*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 から何度かに分けて紹介します。32回目の紹介
現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!
「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」
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(カスタマーレビュー)から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)
読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。
そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。
「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。
この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。
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★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり
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【原発ホワイトアウト】第14章 エネルギー基本計画の罠 ※32回目の紹介
-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「第14章 エネルギー基本計画の罠」 を紹介-
【登場人物】
小島 厳 日本電力連盟常務理事 関東電力総務部長を経て日本電力連盟に出向
日村 直史 経済産業省資源エネルギー庁次長
赤沢 浩一 保守党資源・エネルギー戦略調査会長
山野 一郎 保守党一匹狼議員
前回の話:【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※31回目の紹介
最後に、保守党経済産業部会長の木原が締め括りの挨拶に立った。
「本日は、エネルギー基本計画と電気事業小売り自由化に関する資源エネルギー庁の説明に対し、部会の先生方に自由にご議論いただきました。傾聴すべきご意見を多数いただき、本当に感謝申し上げます。
今日の皆様方のご議論を形に残して、政府における今後の法案化の作業が道を外れたものとならないように、一つ、ここは経済産業部会と資源・エネルギー戦略調査会との合同部会の緊急提言ということでまとめて、予算が固まる前に、経産大臣に、党の見解をキチンとお伝えしておきたいと思います。
「よし!」と、若手から合いの手が入る。
「緊急提言の内容については、私と赤沢調査会長とにご一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?よろしければ拍手でご承認ください」
場内が拍手で包まれるなか、木原部会長がこう締め括った。
「ご承認いただきありがとうございました。緊急提言を経済産業大臣にお伝えした結果は、また、次の部会で私から報告させていただきます。合同会議は、これにて終了させていただきます。本日はありがとうございました」
翌朝、木原部会長の議員会館の部屋から、資源エネルギー庁にFAXが送られてきた。日本電力連盟が素案を書き、それを木原部会長が赤沢調査会長の了解を得たうえで送付したものと容易に想像できた。
<資源エネルギー庁長官 殿
平素からお世話になっております。別紙の通り、緊急提言をとりまとめましたので、ご送付申し上げます。
資源エネルギー庁におかれましては、年末のお忙しいなか恐縮ですが、来月前半に大臣の面会をセットしていただけますようお願い申し上げます。
経済産業部会長 木原 英治
(別紙)
緊急提言
保守党経済産業部会
資源・エネルギー戦略調査会
経済産業大臣におかれては、エネルギー基本計画の国会報告および電気事業法改正案の国会提出にあたり、左の諸点に十二分に配慮し遺漏なき措置を講じるよう、緊急提言する。
一 我が国産業の国際競争力を維持し更なる空洞化を防ぐため、電気の低廉かつ安定的な供給を実現できるよう、原子力発電所の安全性確保を前提とした早期再稼動に全力を尽くすこと。
二 電力の小売り自由化が、原子力発電や核燃料サイクルの推進の妨げとならないよう、制度設計を行うこと。
三 原子力発電や核燃料サイクルが市場競争にさらされて安全性に支障を来すことのないよう、発送電分離は慎重に検討すること。
四 原子力発電所の長期間の運転停止で経済的に低迷している立地地域に来年度予算で抜本的な経済復興策を講じること。
五 原発等のインフラ輸出でわが国経済を復興するため、民間まかせにせず、政府が本腰を入れてトップセールスに取り組むこと。
六 原発の安全性に長期的な悪影響を与えることのないように、国公立、私立を問わず、大学の原子力工学科の魅力向上のための助成を来年度予算で措置すること。
七 国民の原子力に対する拒否反応の克服に今後取り組むことにより、次々期エネルギー基本計画の改訂では、将来的な原子力の導入目標を明記し、わが国原子力産業の成長発展を政府としても期すること。
八 再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、電力市場をゆがめる措置であるため、小売り自由化を待たずに、速やかに買取価格の引き下げまたは廃止を行うこと。
以上>
立法府による行政府への民主的統制のメカニズムが働いている、といえば聞こえはいいが、その内実は、こうした既得権益側が国会議員を使って行政に圧力をかけ、法制度や事業の内容を我田引水に変質させることに他ならない。
国の政治は、その国民の民度を超えられない。こうしたことが当たり前のように行われていることを許している国民の民度は、その程度のものなのである。
※「第14章 エネルギー基本計画の罠」は、今回で終了です。
引き続き、8/18から「第17章 再稼動」の紹介予定です。
・・・6000ページ以上もある申請書類、どうやって数週間で審査できるのか・・・日本での審査は国のお墨付きを得た、という儀式にすぎなかった・・・
*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 から、「第14章 エネルギー基本計画の罠」の過去紹介のリンク
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※26回目の紹介
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※27回目の紹介
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※28回目の紹介
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※29回目の紹介
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※30回目の紹介
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※31回目の紹介
【原発ホワイトアウト】第14章エネルギー基本計画の罠※32回目の紹介
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧 ※下の方に1~16回までのリンク一覧あり
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第4章 落選議員回り ※下の方に17~21回までのリンク一覧あり
★過去紹介した記事>>【原発ホワイトアウト】第13章日本電力連盟広報部 ※下の方に22~25回までのリンク一覧あり