い場所での危険な作業を担う人員が確保できなくなることは大問題だし、四次下請け、五次下請けを通じ、暴力団に人件費をピンハネさせて、不法勢力と水面下でつながることに有形無形のメリットを感じているため、身元確認の義務化には反対姿勢を貫いた。

 

8/18から「第17章 再稼動」の紹介中です。(毎日 21:00ぐらい)

・・・6000ページ以上もある申請書類、どうやって数週間で審査できるのか・・・日本での審査は国のお墨付きを得た、という儀式にすぎなかった・・・


<過去に紹介した記事>

【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり

【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠 ※下の方に26~32回までのリンク一覧あり


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